表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/41

37

 突然、金属アームを破壊され呆然とするサイボーグたちは、レラへの反応が遅れた。


 高熱で真っ赤になったレラの両拳が、その一瞬で5体のサイボーグの頭を叩き壊し、胴体をぶち抜く。


 仁王立つレラの足元に無力化されたバイパーサイボーグたちが転がった。


「口ほどにもないね」


 レラが言った。


 用心棒たちの無惨な末路を見たガシュラと2人の王子が、そっと会議の間から脱け出そうとするが、トラコのアサルトライフルの銃口が突きつけられる。


「大人しいしとき」


 トラコが警告すると、3人は両手を挙げ動きを止めた。


 エルフィンもハンドガンをガシュラに向ける。


「さあ、これで勝負あったね。外で戦ってる兵士を止めて。こっちも攻撃を中止するから」


 ガシュラは唇を噛み、エルフィンをにらみつけた。


 が、ハンドガンをさらに近づけられると、円卓上のホログラムで将軍に呼びかけた。


 将軍の顔が映し出される。


 戦闘中止の命令を受けた将軍は、すぐさまそれに従った。


 エルフィンも通信機で仲間を停戦させる。


「あんたの天下も終わったね」


 エルフィンがガシュラに言った。


「お…おのれ…」


 ガシュラの顔が怒りで歪む。


「キサマら、どうやって…」


「あー」


 エルフィンは首を傾げた。


 3王子の見張りをトラコに任せて、床に寝転がっている人々に近づく。


 ラヴィが恐怖で「ヒッ」と声を上げる。


 恐ろしい砂賊に、問答無用で撃ち殺されるのではないかと思ったからだ。


 エルフィンはラヴィを通り過ぎ、メルドラの側に立った。


 銃を持たない左手を差し伸べ、メルドラの手を掴む。


 メルドラの身体を引っ張り、立ち上がらせた。


「ここから先は、私のハニーに説明してもらうよ」


 エルフィンが言った。


 メルドラとエルフィン以外の一同は、ポカンとなった。


 ラヴィも、ひどく驚いている。


 ハニー…って…何だ?


 ターコートの第7王子と砂賊の女が…ハニーとは?


 驚く人々の前で、エルフィンはメルドラに抱きつき、濃厚な口づけを交わした。


 ようやく離れたエルフィンに「キスが長いよ」とメルドラが笑う。


「そう?」


 エルフィンは不満げだ。


「本当に久しぶりだから、ちょっと燃えちゃった。これでも遠慮してるのよ」


 2人が「「ふふふ」」と笑い合う。


「な…」


 ガシュラが何とか、口を開いた。


「何だ、これは…ど、どういうことだ?」


「兄上」


 メルドラが呼びかけた。


 まるで幼児に言い聞かせるような口調だ。


「あなたはやり過ぎたのです。父上のような善政を行っていただけたなら、私もここまではしなかった」


「…な…」


「民への重税、さらにエズモ族から『シィムの水』を奪って強化薬を精製、バイパーと結託しようなどとは…さすがに見過ごせません」


「メルドラ!」


 カサンドラが立ち上がり、口を挟んだ。


「それは本当か!?」


「はい。残念ながら」


 メルドラが頷く。


「この王宮内にまでバイパーの手先が入り込んでいたのが、何よりの証拠」


「まさか…そこまで…兄上っ!!」


 カサンドラがガシュラを(とが)める。


 しかし、ガシュラはそれどころではなかった。


 まるで視線だけで弟を殺そうとするかの如き鬼の形相で、メルドラをにらんでいる。


「まさか…お前が? 否…信じられん…」








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ