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 騒ぎを聞きつけ、会議の間の入口付近で集まっている衛兵たちに向かいカサンドラが「国を裏切った罪人を地下牢へ閉じ込めよ! 今この時より、全てはこの第4王子カサンドラが執り行う(むね)を皆に知らしめよ!!」と宣言した。


 王子たちを人質に取られた状態で何も出来ず固まっていた兵士たちが、弾かれたように動きだし、ガシュラたち3王子を拘束する。


「メルドラ!!」


 兵士たちに連行されながら、ガシュラが叫んだ。


「必ず…」


 瞳が激しい憤怒に燃えていた。


「必ず、お前を殺してやる!!」


「わあ!!」


 メルドラが両手を挙げて、おどけて見せる。


「ガシュラ兄上に、こんなに気にしてもらえるなんて光栄です! 嬉しいなー!!」


 ガシュラたちは兵士たちに連れられ、会議の間から去った。


「さて」


 メルドラがエルフィンの側に寄る。


 再び、彼女の腰に左手を回した。


 残った右手でラヴィの肩に触れる。


「ラヴィ」とメルドラが呼びかける。


 エルフィンが「ちょっと!」と口を尖らせた。


「え?」


「何だか怪しくない?」


「怪しい?」


 メルドラが首を傾げる。


「まさか、あたしがいっしょに居ないのを良いことに、その娘とよろしくやってたんじゃないでしょうね?」


 エルフィンの瞳が疑いに細まる。


「ええ!?」


 メルドラが眼を白黒させた。


「そ、そ、そんなわけないだろ!」


 メルドラのリアクションに、ラヴィも慌てた。


 何故、そんな顔をする!?


 私とは、何もねぇだろーが!!


「ラヴィは本当に有能な人だよ。もちろん、これからも僕の側に居てくれるよね?」


 猫スマイル!!


「それとも、ガシュラ兄上の方が好きかな?」


 ラヴィがブンブンと首を横に振った。


「わ、私はメルドラ王子の味方です!!」


 ラヴィが懸命にアピールする。


 良かったっ!!


 とりあえずは生き残れそうだ!


 あれ?


 何かが、うっすらと見えてきたよ…。


 カサンドラ王子の第2夫人のヴィジョンは消えて…メルドラ王子の第2夫人の未来が見えてきた!?


 考えてみたら、それも悪くないかも!!


 オホホホホ!


 私は王子の第2夫人ザマースのよ!!


 あれ?


 第2夫人って、この喋り方で合ってんのかな?


 顔をやや紅潮させ、考え込むラヴィをエルフィンが眼を細め、じーっと見つめる。


 エルフィンとラヴィに挟まれて立つメルドラは、ニコニコと無邪気な笑みを浮かべていた。




 ターコートの実質的な指導者が代わってから、1週間が過ぎた。


 全ては大きく変化した。


 と言っても、カサンドラがガシュラの悪政を廃し、ルールを父王の頃のものへと戻しただけではあったが。


 これはガシュラの横暴が、いかに最悪であったかを証明する形となった。


 そしてガシュラたち3王子がバイパーと結託した罪により地下牢に収監されたからといって、王宮内の誰一人としてそれを救出しようという者が現れなかった事実は、彼らに恐怖して上辺(うわべ)は同調していた者たちも本音では支持をせず、嫌々、従っていたのだとはっきり示した。


 実質的な抵抗が無かったのは、病床にある父王がカサンドラの要望にって、全権をこの第4王子に託すという宣言を行ったことも大きな要因ではあったろう。


 父王は自身の病による弱りと、ガシュラを(とが)めることで却って開き直られ、メリステアやチャミに危害が及ぶのではないかという恐怖から、結局は暴走を止められなかったとカサンドラに()びた。


 カサンドラは父親の手を取り「それは当然です」と両眼に涙を溜め、これを許した。


 急速にあらゆる事柄が落ち着きつつある王宮のメルドラの部屋で、窓から入る優しい夜風をその身に感じながら、一同は歓談していた。


 メルドラの後ろに立つラヴィ以外は皆、大きな2脚の向かい合わせたソファーに座っている。


 私もいつかはメルドラの寵愛(ちょうあい)を受け、皆と同じようにあのソファーに座れるかしら?


 ラヴィは妄想した。


 ソファーに座ったメンバーは、メルドラとエルフィンとメリステアとチャミ、ジローとモッキュ、レラとミアとトラコ。











 




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