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デ○ノートが辞書ぐらい分厚かったらもはやブックエンドで逆にバレない

 昨日の夜、香織が映画を観たいと言い出した。日曜日だし俺も暇なので、賛成した。映画に時間をたっぷり割けるよう、早めに寝てエネルギーを充電した。映画を見ると意外と疲れるからな。


 それで今、俺達はレンタルビデオ屋に来ている。


 別に映画館に行っても良かったのだが、今やってるドキュメンタリー映画は俺の好みじゃないし、話題らしいアニメ映画も原作を知らないから、見る気が起きない。というわけで、やめた。


「それじゃ、後でな」

「うん!」


 俺達は二手に分かれて各々見たい作品を探す事にした。というのも、昨日映画について話している内に、俺達はどうやら作品の好みがだいぶ違うらしいと分かったからだ。


 うーん、やっぱ派手なのが面白いよな。そう思ってハリウッドの名作コーナーを見ている途中、例の「のれん」が俺の目に入った。


 レンタルビデオ屋には必ず奥まったところにある、紳士の社交場だ。残念ながら俺は18歳未満なのでまだ入れないが、いつか入る事になるのだろうか。んー、借りる時結構恥ずかしいから、なんやかんや行かない気がするんだよな。


 ほら、一般作品は読み込むとタイトルがレジに出るじゃん?多分えっちぃ作品もタイトルが出るんだよ。それで、ショッピング途中に立ち寄った仲良しファミリーに『お姉ちゃんとっ♡ vol.4』なんて見られたら......ゾッとするね。


 それに、気に入っちゃってうっかり延滞してしまったら、返すのも大変じゃないか?


「あ、こちら『お姉ちゃんとっ♡ 5周年特別版』に延滞料金がかかります。3日分で、900円です」


 なんて店員さんはハッキリ言うだろう。うわー、駄目だ!恥ずかし過ぎる!


 これで名実ともに、Hを延滞でHENTAIだ。シッポを巻いて店から逃げ出す羽目になるぜ!



 閑話休題(チ○ポじゃねえよ)



 俺は某サメ映画、香織は某猫型ロボットの映画をチョイスした。どっちも安定感あるな。会計を済ませ、我が家へ向かう。


「私映画見るの久しぶりかも!お兄ちゃん、楽しみだね!」


 香織はふんふん言いながら歩いていく。白いカーディガンが太陽を浴びてきらめき、黒いショートパンツとのコントラストを際立てている。


 はしゃいでいる香織を見るだけで、俺は幸せだ。香織をもっと楽しませてあげたい。よし、お菓子でも買ってあげよう。


 帰り道の途中でコンビニに寄り、ジュースとポップコーンを買う。俺はサイダー、香織はオレンジジュースだ。ポップコーンは俺は塩派だが香織はキャラメル派だったので、どっちも買った。多いかなあと言いあったが、どうせあっさり食べ尽くすのだから、問題ないだろう。


 まずは俺の選んだ、某サメ映画を再生。人喰いザメといえばこの作品と断言出来る、サメ映画の金字塔だ。


 タイトルは有名だが、内容はよく知らない人も多いのではなかろうか。俺もそのうちの1人だったので、今回見てみることにしたのだ。


 香織は序盤は普通に見ていたが、不穏な空気が流れだすと、顔が段々こわばっていった。


 そして、恐怖の瞬間が訪れた。賑わうビーチに突如現れたサメが、観光客に食らいつく!


「いやあぁぁぁ!!お兄ちゃん!!こわすぎるよおぉぉぉ!!」


 香織は泣きながら、俺に抱きついてきた。


 押しつけられた胸が、歪んでいる。

 上着を掴まれ、全身でスリスリされる。

 色白の太腿が、小刻みに震えている。

 肩に顔を乗せ、包み込むように抱きしめてくる。


 恐怖が、熱が伝わる。


 その後も時々キャーキャー言いながら、エンドロールを迎えた。いやー、思った以上に面白かったな。大満足だ。ありがとう、スピ○バーグ。


 さて、次だ。某猫型ロボットの映画にディスクを入れ替え、再生。


 まあいつものパターンだよな。最初は日常シーン。そっから事件があって、大冒険だ。


 お、始まった。某猫型ロボットが押入れから登場。真っ昼間からのんきに寝ている怠惰な少年を戒めようとする。


「もう、の○太くん!宿題は終わったのかい?」


 ん......?宿題......?


 あっ!俺、まだ春課題終わってないじゃないか!明日提出だったよな!?


 香織のセレクションのお陰で、思い出せた。危なかった。結構残ってるし、今日は徹夜かな......


 まあ、今は大冒険を楽しむ事にしよう。どうやら俺も、怠惰な少年のようだ。

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