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9月 中間発表はメンタンピンと共に

無事卒業しました。お世話になった先生方並びに同級生の皆さん、ありがとうございました。社会人になっても宜しくお願い致します。尚、この物語はフィクションです。

9月。まだまだ暑さは続く中、いよいよ中間発表が近付いてきていた。


中間発表前に僕らは一度研究室に来ていた。先月末に組み立てた実験装置の取得した情報をPCに送るための素子が遅れて到着したからだ。


今後得られたデータを解析するためにも、研究室のパソコンには頑張って欲しいところだった。だが、そもそも大学のネットワークに何故か接続できなかった。有線なのに。Windows7なんて今時使っているのもどうかと思うが、なんだか色々前途多難な予感が漂っていた。


なんか突然真っ青で文字がたくさん書い(ブルースクリーン)てある画面になったりするし。


結局、データは各々の持つノートパソコンで読み取ることに決まり、研究室のパソコンは使わないことが決まった。そもそもインターネットに繋がらないと何も始まらない。



中間発表はオンライン上で行い、3分半という短い時間での発表だった。僕らの研究が中間までに行ったことと言えば、実験装置を組み立てたことくらいになるだろう。3分半、研究概要と実験装置の説明をして「今後はデータ取っていきます」と言って締めることにした。


例年と異なりオンラインでの中間発表となった今年は、準備することが沢山あった。


具体的には…暇潰しである。


中間発表が3分半と短いにしろ、全部の研究を発表するには2日を要する程に量はある。つまり、それだけの時間を拘束されるわけだ。

となると、それに見合っただけの時間を浪費する準備をする必要があった。


もちろん、研究発表を真面目に聞き、時に質疑応答の時間に教授に混ざって質問するのも一興だろう。だが僕は小学校の頃に「自分がやられて嫌なことは人にしてはいけません」と習っている。


そんなわけで、僕は色々準備を進めていた。

まず真っ先に思いつくのはソリティアだろう。だがソリティアは、8月のデイリーミッションを完遂した段階で飽きてしまっていたのだ。

そういうこともあり僕は

「無料でできるやり込み要素があって手軽に達成感を得られそうなゲームねぇかなぁ~」

と、Steamをぶらりぶらりと眺めていたのだった。


そして、運命的な出会いを果たす。


究極の暇潰しゲー「マインスイーパ」との出会いである。


マインスイーパとは1980年代に発明された、一人用のコンピュータゲームである。ゲームの目的は地雷原から地雷を取り除くことである。(Wikipediaより)


といってもこのゲーム、最後は運ゲーであり「は!?ふざけんな!!今までの苦労を!!時間を!!返せ!!返せよ!!!」と何度も叫んだかわからない。

「でもSteamでマインスイーパ?なんで?もっと他にあるだろ?」と思ったそこの方は「Cute Puzzle」で検索だ。ステージ数は非常に少ないが、生物的本能が君をマインスイーパに駆り立てるだろう。僕は人生の2時間をそこに捧げた。

そういう経緯をもあり、僕はステージ数豊富なマイクロソフトマインスイーパをPCに入れて中間発表を迎えたのだった。


そして、準備は万全で迎えた中間発表。


発表はしっかり時間内に収め、質疑応答となる。質問してきたのは、学科で特に元気モリモリな教授だった。


「質問は2つありまして1つ目は…」


僕は「あわわわわ」と口をパクパクとさせる。しかし、共同研究者は至って冷静だった。


まるで「そんなこともあろうかと思って」と言わんばかしに発表パワポ資料の後ろの方に事前に準備していたスライドを表示して教授の質問に答えていく。だが、ここで思わぬ事態が起きたのだった。


「あ、いや…そういうことを言っているわけではなくてですね。その…」


そう、質問をしてくれた教授の研究分野と、僕らが行っている研究分野、関係性がありそうで関連性が無さそうな分野なのである。その為どこかで認識に齟齬があったのだろう。あえて言い訳を並べるならば「3分半は短い」

そうこうしている内に質疑応答の時間が終わり、教授も僕らもモヤモヤしたまま発表は終わるのだった。


結果的には後ろに控えていた別の教授の質問を受けることなく終わったわけで、危険牌を切らずに流局したような状況だ。好都合と言えば好都合ではある。評価に関してはわからないけれども。


その後、同じ研究室の仲間たちも発表を終え、あとは他の研究室の発表を聞く時間となった。

僕らはグループLINEで「お疲れ」と言い合った。

そして、他の発表者の声をBGMに僕はマインスイーパを始めるのだった。だがマインスイーパは。

















秒で飽きた。


なんというか、目標が無いと人は頑張れないというか、初手で爆死することが頻発し飽きてしまった。人間には向き不向きがあるというが、僕にはマインスイーパは向いていないようだった。


仕方なくスマホをいじいじしていると、研究室のグループLINEが再び動き出していた。僕はその流れに身を任せるように一つメッセージを送った。


「オンライン麻雀、対戦者募集(部屋ID)」


しばらくして僕含めた4名の雀士が集う。

僕はメンタンピン(リーチ(メン)・タンヤオ(タン)・ピンフ(ピン)の略)を基本に手を組んでいく王道の戦法で挑むが、流石に僕が認めた研究室の雀士たち。一筋縄ではいかない相手ばかりだった。


半荘戦を1回終えるころにはその日の発表は終わった。


2日目は発表を聞くだけだった。皆それぞれやることがあったりして麻雀をしたりすることはなかった。

ただひたすらに、真剣に(たぶん)発表を聞いて(真面目に聞く人)過ごした(少ないんじゃない?)。僕はと言えば、時間を有効活用する方法を模索しながら発表に耳を傾けていた。


それからは目立ったアクシデントも起こらず、中間発表は静かに幕を閉じた。


しかし中間発表が終わったからといってひと段落ではない。むしろ僕らはここからが本番だろう。実験装置はあるわけで、ここからデータ収集とそのデータの解析を行う日々が始まるのであった。


始まるはずであった。


9月中旬。僕がプレイしているソシャゲに「死ぬほど周回しないと勿体ないイベント」が始まってしまったのだ。これにより、僕の研究に割く時間は大幅に減ることになる。


そんな経緯もあり、中間発表明けの研究会の僕が作った資料は目をそむけたくなる内容だった。


・進捗状況

実験装置周辺の環境の整備および、中間発表の反省を行った。またデータ解析の為にプログラミングの学習を進めている。

・詳細

パソコンのインターネットに繋がらず(ブロードバンド接続への接続エラーと表示される)その原因を模索した。複数の LAN ケーブルに差し替える、PC 本体を再起動する、などを試みても繋がらなかった為、原因はパソコン本体にあると考えられる。その為、今後の作業は各々の使っているノートパソコンで作業を行い、データに関してはクラウド上にあげて共有及び保管を行うことで決定した。


以上。



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