41
「あなた方には」
メルドラが口を開いた。
ジロモキュ、そしてレラたちを見つめている。
「本当に感謝しています。素晴らしい活躍でした」
ミアとモッキュが頬を赤らめた。
誇らしげな顔。
「私からもお礼を申し上げます」
メリステアが頭を下げる。
「わ!」
トラコがアワアワする。
「偉い人に頭下げられたら、何や落ち着かへんわ!」
トラコの言葉に、一同は笑った。
「私はエルフィンが、きっと助けてくれると信じてたわ」
チャミが言った。
「8年前の地下洞窟と同じようにね!」
感極まったのか、チャミが隣に座るエルフィンに抱きついた。
「チャミは私の妹になるんだから、当たり前よ」
エルフィンがそう言って「どう?」という顔で、ソファーの後ろに立つラヴィを見る。
ラヴィは眼を逸らした。
本妻のプレッシャーが強い…。
「無茶な作戦だったわ」
レラが言った。
「あたしが居なかったら失敗してた」
「いや」
ジローが、すかさず割って入る。
「俺が居たから問題なかった」
レラがムッとなる。
「あんた、バイパーの奴らに手も足も出なかったじゃない!」
「おい! 人聞きの悪いこと言うな! あそこから楽々、大逆転できたぜ!!」
「はあー? 敵に捕まってピーピー泣いてたくせに!」
「なっ!? 何言ってんだ! 嘘つくなよ!!」
「べー」
「何だ、こいつ!! ムカつく!!」
ジローがソファーの端から、反対側の端に座るレラに掴みかかりそうになるのを隣のモッキュが「まあまあ、ジロー」と止めた。
「お姉ちゃんもやめてよ!」
ミアがレラに怒る。
「ジローさんに謝って!」
「イ・ヤ・だ! 絶対に謝らない! 何でこんな小猿に!」
「こ、こ、小猿!? ふざけんな!!」
「ああー!!」
トラコが立ち上がって、大声を出した。
皆がトラコを見る。
「忘れるとこやった! ジローさん、モッキュさん、サイン下さい!」
トラコがポケットから、小型端末を取り出し、ホログラムの色紙を映し出す。
「せっかく逢えたから! お願いします!」
「このタイミングで!?」
ジローが呆れた。
「とにかく」
ジローとモッキュがトラコの色紙にサインするのを横目で見ながら、メルドラが言った。
「あなた方はターコートの英雄になった。もちろん、僕個人としても今後、あなた方に何か困ったことが起これば、全力で助けさせていただきます」
「そういうのはいいよ。ギャラも、ちゃんと貰えたし」とレラ。
その横では、ミアがチャミと小型端末を手に取り合って「アドレス教えてー」「SNS、フォローするね!」などとキャッキャッしている。
ひとしきり歓談が済むと、ジローとモッキュ、レラとミアとトラコは宇宙港に向かうため、メルドラたちに別れを告げた。
賞金稼ぎたちが去った室内には、メルドラとエルフィン、チャミ、メリステア、ラヴィだけになった。
「とても楽しい人たちね」
メリステアが言った。
「ええ」
メルドラが頷く。
「それでいて、一流の戦士でもある。また、彼らの力を借りる日が来るかもしれません」
やや表情を引き締めたメルドラに、チャミが抱きつく。
「ああ!!」
嬉しそうに言った。
「お母様とお兄様と、こうしていっしょに過ごせるなんて私、とっても幸せ!!」
それを聞いたメリステアとメルドラも笑顔になり、チャミを間に挟み、3人で抱き合った。
久しぶりの家族の時間を分かち合う。
「私も!!」
エルフィンがメルドラの後ろから抱きついた。
「ラヴィもおいでよ」
メルドラが誘う。
間髪入れずにエルフィンがラヴィをにらみ「フーッ!!」と威嚇する。
ラヴィがエルフィンから眼を逸らした。
前途は多難だ…。
「ニャーオ」
メルドラが鳴いた。
「「ニャーオ」」
エルフィンとチャミがすぐに応える。
「あら?」
メリステアが首を傾げる。
「何なのそれ?」
メルドラとチャミ、エルフィンがイタズラっぽく目配せし合う。
「「「ニャーオ」」」
おわり
最後まで読んでいただき、ありがとうございます(*^^*)
ホントに大感謝ですm(__)m




