洋館の中で
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
馬車の中でふと疑問になっていた事があったのでリリィに聞いてみたら、
ティアナの故郷に行くので歴史やお店など調べていたら、昼間に活動できる
吸血鬼の言い伝えを見つけたという。本人はホラー系というかオカルトにも
興味があってメイジになったのだけどアリッサの事は噂で知っていて
何でも異常過ぎるINT値の上昇からメイジギルド内では神童扱いだと言う。
”あのアリッサがねぇ、まあ血筋は凄いよな。父親が色々造ってるし”
「ここら辺りやないか、降りて山の方を確認してみよう(先輩」
馬車を停めて外へ出てみると、雲っていて月の明りがほとんどなく
目が慣れないと「暗順応」何がなんだか分らない状態だったので、
しばらく辺りの様子を探りながら、ジーンに此処で待っている様に
先輩が指示を出した。奥の山側へ馬車ではこれ以上、進めないからだ。
「奥の方へ向かうで、うちらの足跡やらアンベルが消してるからの
見覚えのある風景を頼りに進む事になるけど、まあ大丈夫やろ」
そういえばアンベルに頼んでたな、また来るハメになるとは思って
なかったので以前の痕跡を消したのは悪手だったのかも。
いや、相手にシーフがいるとなると消して正解か、絶対に追跡される。
”俺、対人戦は先輩とのトレーニングしか経験がないのだけど
あの時はステルス取得前だったから、先輩も使わなかったのだろうし”
他のギルドはどうなっているのか分らないけどシーフではトレーニング以外
でのギルドメンバー間での戦闘は禁じられている、キリがないからだ。
戒律の加護がある以上、互いに女神送りにされても何度でも復活して戦える。
粘着質なヤツが相手だと無限ループになるのでマスターが掟で禁止した。
そして喧嘩両成敗になる。陥れようとしても王都の管理者が持つといわれる
千里眼は全ての事が見通せると言われていて偽る事は出来ない。
”シーフの掟を破って戦ったらスキルを剥奪されるのは確実”
だからこそ、相手もこちらがシーフだと理解すれば迂闊な手段を選ばないかも
ステルスを使えるという事はギルドのメンバーなのだから。
※ステルスはシーフのみ使用可能な固有スキル、他ジョブへ継承できない※
「ねっ、あっちに獣道あるよ(リリィ」
「ホントけ、たぶんそれや。辿って行くとあの館へ出るで」
先輩の後ろを歩いていたリリィが左側の方に獣道を見つけて知らせて
くれたのだけど、よく見えたなー。視力がいいのか
どうやらその道を辿ると座敷牢のあった洋館へ出ると先輩は言っている。
「アンベルと隠れてた場所があるから、まずそこで様子見よーか」
1回訪れた事のある先輩はアンベルと”ある場所”から見ていたと
俺たちに告げた後、そこを目指してグングン進んで行く。
”なんていうか鬱蒼とした場所だよなー。いかにも人外なヤツが好みそう”
湿度が高いのか分らないけど妙に空気が重く感じる、あと山の中が苦手って
いうのもあるか、何で虫が多いんだ。魚でさえ夜は寝る奴がいるのにっ
※寝る時には膜を張って寝袋みたいにして眠る可愛い魚もいます※
「ここやここや、この木の陰の所に来てーな」
先輩達が隠れて見ていた場所ってデカいカリフラワーの木陰だった・・・。
この木なあ、もうスパスパ切られてるイメージしかなくなってたわ。
「誰もいなそう、居たら灯りくらいあるんじゃない?(リリィ」
「どうやろな、前に来た時は玄関の所とか灯ってたけど」
うーん、確かに妙だ。中に人がいるとしたら灯りくらいつけるはず
真っ暗なだけにやたらに目の前にある古い洋館の不気味さが際立つ。
「うちが奥にあった座敷牢を見てくるけ
アデルが開けた穴が残ってると思うからの、2人は此処にいてーや」
そういうと先輩はクイックムーブとステルスを発動して俺とリリィの
前から消えていった、そういや先輩ってどのくらい消えてられるんだろ?
スキルレベル3の俺で15秒、レベル10で1分近くって聞いたけど・・・。
「大丈夫かな、リティアさん。どのくらい待ってればいいんだろ」
「まあ、俊足のスキル持ってるし。一度、この館に侵入してるから
内部の事に詳しいと思うよ、たぶん」
さすがにノリ重視の人とはいえ、この状況だし、さすがにそれはないかと
思ってはいた、いたんだが”たぶん”という不確定要素を混ぜてみた。
ー 先輩侵入から数分後ー
洋館の玄関扉が開いたので驚いてサッと隠れた俺だけど隣にいたリリィは
シーフではないから隠れるのが遅く、これは見つかったかと思っていたら、
先輩が俺たちを呼ぶ声がして半開きの扉から来い来いと合図している。
「ねぇ、あれって脅されてるとかないよね?(リリィ」
「まさか、そんな古典的な。先輩だったらソロで
戦って1人で来たと思わせるとおもうけど」
俺とリリィの戦闘経験があまりない事を知っているから、
先輩ならその行動を取るとリリィに説明したけど、何故玄関から出て来たのか
「とにかく来いって合図してるから行ってみよう」
リリィの疑念を晴らす為にも先輩の所へ行かないと分らない。
堂々と玄関を開けているって事は安全というか誰もいないのかも知れないし。
早足で木陰から飛び出して2人で洋館の玄関に着くと先輩はランタンを
点けても大丈夫だと言い、1つ渡す様に手を差し出してきた。
「座敷牢側から入ったんですよね、中に誰もいないんですか?」
「そうなんや、1階の間取りはアンベルから聞いて覚えていたから
前に無法者達が居た部屋とか他の所み見てんけど、誰もいないねん」
「そ、そうなの、じゃあ大丈夫そうね。
2階もあるみたいだけど手分けして手掛かりを探してみる?」
中に誰もいないと言っても、また無法者達がやってくるかも知れない。
それを考えたら手分けした方がいいのだけど・・・。
「了解や、リシュくんとリリィで2階を見てーな
うちは1階をくまなく見てみるけ、何かあったら2階に行くわ」
そう言った先輩は俺の腰辺りを軽くコヅいた。も、もしかしてコヤツっ!
ハメやがったな、俺とリリィが砂丘で勘違いされてるの知ってるはずだ。
とりあえず謝罪して今はごく普通に接しているけど、3回目はマズいぞ。
「ほら、早くランタン灯してよ、2階って何部屋あるのかな(リリィ」
「じゃ、ま、そういう事で。うちは先に行くで」
仏の顔も3度までという呪文の様な言葉が頭を駆け巡ったが、
とりあえずランタンを灯して2階への階段を先に上がっていると
”トテトテトテ”という走る音が聞こえてきて、リリィと顔を見合わせて
2階まで駆け上がったが、廊下部分には誰もいない・・・。
「いま、走る音っぽいの聞こえたよね?(俺」
「うん、裸足の子供が走ってる様な感じの・・・」
と、2人で話していると廊下の奥の部屋からまた音が聞こえてきて
そこへ向かうとやっぱり何もなく、今度は2つ隣の部屋から走る音が聞こえて
部屋からリリィと廊下へ飛び出ると別の部屋に入ってゆく大きめのパジャマ
姿の”幼い子供っぽいの”が部屋の中へ入って行くのが見えた。
「見えたっ、きっとあれだよ!レニーが言ってた女の子」
「せんぱーい、こっちに居ましたっ、いま捕まえようとしてます」
下へ降りる階段近くだった事もあって声を上げて先輩にも知らせたが
聞こえる位置にいるのか不明だった。聞こえてなくても俺たちが
ドタバタしていれば気づいてくれるはず・・・。
「私、先に行くよ。あの部屋だっ」
俺が先輩を呼んで立ち止まっているのを見たリリィはさっきの子が
入っていった部屋へ向かって走って行く・・・が
今度は全くの逆位置の部屋から音が聞こえ、リリィが部屋の中を見た時には
何もなく、音が逆方向から聞こえてくるという不可思議な現象が起こった。
「・・・一体どういう事なんだ、部屋の中に居ると思ったらいない」
「たぶん、遊んでいるのよ。ほら、子供の頃って
かくれんぼや鬼ごっこをしたでしょう、あれと同じ(リリィ」
同じって、いくら何でも消えるというか部屋を抜けていく事は出来なかったぞ
壁を透化する力を持っていないと説明がつかない現象だ。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。