夢遊病の迷子
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 先輩 姉御
シンシア・ルフィン プリ盾姐さん
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー
ララ・ヘルミナ お子様メイジ
ジーン・トアロ 盾ありウォリアー
マリア・ヴェルナーデ ドリル
ジェフリー マシュマロボディ
ルーファス 大剣メイジ
ティアナ 意識高い系のプリースト
リリィ ツン系魔法少女
ガルシア ヒゲ面
ウォーレン・ジーク シーフのマスター
パム・レーン 刀マニアの妹君
その時の俺はかなり”挙動不審”だったと思う。
ララが出てきたのも意外だったが、あの瞳の色とマスターの
”ヘルミナ以外の奴ら”という言葉が同時に頭を過ぎったからだ。
「あら、リシュじゃない、久しぶりね」
聞き覚えのある声だった。妙に落ち着いてるというか、
例えるなら古文書館にいる司書さんの様な口調と仕草。
”容姿とギャップあり過ぎだけど、あれ?少し縮んでる?”
気のせいか身長が一回り小さくなっている気が・・・。
このぐらいの歳の子って普通は成長期なんだろうけど、
逆になってるというか、前はもう少し高かった様な。
それに、あの素肌にあったタトゥーが消えている。
「どうしたの?アリッサならまだ帰ってきてないわよ」
「あ、いや、ララだよね?」
「何を言ってるの、当たり前じゃない」
うん、ララだ。しかし妙な感じが拭えない。
そういえばマスター達に”本人と話し合って決めろ”って言われてたな
その事が気になったのでララに憑依されてからの事を聞いてみると
「結果的に言えば、交渉を飲んだので憑依されてるわね
私の意識がない時に色々物色してるみたいだけど」
”という事はララの中に居るのか、アデルさん
しかし色々してるって・・・一体何をっ”
「最近は私が眠ってる時に外へ出たりしてるから
街で見かけたら家へ戻る様に言ってちょうだい」
”もはや夢遊病の迷子になってるがなっ”とはツッコめなかった。
「そ、そうなの、それは大変そうだ
見かけたら声を掛けるよ。ところでアリッサはどこへ?」
アデルさんが憑依してる事は分ったけど、今の問題はアリッサだ。
というかララと一緒に住んでるならアリッサが話すんじゃ・・・。
マスターがヘルミナ以外って言ったのは”文句言われそう”だから
あえて厄介そうなララを外しているのかもと勘ぐった。
「アリッサなら友達と街へ行ったわよ
刀を持っていたから侍の子だと思うけど」
”しまったぁーーーっ、そいや、友達って言ってたな”
俺はてっきりあの女ボディービルダー達と居ると思っていたけど
帰還したら教えてねとか喋ってたっけ。
「あはははは、そ、そう、街へ行ってるのかー」
「何かぎこちないわね、伝言あるのなら聞いておくけど?」
さすがにその刀女が妹と知られなくない俺は目が泳いでいたのかも知れない。
でもここはアリッサ本人に言う方が、後でララが知ったとしても、
マスターは一緒に住んでる事を知らないから何か言われても
”アリッサと同居してるんだからバレるにきまってるじゃん”でイケるっ
「あ、いや、もう遅いし、出直してくるよ
都合あえばミッションをしないかと思ってさ」
”これはいい返しのはず、ミッションなら疑われないし
仮に一緒にやる事になっても、その時にマスターの事を話せる”
「そう、じゃあ気をつけて」
何か疑われたか・・・、見た目は幼い子供だけど
全ての魔法を会得した者って呼ばれていたからなー。
心を読む魔法が扱えても不思議じゃない。
”先輩の方でアリッサとも出会ってくれてれば”
そんな淡い期待を胸に抱いて家路に帰る事にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ー翌日ー
オヤジの手伝いが終わって昼前に家に着くと、
妹が部屋へやって来て、昨日先輩と会って言伝を預かってるという。
「明日の午後からギルド行くから、そう伝えてって」
”良かったー、先輩、アリッサも探し出してたのか”
「シーフのマスターって、あのとき居た人でしょ
どう見ても盗賊じゃないよね、逞しすぎるし」
妹の中での”シーフ”という概念がどんなモノか分らないけど
ウォリアーのマスターでもおかしくないガタイをしてるのは確か。
「ま、まあ、色んなジョブを転々としてたらしいよ」
もう面倒だったのでマリアから聞いた話しは伏せておいた。
コイツが同じギルドのシーフなら話してたかも知れないが、
「言伝分ったよ、ありがとう」
先輩がパム達と会って話しをしていたのは有難いが、
女子間連絡網は侮れんからなー。あのマリア似の人の事もあるし
とりあえず、明日の事を伝える為に家を出てジーンの元へと向かった。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しています。