砂の魔法
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー モヒカンロード
ルーファス 大剣メイジ
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
ガルシア ヒゲ面
ウォーレン・ジーク シーフのマスター
パム・レーン 刀マニアの妹君
リシュ達が古い洋館を目指して移動している頃、
2階の外から中に入れる所を探索していたリティアは館の裏側に回り
居間のある1階から遠い箇所の窓から侵入しようとしていた。
シーフの使用する罠スキルには色んな種類があるが
窓ガラスなどは叩いたりすると割った音が出るので、どうしようか考えていた
リティアはアシッドトラップで使用する酸でガラス溶かせば、音を出さずに
侵入できる事をマスターから聞いていたのを思い出して、小さな小瓶をガラス
にかけて溶かし、穴から鍵の所へ手を伸ばして開け2階裏の部屋に忍び込む。
※アシッドトラップ シーフのスキルで敵の物理防御力を低下させ
継続ダメージも与える。スキルレベル上昇で効果も上がる。
魔法防御を下げるスキルは別であり、鉛の容器に入れて持ち歩いている。
以前にマスターから聞いた方法だけど”悪用するな”と念を押されていたが
無法者とララの他にも子供達がいるのなら、この手段が有効だろう。
”間取りがワカランからの、ヘタに進むより階段探した方がええな”
アンベルに聞いた居間の位置からだいたいの推測を立てて、座敷牢の場所を
探すべく侵入した部屋から通路へ出ると気配を殺しながら階段を探すリティア
◇
ーその頃、座敷牢ではー
もう深夜という事もあって先ほどまで起きていた子供達は就寝中だったが
アデルだけはララと会話しながら仰向けのまま満月を見ていた。
”しかしあれだな。何故子供ばかりなのか、時が過ぎても
魂の生贄という儀式は相変わらずって事なのかの”
”どうでしょうね、それとは別の目的の様な気がするわ”
”別?年端もゆかぬ者たちに何をさせようとしているのだ?”
”血縁関係のない親子を作り上げ、勢力を増して名家を取り込んでいく
現在のオリオールではそうなりつつあると聞いたけどね”
ララの話しにアデルはあまり興味がないのか黙り込んでしまったが、
悪魔からしたら儀式か生贄用に攫っていると思ったのだろう。
”勢力争いか、かつても今も変わらんものだな”
”あなた、数百年前に勢力争いをしてたの?誰と?”
”・・・(アデルちゃんシカト中”
2人がそんな話しをしていた時、リティアはもう座敷牢の手前まで
迫っていた。階段を見つけた後、居間を確認してステルスを発動させ
座敷牢がある通路奥まで辿り着いていた。
「ぉーぃ、ララちゃーん、やっと見つけたでー(小声」
”おっ、あのおなご、リティアとか言ったか”
”良かったわね、アンベルがちゃんと仕事してくれて
でも、シンシアじゃないようだけど本当に伝わったのかしら”
リティアがララ達を見つけて声を掛けると、起き上がって傍へ行く
アデルちゃんだけどララはシンシアじゃない事をチクチクと刺してくる。
”だ、大丈夫じゃろ、あー見えて忘れてなければ仕事するヤツだ”
”そう?リティアは経験のあるシーフだから、単独かも知れないわよ”
「いま鍵を開けるからの、ってあれ?ツール忘れてもーたっ!」
「なんだ、そんな事か開ければいいのであろう?」
シーフの道具を忘れた事にショックを受けているリティアだが、
その様子を見ていたアデルは案ずるなと言って、眼が光ると魔力で解錠を
行ったらしく座敷牢の鍵が外れ、鉄格子の扉が音もなく開いた。
※リム・ロウと呼ばれる上位悪魔系独自のスキルで解錠とは反対で
施錠する事も出来る。人間では習得できない悪魔固有スキル
”あなた、そんな事も出来るのね。悪魔系のみの特殊スキルかしら?”
”ふんっ、あまり勘ぐるな。お前とて隠し玉ぐらいあるじゃろう”
「おおっ、凄いの、簡単に開いたで
そーいえば、こーやってララちゃん助けに来るの蒼以来やな」
「アンベルが向かったはずだが、お前1人か?シンシアはどうした?」
「んー、だれー?だれか来たのー?」
蒼の洞窟で先に1人で転移してしまったララの事を思い出しながら
魔法で扉が開けれたので驚いていたリティアだが、ララの声と言葉使いが
違っているので”あーっ”と声を出すと、寝ていた子供の1人が起きて
誰か座敷牢の扉を開けて来たのかと、目をこすっている。
”あちゃー、そういやアデルやってんなー”
「ん?誰か来たのか、アイツらじゃない様だけど(レニー」
「シ、シンシア達はいま向かってると思うで
しっかし子供が5人もおったとは、安心してなお嬢ちゃんたち
うちは助けに来てん、必ずココから出したるからな」
アデルになってる事に気づいたリティアはキョドってしまったが、
周りを見ると2人の男の子と3人の女の子が眠そうにしながら
起きてきて、正直どうしようかと迷ってしまった。
「アデル入れると6人か、1人づつ運んでいくのも難儀やな」
「ならば、この壁から出ればよかろう
シンシアが向かっておるのであれば丁度良いではないか」
「こ、ここからって、どないせーちゅうんや、石の壁やで
叩いて壊したら音が出て気付かれるやろ」
”アデルっ、何考えてるの?壁を壊したら気付かれるわよ”
”いいから任せておけ、ララ、これは貸しにしておくからの”
何を言っているんやコイツはっという表情のリティアがアデルを
見ていると、座敷牢の奥の方へアデルは歩いて向かいだし、
右手を翳して魔法を行使した。すると、石の壁の一定の範囲が砂状に
溶け始め石壁に風穴が空いた様な感じになり、外の景色が見えた。
※サンドクラック メイジの上級スキルで指定範囲内を砂に変える。
サンドストームという魔法を使用する為の布石として使われる事もある。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。