早く着きたいっ
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー
ララ・ヘルミナ アデルちゃん
ジーン・トアロ 輩ウォリアー
マリア・ヴェルナーデ ドリル
ジェフリー アロハマシュマロ
ルーファス 大剣メイジ
ティアナ 盛り髪修道士
リリィ ツン系魔法少女
ガルシア ヒゲ面
ウォーレン・ジーク シーフのマスター
パム・レーン 刀マニアの妹君
ー航海2日目の午後ー
もはやバカンス気分でデッキにある長椅子で寝そべっていると
アリッサとリリィが船尾の方へ向かって歩いて行くのが見えたので
何をしているのか不思議に思って後を付いて行くと
「ね、リリィ、出来そうじゃない?」
「うーん、でも一応、ララ先輩に聞いた方がいいと思うけど」
船尾の近くで立ち止まって話している2人を隠れながら観察していると
どうやら問題児のアリッサが何かをしたいらしいが、リリィの方はそれが
危ない事かも?と思っている様でララの意見を聞きたいっぽい。
”やべっ、気づかれるか”
リリィが気配を感じたのか、こちらの方を向いたので咄嗟にステルスを
発動させて、より身を隠せそうな場所へ移動する僕。
シーフって本来こういう職なんだけど、盗み聞きみたいで悪い気がするが
ララの一件もあったし、船上でアリッサをノーマークにするのはヤバい。
”アデルに何を吹き込まれてるかワカランからなー”
「ララちゃんねぇ・・・これ聞いたらまた怒りそうだし
アデルちゃんが出てきたら、どうか聞いてみよーか」
”ララが怒りそう?何をするつもりなんだ、この2人”
「それは構わないけど、あの子、魔法の知識あるの?」
「うーん、本人は魔力さえあればワシが世界を手に入れておるわっ
って言ってたから、あるんじゃないかなー」
”物騒過ぎるだろっ!そこはヤメテーとかツッコんでくれよっ”
っていうか前々から思ってたけど、アデルって本体のひと子供なんじゃ
初めて街を見た時の反応とか行動が悪魔というより悪知恵の働く幼稚園児。
ともかくララとシンシア姐さんに報告しておかねば、海の上で遭難とか
女神までどのくらいかかる事かっ、ヘタしたら半年後くらいに復活だぞ。
◇
以上の事をララ達に報告しようと部屋を訪れたら、
ララじゃなくてアデルちゃんに代わっていて元のひとは昼寝中だった。
「どうしたのです?ララちゃんならお昼寝中なんで
いま、こーなってますが・・・」
「おう、何の用だ。お菓子なら歓迎するぞ」
あー、やばい。こんな所でアリッサ達が来たら・・・
しかしシンシア姐さんも大変だな、アデルちゃんに膝枕にされて。
本人は膝に頭を乗せて本を読んでる、もう専属の保母さんみたいな感じだ。
「やっほー、あーっ、アデルちゃん、ちょうど良かったー」
”しまったーっ、最悪のシチュエーションにっ
アリッサ達もララの部屋へ向かって来たのか、しかし何でアリッサには
あれがララじゃないって分ったんだ、見た目じゃ判別不能なのだが”
「アリッサ、それにリリィと言ったか、どうしたのだ?」
「あ、あのさ、さっき2人とも船尾に居たよね
悪いと思ったけど話してるのを聞いたんだ。何をするつもりだったの?」
「やっぱり、あんた居たんだ。
人の気配がしたけど気のせいかと思ったら、この覗き魔っ」
アリッサ達がアデルちゃんに話す前にどうにか阻止
もとい聞き出そうと声を掛けたが、やはりリリィは気配を感じていたらしく
ステルスを使って傍で覗き見していた事に怒っている。
「いや悪かったよ、声を掛けようと思ったけど
真剣そうな雰囲気で話しかけにくかったからさ」
「だから!何をしに来たのか聞いておるのだっ、お前達は!」
意外に怒りやすいというか気が短い悪魔なんだな。
まあ無視した形になったのが気に障ったのだろうけど・・・。
「うーんとね、この船、風の力で押したら
もっと早くリバーガーデンへ着かないかな?出来そうだよね」
「え?(俺とシンシア姐さん
まさかと思ったけどアリッサなら考えそうな事だ。
風の魔法を使って船を加速させて一刻も早くリバーガーデンへ
行きたいと、だからララに言うと怒られると言ってたのか
「いやいや、ちょっと待ってアリッサ
加速させてコントロール出来なくなったらどうするの?」
「その時はまた風の魔法で向きを変えればいいんじゃないの」
どうもこの問題児は風で船が進んでいるから強風を起こせばいいと
思っているらしく、その後の事は考えていない様だ。
”いきなりそんな事したら船長が焦って舵を間違えて
着く頃には別の国にいるんじゃないか、俺達”
「そういう問題じゃなくて、船には他の客もいるワケだしさ
ヤルとしても、せめてララと船長に話しは通さないとパニックになるよ」
「あー、そうかー、つまらないなーっ
早くリバーガーデンへ行きたかったのにー」
危ない危ない、もしリリィと2人でいる時に問答無用で
魔法を行使されて船を強風で押されていたら、
今頃乗客全員で陸を目指して女神像へ向かっていたかも知れない。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。