なろう作者密着24時~毒舌なもふもふ達が恐ろしい実態を暴き出す!~
もふもふ達の会話文のみで紡ぐエッセイです。生温かい目で読んでやって下さい。
『皆さんこんにちは。今回、とあるなろう作者の一日に迫るもふもふの犬の妖精こと白もふです』
「黒もふッス」
『ちょっと、黒もふさん。僕達何でこんなもふもふしているんですかね? もふもふ過ぎて犬の原型留めてないですよ。最早綿毛ですよ。耳掻きの上のふわふわな部分ですよ』
「作者がもふもふにハマっているかららしいッスよ。しかも生活に支障をきたしてまで、もふもふ関連の内容の作品を二つも連載しているって言うね」
『バカですねぇ~』
「まぁ話を戻して白もふさん。今日はとあるなろう作者の実態に迫るとのことで?」
『あ~、はいはい。常日頃僕はなろう作者さんを観察しているんですけど、あまりにも酷い生活をしているなと思い、皆に暴露……じゃねーや、共有したいと思ったんですよ。あとは読み専の人達にも、作品だけではなくなろう作者についても知って貰おうと思いましてね』
「なるほどなるほど。目の前に大きな画面がありますが、ここに作者さんが映される感じッスか?」
『ですです。ここのスイッチを押せば、作者さんがいる場所が出てきますよ。はい、ポチっとな』
「……あっ」
『わお』
「ちょっとちょっと白もふさん。何で作者さん全裸で部屋でスマホ弄ってるんスか」
『お風呂上がりなんでしょうかね。部屋に下着を忘れたついでにスマホでブックマークが増えてないか確認しているみたいですよ』
「わぁ、風邪引いちゃうッスよ。めっちゃ、くしゃみしてるし」
『バカですねぇ~』
「というかめっちゃショック受けた顔してるじゃないッスか。何かあったんスかね?」
『どれどれ……。画面を拡大っと。あっ、ブックマークが減っちゃったみたいですね。無意味に何度もリロードしていますよ』
「気のせいかとでも思いたいんスかね?」
『バカですねぇ~』
「おっ、今度は違う画面を開いた。ん? 小説家になろうのページではなくてトゥイッター開いてるッスね。何ででしょうか?」
『更新報告をSNSにアップしているからでしょうね。トゥイートアクティビティからどれだけリンククリック数があるか確認していますね』
「ん? どういう意味ですか? ちょっと難しい単語分からないッス」
『バカですねぇ~』
「おいこら、ちょっと。それ僕にも言うんスか」
『要はSNSで更新したページのURLからどれだけ小説家になろうの作品ページに飛んでくれているか見ているってことですよ』
「なるほどなるほど。おっ? 次は何か検索し始めましたね」
『これは読了トゥイートを検索していますね』
「読了トゥイートとな?」
『作品を読んだ読者さんが感想を一言乗せて読んだことをトゥイートしてくれることがあるんですよ』
「ほぉ。気持ち悪いくらいニヤニヤしてるッスね。嬉しい感想でも書いてあったんスかね?」
『バカですねぇ~』
「単純なんスかね。ちょっと動く気配無いんで早送りするッスね。三十分早送りっと」
『……』
「……あれ?」
『まだ裸ですね』
「ですね。まだスマホ見てますよ。今度は小説家になろうのページ開いてるみたいッス」
『他の作者さんの作品……いや、作品情報ページを見てますね』
「え、何故?」
『自分と同じジャンルの作品を見て、ブックマークやPVがどうか比較してるんでしょうね。どうやら文字数が自分より少ないのにブックマークとPVが十倍以上でショック受けていますね』
「え~。他人と比較しても仕方無いのに。作品其々に良いところ、悪いところがあるんスよ。気にしないで書いて欲しいッス」
『バカですねぇ~。まぁでも作者が人間である限り人と比べないって言うのも無理かもしれませんね。そこから成長できることもあるかもしれませんよ』
「……ふむ」
『あっ、スマホ閉じた。駆け込んでお風呂に戻りましたね』
「一体どのくらいスッポンポンでいたんスかね? これで風邪引いたらどうするんスかね」
『バカなんでしょうねぇ~』
「ちょっとキリが無いので次の日の朝まで早送りするッスね。スイッチをポチっとな」
『……』
「……おっ? まだ寝ているかと思いきや、朝から机の上で何やら黙々と書いていますね」
『これは新作のプロットを書いていますね』
「ほぉ。ちょっと覗いてみるッスね。拡大っと」
『……これは』
「……何か後半になるに連れて雑になっているッスね」
『最初は忘れないようにキャラクターの台詞やストーリーを細かく書いていたのが、段々と面倒臭くなったんでしょう。もう終盤はワンシーンが一言しか書いていないレベルですね』
「脳内補足すればいいやと思ってるんスかね。こんな無駄に壮大な物語書いちゃって……後で絶対忘れるやつッスよ」
『バカですねぇ~』
「おっ。手を止めてスマホを弄り出しましたね。恒例のブックマーク確認ッスかね?」
『みたいですね。おっ、顔が嬉しそう』
「どうやらブックマークが増えたみたいッスね。小踊りまでし始めたッスよ」
『あ~。歌まで歌い始めた。バカですねぇ~』
「あっ、今度は仕事に行く準備始めましたね。あ、う、ちょっ、着替え始めた。は、早送りするッスね」
『何故?』
「人の裸見るのはマズイッスよ! き、昨日の風呂上がりはたまたま見ちゃっただけなんで仕方無いッスけど!」
『顔赤くしちゃって、ムッツリスケベですねぇ~』
「やかましいわ! 早送りするッス!」
『……』
「……おっ。今度は電車に乗っているッスね。通勤途中でしょうか?」
『おやまぁ、あんなにスマホに顔近づけちゃって。猫背になっちゃいますよ』
「何をそんなに夢中になっているんスかね。ちょっと覗いて……お、今度はブックマークじゃなくて感想欄を見ていますね」
『久し振りに感想が来たみたいてすね。しかし嬉しそうと言うより何だか焦っているような……』
「よし、内容確認、拡大っと……。おっと、これはストーリーの内容について突っ込まれているッスね。“◯◯はどうなったの? 存在忘れていません?”と書かれています。プロット雑に書いたからこうなったんスかね」
『バカですねぇ~』
「よし、ダラダラ見ていても仕方無いのでまた早送りするッスね。今度はお昼まで早送りっと」
『……』
「……おっ、今度はお昼休憩取っているッスね。お弁当食べながらスマホ弄っているッスよ」
『行儀が悪いですねぇ~』
「今度は何を見ているのかな……って、うおっ!? いきなり叫んで飛び跳ねた!?」
『おっ、これはレビューが書かれたみたいですね。 尋常じゃない喜び様です』
「職場にいるのに……。一緒に食事とっている同僚ビックリしてるじゃないッスか」
『バカですねぇ~。まぁレビューを貰えるって、道端で五百円玉拾えるくらいレアなんで仕方無いですかね』
「微妙に分かりやすい例えありがとうございます。因みに作者さんは小説を書いていることをリアル知り合いや家族に公表しているんスかね?」
『まさか。そんな訳ないでしょう。リアルの友人、況してや家族に自分の書いた小説を見せるなんて、全裸で公共の場を全力で駆け抜けるのと同等の行為ですよ』
「ええ、そんなに?」
『まぁもっと分かりやすい例えをするなら、趣味全開の同人誌を隠し棚に置いていたのを、掃除をしようと勝手に部屋に入り込んだ親に見つかったのと同じ心境です』
「やけに具体的ッスね。白もふさんのリアル体験記ッスか?」
『よし、次いきましょう。早送り』
「誤魔化した……」
『……』
「……お? 今度は帰りの電車ですね……え、何か涙ぐんでません? 批判でも喰らったか、ブックマークがまた減ったんでしょうか」
『いや、これは違います。自分の書いた小説を読んで泣いています』
「ええ? 自分の書いた小説で……?」
『先の展開で重要なキャラクターが死ぬ時が近付いてきたんでしょう。きっとそれを想像して泣いているんです』
「お、大袈裟じゃないッスか?」
『そんなことはありませんよ。作者が生み出した作品は、キャラクターは、子供同然に可愛いもんです。必要な展開とは言え、殺す……じゃなくて、死なせるのは心にくるものがあるのでしょう』
「へぇ……。僕には分からない感覚ッス」
『まぁ作品を生み出す者だからこそ分かることかもしれません。それではまた早送りするモフ』
「お願いします……って、ん?」
『黒もふさん、どうしたモフ?』
「白もふさん、何でいきなり語尾が変わってるんスか?」
『キャラが立っていないと思って急遽モフを付けました。ではなくて、付けたモフ』
「ブレブレじゃないッスか。と言うかもう終盤だし、今更感半端ないッスよ」
『なろう小説でもよくあるモフよ。急にキャラを立たせようと思って逆に変になるやつモフ』
「いや、でもだからと言って……」
『うるせえ』
「うるせえ!?」
『次に行くモフ。夜まで早送りモフ』
「……」
『……お、仕事場から帰宅したんでしょうか。今度はテレビでニュースを見ていますね』
「本当だ。凄い真剣な顔して見てるッス」
『最近暗いニュースが多いですからね。日本全体が沈んでいると言うか、外にも出にくくなっちゃいましたし』
「……そうッスね。作者さんは神妙な顔していますが、何を考えているんスかね?」
『今自分が書いている小説が、どれくらいの人に楽しみにして貰えているか、暗い気持ちになっている人達をどれだけ明るく出来るんだろうかって考えています』
「……なるほど」
『まぁ人数は多くないにしても少なからず待ってくれている読者さんは必ずいるでしょう。どの作者さんも、数字だけに囚われずそれを忘れないで欲しいですね』
「……白もふさん」
『何てすか?』
「語尾忘れてる」
『おっと、しまったモフ。しかし許してくれ。異世界から転生してきた俺はチート級のスキルを得た代わりに、記憶が時々抜けてしまう呪いを魔王に掛けられちまったのさ。しかし異世界最強の俺はあっと言う間に魔王を倒し、美女達に囲まれ、ハーレム状態に。そして色々な女性に手を出していたらあっという間に恨まれ、包丁で刺されそうになったところを何故か上手い感じに美少女にTSして何故か百合展開に……』
「ちょっとちょっと、いきなり何スか!? そのなろうのテンプレを詰め込みすぎて逆に無さそうな物語は! あと何故か二回言いましたよ」
『おっと、作者さんがパソコンを取り出して執筆作業に入りましたよ』
「おーい。無視するなー」
『……真剣モードに入りましたね。今夜はこのままずっと物語を書いて一日が終わりそうです』
「……そうッスね。あっという間に終わってしまいました。何だかこんなに夢中になれるものがあるって羨ましいッス。僕にもこんなに夢中になれる趣味を見つけられるでしょうか」
『……大丈夫さ。ゆっくりと見つけていけば良い』
「何すかー。白もふさん、また語尾が変わって……って、白もふさんがもふもふからイケメン皇太子に変わってる!? そして僕は何故かおっぱいが大きいツインテールのロリ美少女に!?」
『最近は男×美少女に転生した元男のTS物語っていうのも流行っているみたいですよ』
「な、何スかそれは! つーか顔が近い! 僕にそんな趣味は無いんで止めてくださいッス!」
『愛い奴じゃ。近う寄れ……』
「どこの殿様!? キャラがブレブレじゃないッスか! 口調統一して、あっ、あっ、やだっ」
『元ノンケ男子が身体も心も女の子になっていくのっていいよね』
「や、やめ。そんなところ触らないで、いやっ、あっ、アッーー!」
オチが何故こうなったのかは作者にも分かりません。辛い時期の真っ只中ではありますが、皆さん一緒に頑張りましょう。