執事100%
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ 螺旋階段
ジェフリー アロハマシュマロ
ルーファス 大剣メイジ
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
ガルシア ヒゲ面
ウォーレン・ジーク シーフのマスター
パム・レーン 刀マニアの妹君
ー航海3日目の正午ー
昼間の臨時2等室の中は暑い上に埃っぽく、とても寛げないので
船上デッキにある長椅子に座りながら食べて美味しかったモノの事を
ジーンとジェフリー、リリィとアリッサの5人で話していると
急に汽笛が聞こえてきたが、何というか合図の様な間隔と短い秒数で
船が針路を左へ舵をとって進んでいくのが分った。
「リバーガーデンが近いのですかね
今度、ボロネーゼというパスタを作りますよ」
どうやらジェフリーは食べ歩きついでに料理方法を聞いては
自分で作っているようで、自己流で調理を覚えたそうだ。
手にしていた手帳にビッシリと素材や調味料の分配等が
書かれていたので相当だと思うけど何故ロードになったのか・・・。
”もう趣味という範囲を超えてる気がする
料理人という道が選択肢になったのが不思議だ”
「あれ見てー、街が見えてるよーっ」
デッキの上から船首の方を確認するとアリッサの言う様に
街が見えてきたが、水の都と呼ばれているだけあって運河と水路が
張り巡らされて、遠目にも小船が行きかっているのが見えた。
”帰りだとバークレイルがどう見えるのか分るのかー”
「あなた達、ここに居たのね。そろそろ下船の準備をなさい」
俺達を探していたのかティアナがデッキへ上がってきてリバーガーデンへ
着くから準備をしろと言ってきて、シンシアやララにも伝えてあるっぽい。
「綺麗な町並みだねー、歩道に花壇が一杯あるよ」
「まあ、ガーデンと付くくらいだからね。巨大な水路庭園みたいなものよ」
アリッサの驚きにティアナが答えているけど、バークレイルしか知らない
俺とアリッサからしたら景観に力を入れてる街に見えて、
貿易が盛んって聞いたけど観光業も凄そうだ、コロッセオもあるし。
「私達は向かえが来たら本邸へ行くわよ
荷物は最小限にしなさい、後で別邸へ届けられるから」
◇
タラップを降りて下船し、リバーガーデンの地へ着くと
周りは旅行客ばかりで行きかう人々で賑わっていて驚いた。
水路ばかりかと思っていたけど架け橋や掘も多くて歩いても観光できそう。
下船する前にティアナが最小限にしておけと言ったので
皆手ぶら状態だったけど、本邸にどれだけ使用人がいるんだろう。
「こっちよ、向こうに辻馬車を手配してあるから」
見知らぬ土地でキョロキョロしているとティアナが俺達を呼んで
馬車のある方へ向かっていくと御者の人が深々と頭を下げて挨拶をしていた。
馬車といえば幌馬車という荷物運びをするのしか知らなかったけど、
これは何ていうかブルジョアジー専用の様な豪華さだ、しかも大きい。
「ほら、固まってないで早く乗りなさいっ」
「ほあー、凄いねこれー」
御者が扉を開けると、ティアナが入れと言ってるので馬車の中に
入ると、その中も豪勢でアリッサはお姫様気分の様だ。
「この紋章、ラングフォード家のものね」
「え?あなた何で知ってるの?」
「い、いえ、本に載ってたのよ
リバーガーデンに来る前に色々調べておこうと思って」
ララは馬車の内装にあった紋章に見覚えがあるのか呟く様に
言ったが、ティアナは知っている事に驚きを隠せない様子で
本を見て知ったというララの言葉に疑いの眼差しを向けている。
「そう、まあいいわ、私はラングフォード家の長女よ
このまま本低に向かいなさいっ」
何だろう、知っているとマズい事なのかな・・・。
よく分らないけどティアナにララの事は説明しておいた方がいいのかも。
リリィはメイジギルドの先輩としか伝えてない気がする。
辻馬車でどれくらい揺られていたのか分らないけど
大きな門を通って、さらに数十分は乗っていた、どれだけ広いんだ。
「到着しました。お嬢様」
御者の声が聞こえて馬車の扉が開くと、そこには大勢の使用人達が居て
頭を下げていたが、1人だけは直立したまま手を曲げて挨拶していた。
”うわぁ、絶対、執事だこの人ーっ”
もう見た目から執事。細身だが鍛えている感じの中年男性で
片方だけ丸眼鏡をかけていてパーフェクト執事100%。
「お帰りなさいませ、ティアナお嬢様」
”喋ったーーーーっ、そういえば上級使用人しか話せないとか言って”
と思っていたら、ララも馬車から降りて来て
「あ、あなた、ローレンスじゃないっ、ここで何してるのっ」
その丸眼鏡執事を見たララは驚嘆の声を上げて指を差した。
「何故、私の名をっっ、い、いや、そういえば、あの方の面影がある」
「何っ?知り合いなの?説明しなさい、ローレンス」
吃驚したのは名を呼ばれた執事の方もその様で
お互いにビックリしていたがティアナと俺達には何の事なのか
いや、昔の知り合いで退行化して子供の姿になったのを知らないとしたら
”俺もビックリするわ”
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。