アリッサ vs モグラ Round 1
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ マジカルクラッシャー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
アデル スイーツ系悪魔
アンベル スイーツ系小悪魔
ローレンス 泣きの元騎士
ウォーレン・ジーク 紫オーラ
先輩にあの転移する金庫番ことアルテミシアさんを呼んでもらったと
言っていたけど”どーやって?”と不思議に思ったので聞いてみたら
最初はアンベルに頼んだけど”遠すぎてムリだし嫌っ”と拒絶され、
仕方がないので言霊使いさんを飛ばしたそうだ。
”船で4日くらいかかるんだよな、そりゃアンベルも嫌がるわ
そもそもシーフギルドの場所が分からないのでは・・・”
「まあー、あれやな。2日くらいかかるんとちゃうか
そのうち現れるやろ、さっき仕事頼まれたからもう行くで」
「そうですか、了解です。また後でっ」
俺は子供達とは話してないから孤児だって事しか聞いてないけど
何か違和感があるんだよな、リバーガーデンの子供たちなら
ここにも孤児院の様な施設があってもいいよな。
”何でわざわざバークレイルへ連れて行く必要があるのだろう”
その辺の事を先輩に聞きたかったけど、そう考えていた所に
ローレンスさんから俺とジーンで入り口の門から玄関前までの掃除を
頼まれた。朝はまず掃除から始まるみたいだけど、広いんだこれがっ
馬車などが通り易い様に舗装されていてアプローチと呼ぶそうだが
”玄関から入り口の門が見えないんだよな、数百メートルはあるぞ、これ”
「舗装されている箇所の落ち葉を集めて景観を良くせねば
その後は風呂焚きの時に焚き付け材と一緒にすれば良いだろう」
「は、はいっ、道の見た目を綺麗にすればいいのですよね」
「そういう事だ、客人は来ないと聞いておるが
あくまで予定、ティアナ様に恥をかかせるわけにはいかぬからな
道具は向こうにある倉庫に入っておる、では頼んだぞ」
どういった事が主人への”恥”となるのか、何となくしかワカランけど
何はともあれ朝は清掃せよ、という事だな。執事の基本なのか
「ともやくやろうぜ、この分だと多分午後からは
風呂焚き用の木材集めかも知れんな」
「あー、だよなー。子供たちの為に使わなかった大浴場を使う為か」
この別邸ってどのくらいの期間使ってなかったのか知らないけど、
定期的に掃除はされていた感じだ。数年経ってるのならもっと落ち葉などで
道が見えなくなっているはず、ある季節ごとに使っていたのかな。
ジーンと道具のある倉庫へ行くと、竹ほうきや熊手、布袋などがあり
とりあえず入り口門側と玄関側から手分けして作業に取り掛かった。
◇
女子組はシンシアとティアナが交代で子供達の見守りを担当し、
リリィとリティアで屋敷内を点検、掃除、洗濯物の選別をしており
アリッサとララは船で言われた通りに花壇や洋風庭園の花の手入れ、
草かりをしようと庭園を2人で見て回っていたが、
あまりの広さにどうしたものかと考えている最中だった。
「凄いねー、こういうの何ていうの?」
「イングリッシュガーデンかしら、屋敷内にあるものとしては
かなり本格的な造りでガーデニングをしてるわね」
「ふーん、用は庭仕事だよねー。庭師だっけ、専用のひと」
バークレイルにあるアリッサの家も相当大きいのだが、
父親が魔法生物を研究しているせいで庭には妙なモノが蠢いていて
庭師の仕事をする奇妙な翼のあるインプの様な生物が作業を行っている。
「あれ?あそこに大きい穴が幾つもあるけど何だろう?」
巨大な庭園の至る所にボコボコと一定の間隔で空いている穴を
見つけたアリッサは興味が湧いた様で近づいていくと、
1つの穴の中からネズミと似ているが爪がかなり大きい動物が顔を出した。
「かわいいぃーーーーっ、ララちゃーん、この動物なんていうのーー!」
アリッサの声に驚いたその動物はモコモコした体毛を持っており
手足が短くて、穴から出て来るとアリッサから逃げる様に穴の中へ入っていく。
「あら、この辺が縄張りだったのかしら、モグラ(土竜)という動物よ
土の中にいるからほとんど目が見えないけど匂いと音に敏感なの」
「へー、モグラちゃんかー、どうにか捕まえられないかなっ」
どうやらアリッサのかわいいアンテナに突き刺さってしまった
モグラさんを捕まえたいと思ったのか、どうにか考えを巡らせているが
相手の大きさは中型犬くらいで穴の奥で土の中、容易ではない・・・。
「あっ、今度はこっちの穴から顔出してるっ、動くの速いんだねー」
「やめなさい、アリッサ。モグラは庭仕事では害獣と言われてるけど
生きるために必死なのよ、なんせ胃の中に何もないと12時間くらいで
死んでしまうのだから常に動いてご飯を探しているの」
「えーっ、じゃぁ12時間、ご飯食べないと死んじゃうのっ?」
無言で頷くララだったけど、それを言ってしまった事が
逆にアリッサの保護欲を刺激してしまい、絶対捕まえる!と言って
無数に空いている穴を1つ1つ確認し始めた。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。