表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第一章 ー蒼の洞窟ー
19/345

カニは水炊きだよね

登場人物


リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩

シンシア・ルフィン きゅあプリースト

アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら

ララ・ヘルミナ お子様メイジ 雨がっぱ ヒヨコ

ジーン・トアロ 盾なしウォリアー

 ほどなくして女神像まで辿り着いた俺達はキャンプ準備に取り掛かり、

火を起こして昼食の準備に取り掛かった。上層ではログハウスだったけど

ここからは野宿。なるべく火を大きくして周りから離れない方がいい。


「さっきの蟹さんを水炊きするのに野菜も下ごしらえしておきましょう」


 いったいどういう作りになってるのか、以前も当たり棒を出したけど

また袖の懐から野菜を取り出すシンシア姉さん。

 しかも数が多いっ、七草レベルだぞ。豆腐と昆布もあるんだが・・・。


「見てない、見てない。野菜はなかった」


 自分に言い聞かせて他のメンバーの方をみると、ジーンが何か作っていて

アリッサはなにやら黒っぽい塊が地面を走り回っているのと遊んでいる。


「あのさ、何してるの?シンシアに頼まれてたみたいだけど」


「ポン酢が欲しいそうだ。リティアも別なモノを頼まれてるって」


 ポン酢?あれ造れるんだ。完成品しか見たことないけど、ジーンが

錬金術師を経験してるからか。酒と醤油と柑橘系でどうこう言ってるけど

サッパリっすわ。先輩は何を・・・と見たらすり鉢でゴリゴリしてるしっ


「それもシンシアから頼まれたんですか?」


「そうや。うちが錬金術に転職してたのを知ってたんや、恐ろしい子やで」


「え?俺、先輩がジーンと同じ職を経験してたって今知りましたよ」


 黙々と作業をしている先輩は少し間をおいて、錬金術で金策をしていた事を

語ってくれた。素材を集めてアイテム作っては売りさばいてたが、本来は別の

スキルを取得する目的だったので、ソレを継承した後にメイジへ転職したと。

 なのでジーンとは同じ錬金術師だったけど継承したスキルは違っている様だ。


”金策て・・・毒消しや体力回復薬を作っては売ってたのか、この人はっ”


 おそらくそれ以外のアイテム類もあるのだろうけど、全く知らないしなー

シンシアから何を頼まれたのか聞いてみたら「唐辛子」だと云う。

 色んなモノをブッコんでるんだけど、これ唐辛子になるのか。面白半分で

サソリの干物とか入れそう。隠し味やで済ますからな。本来は薬味と香辛料で

七種類の調合だと七味唐辛子になると聞いたが、大丈夫なハズ。先輩も食べるし


”へっ、今のはもしかして、放し飼いの・・・”


 そんな事を考えていると目の前を黒い物体がサッーと通り過ぎて、

アリッサの方へ向かって行く。こっちもかー、そんな思いでジャレている

元かぴばらに聞いてみると、ついさっき戻って来たので遊んでると言う。


「この黒いのが召喚した獣?勝手に戻って来るものなの?」


 俺の足元に寄ってきた黒いのをよく見ると完全に犬、いや子犬だ。

確かヘルハウンドって名前が付いてるってララが話してたよな。これがっ

 どう見てもヘルじゃなくてチビハウンド。成長する召喚獣って一体・・・。


「そだよー。お腹空いてるみたい」


 カニが好物なのかも知れない子犬って素敵やん。まぁあの大きさの蟹だし

お腹いっぱいになるよと、子犬に水をあげながらアリッサの傍で見ていると


「そういえばララちゃん。召喚獣を帰還させる事を強めに言わんねんな」


 キャンプの火の確認や道具を整理していたララとゴリゴリ中の先輩が

こっちを見てる。互いに茶化し合うから何だか奇妙な光景だ。あの2人


「うん。まぁ、わたしも初めて召喚獣を還す時は、かなり駄々こねたから」


「へー、お互い教える身やし。手のかかる後輩ほどかわええな」


「そうね。私とは正反対の戒律、あなたの場合ちょっと歪んでるっぽいけど」


 無邪気に黒い子犬と追いかけっこをしてるアリッサを眺める先輩に

ララが微笑してるところを初めて見た。馬が合わなそうなのに・・・。

 そんなゆったりとした時間が過ぎ、シンシアがお昼ご飯の出来たことを

告げると俺達はカニの水炊きを食べながら次の女神までの事を話し合った。


「なるほど。この中層は次の女神で最後なんですね」


「そう遠くないはず、このまま下層まで降りましょうか」


 先輩が広げた中層の地図を見て休憩地点となる女神像とその先の下層の

入り口となる場所を確認する俺とシンシア姉さん。

 と、お昼を食べて出発の準備をしていた俺達の所に近衛兵というか

ガテン系のおっさんというか泥まみれで疲れた顔をした男達がやって来た。


「あんたら、もしかして下層へ行くのかね?」


「ええ、これから出発しようと思っていた所です」


 出発しようと立ち上がっていた俺達へ軽く挨拶すると、リーダー格の

おじさんが胡坐をかく様に座り込んだ。


「なら止めたほうがいい、土砂崩れがおきて下層への道は潰されてるよ」


「えーっ、うそーん。行けないのー」


 アリッサは驚嘆の声を上げているが、上層でのラッパ音や兵士が

誰もいなかった事など土砂崩れでの作業の為だとすれば納得がいった。

 しかしそんな震動すら感じなかったのだけど、一体いつ起こったんだ。


お読み頂き有難うございます。

拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ