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盗賊稼業も楽じゃない!  作者: 北極えび
第一章 ー蒼の洞窟ー
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蟹さんと宝箱

登場人物


リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊

リティア・ウィンフィールド 先輩

シンシア・ルフィン プリ盾姐さん

アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー

ララ・ヘルミナ お子様メイジ

ジーン・トアロ 盾なしウォリアー


 アリッサを先頭にララ、俺、シンシア、ジーン、先輩の順番で

おおよその水深が30センチほどある水の中を歩いていた。

 洞窟内部に流れているという事は雨か湧き出ている本流となる

場所がある。川水の透明度はかなり高く、前方の水面下に気泡の様な

泡ぶくが出ている事に気づくと、窪みの様な穴が目に入った。


「ここ、気をつけて」


 俺の前を進んでいたララは気を使って窪みの方を指差したが、

瞬間にその穴から出る泡が次第に大きくなってきて、俺がそこを

跨ごうとしたとき、硬い大きなナニかが足にぶつかる感触がっ。


”いま何かに当たったんだが、えっ、動いてる!?”


 海育ちの俺はこういった触れる感覚に凄く恐怖感を抱いてしまう。

特に海岸から少し離れた浅瀬には毒を持つヤバい生物が多いからだ。

 何かが脹脛を擦れるように動いて水面に濃い緑色の甲羅が見えた。


「うっわ!?カニだっ」


 まさかこんな所から蟹が出てくると思ってなかったので驚いて声を

上げたが、動くと攻撃されるかもと微動だに出来ない俺とは対照的に

「カニ」の言葉にパブロフ的な反応をするパーティーメンバー。


「ナイスだ、リシュ。こいつは食材にしよう」


 腹が減ってるのか食い物にしか見えてないジーン。しかしララだけは

表情が少し引きつっていた。俺の前を歩いていたから、深さもそれ程ない

場所にカニがいるとは思わなかったのかも。


「わたしダメなの、動いてる甲殻類。食べるのはいいんだけど」


 どゆことっ?何がダメなのかサッパリでやんス状態の俺が戸惑っていると

パーティーの後方にいた先輩もウキウキ顔で俺の方へやって来る。


「ふはははは、ぜったい逃がさへんわっ!」


”ここにも1人食材にしかみえない人がっ”


 もはや動く食べ物にしか見えないカニさんの体長はララくらいで

左側の爪が大きく、威嚇なのかハサミを広げるとララが収納できる大きさ。

 淡水のカニでこのぐらい大きさなら海の中は相当、歴戦の猛者がいそう。


「この子、威嚇してるのかなー、かわいいーっ」


 なんかアリッサの感覚は俺達とは違い、明後日の方向というか尖ってる。

あの着ぐるみチョイスからして常人には理解不能なツッコみ待ちとしか。

 ”カマキリの威嚇”でも可愛いと言いそう。首の横に部分鎌がくるヤツ


「でもどうしよかー。攻撃したら傷つけるしの」


 コヤツは明らかにカニさんの身「たべること」に対して気遣ってやがるっ

シーフのスキルだと傷つけるのが多いし、毒だと食べれなくなる。大きいから

捕まえるとしても数人がかり・・・ムリっだよなー、挟む力が強そうなので。


「どうにか金縛りのように出来れば、力づくじゃ勝てなさそうだ」


「挟まれたらかなりマズいよ。左側だけ大きいのが異様だけど、その分力が」


「できるよー。たしか魔法あった!」


 ジーンが皆に押さえ込む方法がないか語りかけ、左側だけ大きいので

挟まれたら致命傷どころではなくなると俺が言いかけたら、アリッサが半ば

怯えてるララに視線を送っている。おおっ、魔法があるのか!


「わ、わたしは嫌よ。あなたが行使しなさい」


「えー、ララちゃんああいうの苦手だっけ?サソリも嫌がってたねー」


「甲殻類にトラウマでもあるんかいな。食べてアレルギーになったとか?」


 アリッサの問い掛けに、動いてる甲殻類が苦手で生理的嫌悪と返している。

先輩は食べたらアレルギーを起こしたと思っていたらしく、自分も幼い頃に

エビでなった事があると云う。蕁麻疹が出来て体中が痒くなるそうだ。


「よーし、カニさん捕まえちゃうぞーっ」


 アリッサは片手を翳し蟹へ向かって集中し始めた。詠唱とかあるかなと

思ったけど、何もブツブツ言ってない。あれれ?何か違う感じ?

 ララに聞こうとした瞬間、動きを封じられたのかカニが大人しくなった。


※ムーブバインド 1体の敵を数秒間行動を取れなくさせる。継承不可

CT「リキャスト」長め。スキルレベルが上がるにつれ強力になる。


「おお、重いな。これなら皆のいい昼食になりそうだ」


 カニを担ぎ上げると陸地で降ろしたジーンを手伝う様に先輩がロープを用意

していて、縛った後にカニの居た穴底を探る為に、水の中へ手を入れて確認し

始めている。たまに予測不能な行動をとる人だけどナゼに穴に手を入れるのか


”何で山に登るのかって?そこに山があるからさ。みたいに答えそう

 登ることを聞いとるんじゃ”


「やった!思ったとおりやで」


 そういうと先輩は穴の中にあったロープを引っ張った。ボコボコと水泡を

上げて出てきた箱らしきモノ。俺はそれを見て驚いてしまい、まさかという

表情で先輩を見ていたら、カニの居た穴から赤色をした宝箱がっ


「え、それって宝箱ですか!?」


「そうやで。敵からのドロップだけじゃなくて

 こういった場所に隠されている事もあるねんで」


 俺は先輩のその嗅覚に驚きつつも、チュートリアルじゃなくパーティー

での冒険で初めてみる宝箱に盗賊としての高鳴りを止めれなかった。


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