アリッサ vs モグラ Round 2
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
アリッサがモグラを追う姿を眺めていたララだったが、
この子が興味を持った事なら少しの間、傍観しようと考えていた。
基本的にこのアリッサという女の子は興味がある事にしか食指が動かず
善悪の判断は”あとは野となれ山となれ”で考えない、刹那主義者である。
魔法に関してもそうで、メイジになったのも父親が使う魔法が面白くて
ギルドに入ったけど、実際スキルを取得したら召喚獣がかわいいので
サモナーの方へ舵を切って現在に至ってしまった。
驚くべきは14歳にしてソーサラーのスキルをほぼ取得できるほどの
INT値を持っている事である。ララがアリッサと出会ったのも
メイジギルドでアリッサの1LVUP時のINT値の上昇が異常なほど高く
なった事が噂話となり、かつてはララしか達成していなかったスキル習得に
必要なINT値はあるのにLVが足りないので使えないだけという
LV上がり待ち状態は通常では考えられない事でメイジギルドでは
ララとアリッサの2人だけしかこの状態になっていない。
※ガストフロウは使用可能LVに達してないので取得できない状態で
シナジーはバインドの様な補助系になるので取得していない。
ウォーレンは装備品からINT値の高さを測ったが
全装備を外した状態でもリリィより高いINT値を示した事だろう。
”さて、どうするつもりかしら、土の中を自在に動ける相手だし
匂いと音や振動に敏感とくれば、手こずりそうね”
あちこちにある空いている穴の前に行くアリッサだが
モグラちゃんは気付くと別の穴に居て”イタチごっこ”を繰り返すばかり
「もー、姿さえちゃんと見えればバインド出来るのにーーーっ」
どうやら移動停止系スキル、バインドで相手の動きを止めた所を
捕まえようとしているみたいだが、モグラちゃんは穴から顔を出すと
すぐ引っ込めるのでバインドを使う間もなく姿が見えなくなる。
「そーっと動いたら大丈夫かもっ、って、あれ?
何でわかるのーーーっ」
バインド射程外の少し離れた穴から顔を出しているのを見つけた
アリッサはそーっと1歩足を踏み出したが、それを感知したモグラちゃんは
スッと頭を引っ込めてしまい、その光景を見ていたララはクスクス笑っている。
「ララちゃーん、どうしよう・・・」
「だから諦めなさい。そもそも何で、モグラを捕まえたいの?
ペットとして飼う事はティアナの許可がないとダメだと思うわよ」
「違うよ、飼いたいとかじゃなくて
ここもう穴だらけだから、ご飯も少ないんじゃないかと思って
捕まえたらもっと食べれるモノが一杯ある所へ連れて行く為だよ」
”連れて行くってドコへ?”とツッコみそうだったが
アリッサの捕まえたいという動機がまともな事にビックリしたララだった。
確かにこの辺りが穴だらけって事は粗方食い尽くしたのかも、
だけどモグラちゃんは縄張りを広げていくから余計なお世話なのでは。
”でもあれね、アリッサにちゃんと魔導書を読んで
状況によって的確に使用する魔法を覚えてもらうにはいいかも”
「そういう目的があるのなら、きちんと魔導書を読んで
今の状況に必要なスキルを探してみなさい」
「えー、手伝ってよー」
「だめっ、私達はまだ仕事も始めてもないのよ
それに無理やり船に乗せた事を忘れてないわよね?」
ララの言葉にアリッサは”しまった”という表情になった。
アデルと共謀してララを気絶させ、その間に船に乗った事を知った
ララは激怒してジェフリーに飛び蹴りを食らわせたのだ。
「あははは、やだなー。あれはちょっとした茶目っ気だよ
わかったよー、自分で探してみるっ」
「まあ、あの子の縄張りがこの辺りならまだチャンスはあるわ」
◇
ー午前8時半頃 別邸1階 ダイニングルーム 朝食時ー
ローレンスさんが朝食の時間だからダイニングルームへ来るように
指示してきたので、ジーンと集めた落ち葉を風呂焚き場へ運んでいる
最中だったが手を止めて朝食を摂ろうと向かっていると
”な、何だっ、アリッサだけ妙に土汚れが酷いけど何かあったのか”
玄関前で靴の泥を落としているアリッサだけど隣にいるララと比べると
どうみても土に深く踏み込んだのを何回も繰り返した感じだ。
「どうしたんだ、アリッサ。お前だけ泥まみれだけど
また妙な魔導具で庭の手入れしようとしたのか?」
俺と同じ見解で安心したよジーン、と言いたくなるほどアリッサに
対する考え方は一緒だった。庭園で妙な事をしようとして自爆した感じ?
ララが一緒なのでストッパーになってるはずだけど船の事があるからなー
「違うよー、庭にモグラがいて、その子を捕まえようとしてたんだ」
「も、モグラ?・・・って土の中にいる動物だよね」
何ていうか、微妙な理由。庭園の手入れをしてて何故モグラなのか
さっぱりワカランけどアリッサがかなり気に入ってる事は分かった。
「庭園の中にいるって事はティアナのペットだったりしてな(ジーン」
”なにーーーっ、冗談言うの初めて聞いた気がするんだが、気のせいか”
「あははは、それだったらいいんだけどねー、聞いてみよー」
さすがにモグラをペットするのは難しいんじゃ。
広い土地だけど普段使ってなさそうだし、何だかんだで面倒見いい
お姉さんだから放置飼いってティアナはしない気がするんだよなー。
そんな事を考えながらダイニングルームへ向かうと
ピザとデザートが用意されていてジェフリーの手際と腕の良さに
改めて驚かされ、みんなが揃うと朝食の時間となったのであった。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。