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 予想外の大嵐を抜け、会議は常のものへと戻り、やがて終わった。


 ガシュラ一派が出ていくと残りの3王子がメルドラの元に集まる。


 第5、第6王子は口々にメルドラの短慮(たんりょ)を責めた。


 が、カサンドラは黙っている。


 赤く美しい瞳で弟を見つめる。


 メルドラはイタズラっぽく微笑むだけ。


「僕に任せてください」


 呆れた2人の王子は会議の間を去った。


 侍従以外はメルドラ、カサンドラ、ラヴィだけとなる。


「メルドラ」とカサンドラ。


「大丈夫なのか?」


 やはり心配そうではある。


「はい、兄上」


 メルドラが頷く。


「もう引き受けてしまったのだから、仕方がないが」


 カサンドラの右手がメルドラの左肩に置かれた。


「お前の行動にはメリステア様とチャミの命も懸かっているのを忘れるなよ」


 何か不穏な動きをすれば、人質の2人はガシュラに殺される。


 カサンドラは、それを確認したのだ。


「分かっています」


 メルドラは涼しげな顔。


「母上とチャミは絶対に危険な目には遭わせません」


「それを聞いて安心したよ。メリステア様の悲しむ姿は見たくない」


 そう言ってカサンドラは部屋を出ていった。


 先刻からソワソワと2王子の会話を見つめていたラヴィが、メルドラに飛びつく。


 両手でメルドラの肩を掴み、激しく揺すった。


 メルドラの身体が前後にブンブンとなる。


「メルドラ様!!」


 ラヴィは怒っていた。


 眼が吊り上がっている。


「何故、急にあんなことを!? 私、全然聞いてないんですけど!!」


 前後の揺れが収まったメルドラがキョトンとする。


 そして、ようやく口を開き。


「ニャーオ」




 1ヶ月後、王宮の大広間のひとつに傭兵たちが、ひしめきあっていた。


 メルドラが募集した傭兵たちである。


 その中に15歳の少年と小熊型宇宙人のコンビが居た。


 ジローとモッキュ。


 最近、メキメキと名を上げている宇宙を股にかける2人。


 ジローはかつて、ある惑星で遺伝子操作により産み出された高戦闘力兵士ハイブリッドソルジャーの生き残り。


 現存するのは2人のみ。


 もう1人のハイブリッドソルジャーは現在、監獄惑星で服役中だ。


 ジローは兵士としての全能力が半端ないが、さらに手首のブレスレットから増強剤を投与することで短時間、超高速の行動が可能となる。


 モッキュはジローの装備運搬係兼かわいさ担当。


 そのかわいさはぶっちぎりで宇宙1位(ジロー調べ)。


「ほら、ドクターメフィストのラボで! モッキュが彼女と間違えた!」


 傭兵たちでごった返す中、ジローが言った。


「ああ!!」


 モッキュがポンと手を打つ。


「レラさんだね!」


「それそれ、ニラだかレラだか知らないけど、あの愛想悪い女の眼だよ!」


 黄色の髪に、涼しげで東洋的な顔をジローがしかめる。


 軽装戦闘服の襟に隠れた首から少し、バーコードの刺青(いれずみ)が覗く。


 ハイブリッドソルジャー研究所に居た頃の名残だ。


「うーん」


 モッキュが茶色でモフモフとした、かわいい顔を傾げる。


 小熊型宇宙人用のスペーススーツを着用していた。









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