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「『ジロモキュ』だと!?」


「本物かよ!?」


 傭兵たちが口々に騒ぐ。


「わー!『ジロモキュ』やーん!!」


 トラコの瞳がハートになった。


「モッキュちゃん!!」


 ミアはモッキュの無事な姿を見て、ホッと胸を撫で下ろした。


「お姉ちゃん、ジローさんとモッキュちゃんだよ!」


 ミアの言葉に、レラも口角をほんの少しだけ上げて笑う。


 有名人「ジロモキュ」に近づくため、早くも傭兵たちを押しのけ進みだすトラコの背中をミアも姉の手を引いて追いかけた。


 難度が高い潜入ミッションの成功に懐疑的だった傭兵たちも「ジロモキュ」の登場で、一応の落ち着きを取り戻した。


 これは勝てるかもしれない。


 皆が、そう思い始めている。


「さらに詳しい部隊分け等は、この後、各担当から伝える! 作戦決行は明後日の深夜! 以上!!」


 エルフィンはそう言うと、ジロモキュを伴って壇上から下りた。


 3人で洞窟の奥へと歩いていく。


「モッキュちゃーん!!」


 その背中に少女の声が呼びかけた。


「え!?」


 モッキュが振り返る。


 傭兵たちを抜け出して、こちらへ走ってくる3人の姿が見えた。


 先頭の黒と黄のボディスーツの少女が、モッキュたちの前で止まる。


「わー!!」


 少女が泣きそうな顔になった。


「ホンマにモッキュ…あ! 呼び捨てアカン、アカン! モッキュさんやーん!!」


 見覚えのない少女にモッキュが首を傾げる。


 エルフィンも驚き、ジローはしかめっ面。


「ア、アタシ、トラコっていいます!『ジロモキュ』の大ファンです!!」


 トラコが直立不動で自己紹介したところで、遅れてきた2人が追いついた。


「モッキュちゃん!!」


「あ! ミアちゃん!!」


 お互い駆け寄ったミアとモッキュが抱き合う。


 それを見たジローの両眼が、怒りで三角になった。


「良かった、無事で!!」


「うん、ミアちゃんも元気そうで良かった!」


 2人が笑い合った。


「知り合いなの?」とエルフィン。


「あー」


 ジローが眉間にしわを寄せる。


「最近、知り合ったばかりだ」


 ジローの視線がミアの横に立つ、レラに向く。


 レラが顔を逸らした。


(やっぱり似てる…)


 ジローは思った。


(ドクターメフィストのラボに居た女に雰囲気が似てる…)


「モッキュちゃん、潜入ミッションするの?」


 ミアが訊いた。


「うん」


 モッキュが頷く。


「大変じゃない?」


「大丈夫」


 モッキュがジローを振り返る。


「ジローが、いっしょだから」


 ジローの頬が少し赤くなった。


「よーし」


 ミアが急に張り切り、自分の両頬を両手でパンパンと叩く。


「私も行くよ!」


「「ええ!?」」


 モッキュとレラが同時に驚く。


「危ないよ、レラちゃん」とモッキュ。


「ダメよ!!」


 レラがミアの両肩を掴む。


「絶対にダメ!!」


 必死の形相だ。


「ええー」


 ミアが不満げに唇を尖らせる。


「ヤダ!! 絶対に行く!! モッキュちゃんが心配だもん!!」


「ミアちゃん…」


 モッキュが嬉しそうな顔になった。


「ダメったらダメ!!」とレラ。


 ミアが半べそで、レラに両手を合わせた。


「お願い、お姉ちゃん! 一生のお願い!!」


「ダメに決まってるでしょ! 遊びじゃないのよ!」


「じゃあ、お姉ちゃんも来てよ! 私を守って! ね、お願い!!」


「うー」


 レラが(うな)った。


 何だかんだで妹に弱い。












 

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