黒い影
登場人物
リシュ・レーン 駆け出し盗賊
リティア・ウィンフィールド 姉御 背後からの刺客
シンシア・ルフィン パワー系プリースト 姐さん
アリッサ・ハーメイ 放し飼いサモナー かぴばら
ララ・ヘルミナ お子様メイジ 雨がっぱ
ジーン・トアロ 盾ありウォリアー
マリア・ヴェルナーデ ドリル
ジェフリー マシュマロボディ
ルーファス 大剣メイジ
ティアナ 意識高い系のプリースト
リリィ トゲ 魔法少女 倍返し
ガルシア ヒゲ面
ウォーレン・ジーク シーフのマスター
パム・レーン 刀マニアの妹君
最初と同じ様に、敵の背をこちら側へ向ける形で
後ろの壁側へと誘導するシンシアを見ていると
”アリッサがヘイトを取ってしまった理由を知りたくなった”
本来は盾役ではないので、立ち回りがそれほどないとはいえ、
迷っていたシンシアと対照的にマスターにはヘイト先が分っていた。
おそらく2人の距離が離れてて、敵がその向きになっていたのなら
シンシアも迷わずにヘイトを取れた事だろう。
”あの時の違いは何だろう、経験からなのだろうか”
考え過ぎかも知れないけど、こういった戦闘状況って
ヘイトを操るシーフでは有り得る事なのではないか、
全く同じ実力とスキルを持つジョブの人達が攻撃した場合、
どちらにヘイトが動くのか、先読みしないといけない事もあるのでは、
”先輩はおそらくリリィとアリッサのどちらへ向かおうが
敵が背を向けたらサイドブレイクを決めるつもりだったと思う”
2人と会話してた事から魔職の方へ敵が向かうのを予測していただろうし
「さっ、2人とも今のうちに攻撃して削るでっ」
シンシアが敵の両手鎌攻撃を盾で凌いでる間に出来るだけ
HPを削ろうと、近接の俺達はスキル攻撃を敵の背中へ叩き込んだが、
相手の挙動がまた変わったのはそれから数秒後だった。
今度は屈んだまま両手の鎌を地面に突き刺した、と同時に
シンシアはその動きからディバインシールドを張ったが、
敵の攻撃は自身を中心に黒い影のようなモノが伸びてきて、
その範囲は広く遠隔魔法職の2人まで届いた。
「あーらら、こりゃ仕切り直しだな」
「え?あいつの窒息ってあんなんだっけ?
あの黒い影、見た覚えはあるのよねぇ」
「ありゃエストラじゃねーよ、デバフ与えるやつだ」
遠巻きで戦闘を見ていたマスターとマリアは相手の攻撃が
どんなものか分ったようで、まるでスポーツを観戦してる観客のように
飲み食いしながら互いに意見を言い合っている。
サーキュラーデスが屈んで黒い影のスキルを発動すると
その影が通り過ぎてゆくと同時に俺の身体に電撃が走ったかの様な
激痛に襲われ、手足を動かす事も出来なくなった。
「ぐっ・・・がはっ」
なんとか言葉を発しようとするが、痺れが酷くて言葉さえ出せない。
あまりの激痛に身を屈して、なんとか回りを見ると
パーティーの全員が同じように苦しんでいた。
「ほら、来るぞ、麻痺のあとに窒息とはえげつねぇな」
マスターの目に両手鎌を地面から引き抜いて
胸の辺りでクロスさせた敵は範囲窒息魔法エストラを詠唱した。
”マジかよーっ、あんなんアリか!”
一瞬で女神送りにされた俺は頭の中でそんな事を考えながら
辺りを見ると、胡坐をかいた先輩、ジーン、シンシアが霊体になっていた。
とりあえず入り口の女神像に行かないと復活できないので
ジェスチャーで3人に女神像まで行こうと手招きして入り口へと向かった。
お読み頂き有難うございます。
拙い文章ですがマイペースに更新しているので宜しくです。