魔王への道は厳しい
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
園芸用はさみとスコップを手にして花壇の前でどうカットすればいいのか
悩んでいるアデルだったが、見栄えさえ良くなれば問題ないだろうと
適当に切っていた。そういえばシンシアが見ていた本にカットのデザインが
斬新というかテーマの様なモノがあったなと思い出したのだけど
”なんだったかの、不思議の国風とか花遊庭風とか説明しておったな”
近くにアリッサがいる事を確認しながらチマチマとカットをしていたが
アリッサがジョウロの水を入れにアデルから離れると、
「ツマランな、こんなもの一気に吹き飛ばせば
見栄えも良くなるだろう、何も無くなってしまうかもだが」
「何やってるのアデル?花とにらめっこ?あんたも大変ねー」
不意に声が聞こえてくると思ったら、アデルの真後ろにリシュ達の所から
戻ってきたアンベルが宙に浮いたまま棒キャンディーの菓子を食べている。
「お前か、どこへ行っておった?さっき魔法を使ったであろう?」
「別にいいじゃん、私の勝手だし。それより何であんな小娘の言う事を
聞いてるのか、そっちの方が理解不能だわ」
どうやらアデルには木を切り倒した時にアンベルが魔力を使っているのが
分かっていた様で、その事を問い詰めたがアンベルは興味なしといった表情で
逆になんでアリッサのいう事をアデルが聞いているのか不思議の様だ。
「勝手なヤツだな、ワシもよくワカランがどうもアリッサの妹らしい」
「・・・へ?アデルが?あの子の?ぎゃははははははーーーーーっっ」
アリッサの妹と聞いたアンベルは腹を抱えて大笑いし、笑い泣きしそうに
なっている。その様子をジト目でみるアデルちゃん
「笑うなっ!ワシだって疑っておるのだっ!
退行したララという娘の本来の姿を知らんし、不可解過ぎる」
「ごめん、ごめん。でも一緒に住んでたんでしょ?じゃあ姉妹じゃん」
”ガーーーーーーーーーーーーーーンッッ(ショック死しそうな表情のアデル”
そ、そういえばそうだった・・・この2人一緒の家に住んでおった。
「人間界じゃ、両親のいるそのぐらいの歳の子だと他人同士で住まないでしょ」
アンベルの言葉がそうとうショックだったのか、
手で頭を抑えながらフラフラし始めるアデルちゃん。
「でもあれねー、アデルの上位で姉だとしたら”魔王”になるのかー」
「バッバカ、そういう滅多な事を言うなっ、あの娘が知ったら・・・」
「私が知ったら何なのー?やっほー、アンベルちゃん
笑い声が聞こえると思ったら、やっぱり来てたんだー」
最悪な瞬間であった。アデルの姉=魔王という事がアリッサに
知れてしまったのでアデルの顔面が蒼白になっている。
「まあ、暇しててアデル探してたら花をいじってたんで何してるのかなーと」
「や、やあアリッサ、水を入れに行ったのはなかったのかの」
「何でそんなに挙動不審なの?もう水は入れ終わったよー」
いったい何時からアデル達の傍に居たのか、アンベルと話し込んでいて
アリッサの近づいてくる気配に気付かなかったアデルちゃんとアンベル。
「なんか魔王って聞こえたんだけど、それってあれでしょ
でっかい椅子に座ってて、よく来たな勇者よ、フハハハーとか言ってるひと」
「・・・・・(アデルとアンベル」
一体どういう知識からそのイメージになったのか分からないが、
アリッサにとって”魔王とは常に勇者を待ってるそういうひと”らしい。
「ま、まあ、残念ながら今の世にはいない様だが
お前達の世代ではそんなヤツなのだな(アデルちゃん」
「えーっ、いないのー、どうして!
会えたら、世界の半分をもらえるか聞きたかったのに!」
「いや、多分ムリじゃろ。それはどこの世界の話なのだっ
いないのはヤツの力を感じないからだ。ただ隠してるだけかも知れんが」
現代ではいないと聞いてツマらなそうにしてるアリッサだが
アデルちゃんはその事から何か嫌な予感を感じ取っていた。
確かに魔王の力は感じない。だけど現代にいないという事は・・・。
「そっかー、私が魔王に成ればいいのか、いないんだもんね
めっちゃチャンスじゃん!」
「いやアリッサ、お前それがどういう事になるのか分かっておるのか?」
「そ、そうそうヤメテおいた方がいいよ
他の悪魔に喧嘩売るって事になるし、認めてもらわないと(アンベル」
さすがの現悪魔アデルとアンベルもアリッサの奇抜過ぎる考えに
引き気味になりつつ、やんわりとヤメる様に勧告したが、
「そう?でもなー、私も椅子座って、フハハハーやりたいっ!」
「だからそのイメージやめいっ、だいたいワシやアンベルより
魔力がないのでは話しにならんぞ」
「んー、そういえばアンベルちゃんはアデルちゃんの使い魔なんだよね
上下関係でいうとアデルちゃんの下って事になるよね?」
アデルちゃんの話しを理解しているのか、全く明後日の方向へ行くアリッサ
アンベルがアデルより格下である事を確認したい様だ。
「ま、まあ、召喚主だからね、アデルは、その意味だとそうだけど」
「ふふふふ、つまりアンベルちゃんも私の妹分って事になるわけだよね」
「はあ???なんでそーなるん・・・」
もはや意味が分からないアンベルは頭がおかしい娘なのかと
呆れて声を上げたが、それを強引にアリッサに阻止され
「いい、2人とも、これから伝説となった仮面のひとの言葉を
言うから耳の穴かっぽじって良く聞かなきゃダメだよ」
伝説の仮面のひと?何だそれはっ、そんな者がおった事すら知らないが
どうやら現代というかアリッサの世代では特別な人の様で伝説になるからには
よっぽどの偉人なのだろうとアデルとアンベルは思って固唾を飲んでいたら
「姉より秀でた妹なぞ存在してはならぬ!!
あれ・・・優れた妹は存在しねえ、だったかも」
「・・・ワカランが、よく伝説となれたなその者は、
どう聞いても”希代のワル”の言葉にしか聞こえんぞ」
「まあ、言っても聞かなそうだし。目指してもいーんじゃないの
でもあれね、超仲が悪かったヤツいたじゃん、アイツはいるの?」
リティアと悪魔集会という飲み会でアデルと仲が悪い悪魔がいると
言っていたアンベルだが、悪魔は悪魔同士しか力を感じる事が出来ず
その相手が現代にいるのかアデルに聞いてみた。
「えー、同じ悪魔なのに、そんな仲悪い相手いたの?」
「・・・メルヴェーオか、あやつはおるな
この地ではないが、自分より弱い者は認めん頑固者だからの手を焼くぞ」
「うーん、そうかー。魔王への道も厳しいんだ
でもフハハハーしたいしなー、とりあえずその子を負かせないとね」
かつて勢力争いをしていた相手の内の1人、大悪魔メルヴェーオ
魔王を目指して椅子に座ってフハハハしたいアリッサへの試練は厳しそうだが
ララにこれが知れたら、絶対に怒られるのは間違いなかった。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。