初めての遭遇
登場人物
リシュ・レミルトン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩 姉御
シンシア・ルフィン パワー系プリースト
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら
ララ・ヘルミナ お子様メイジ 雨がっぱ ヒヨコ
ジーン・トアロ 盾なしウォリアー
シンシアが用意してくれた朝食はトルティーヤの中にウィンナーと
チーズサラダを巻いた軽めのモノで、クリームスープとカットした
フルーツも一緒に並べていてくれた。少し遅れてアリッサが起床したので
様子を見ているとカピバラを脱いだ後、着ぐるみに魔力を注いだら
アリッサの掌に収まるくらい小さくなって、それをポシェットに入れている。
※トルティーヤ タコスの皮部分。原材料はトウモロコシ
”凄く小さくなったっ、アレだと持ち運びに便利だよなー。
人形っぽいし。カバン等に付けるアクセサリーとしても違和感ない”
◇
雑談を交えながら食べ終えた俺達は、ここに詰めていた近衛兵達の
事が気になったので中層を目指す事にした。
水晶や鉱石の採掘が出来る「炭鉱」と呼ぶには道が広く歩きやすい。
俺達は中層の入り口でそれぞれがアライメントの宝石をかざし
上層とは違う薄黄色の水晶が眼前に広がっている空間に足を踏み出す。
「上層とは雰囲気違うんだねー」
ララの後ろで不安そうな表情をして歩いているアリッサ。キョロキョロ
してるが足場は悪くない。ここでコケれるとしたら天然の素質持ちだ。
「ここの階層はシトリン「宝石」が取れるから全体的に黄色なのよ」
「中立の戒律石やっけ。下層だと紫やからアメジストやな」
上層にいた時とは違う雰囲気を感じていたらララと先輩が説明してくれて
中層に初めて来た俺は関心していた。
歩き始めて30分くらいした頃。次第に大きな岩が目に入るようになり、
岩陰に何か怪しげな感覚を覚えてきたかと思ったら
「おー、あれ見てん」
先頭を歩いていた先輩が足を止めて岩場の方を指差した場所に巨大ナメクジ
らしきモノが隙間からのっそりと現れて、明後日の方向へ動いて行く。
「あ、あれって。野生であの大きさなんですよね。デカ過ぎませんか」
「でもなーんか、歩くの遅そうー」
突然現れたナメジクに俺は驚いていたが、他のメンバーはそうでもなく。
同じ初心者のアリッサも驚きを感じていない。確かに動くのトロそうだけど
見た目が海にいるナマコっぽいんだわ、白濁色っぽいので嫌悪感が湧いて来る。
「なーに、1匹ならそんな怖い相手でもない」
盾の装備を選ばなかったウォリアーが両手斧を地面に立てたが、
「あー、この子らな。団体行動してたと思うで」
先輩の言葉で岩場の影から次々と、まるで開院前の医療院に並ぶご老体の
さながら、ゆっくり距離を詰めてくる軟体魔物御一行。
「ここは退きましょう。数が多いし、像に辿り着くのが先よ」
ララは後ずさりしながら後方に体を向けると、その先にある川を渡る様に
皆に指示を出した。先に女神を目指すのは的確と感心して先輩の方を見たら
「そやな。この子ら防御力を低下させる粘液を吐いたはずやし
デコイ出すから、そのスキに川の方に走りーや」
そういって先輩は盗賊のスキルで主に敵の注意を引きつける時に
使用するデコイを岩場の隅に作り出した。
俺達は川の方へ走り、膝くらいある水深を渡って行く。確認の為に
振り返りってみると巨大ナメクジが煙状のデコイに向かっていた。
※囮 デコイとも呼ばれるシーフのスキル。継承不可。範囲指定で
敵の注意を引きつける幻影の煙を作り出す。敵をまとめたり、
罠の中心へ誘導。攻略中に敵をかわすなどの時に使用する。
スキルレベルが上がるとデコイ自体のHPと出現させる秒数が伸びる。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです