表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/41

29

 ガシュラが、ゆっくりと口を開いた。


「メルドラは今回の責任を取らねばならん。折を見て、王宮から遠ざける。母親と妹の件で騒がれても面倒だからな」


 てめー…。


「メルドラを追い出すまで、しっかりと見張れ」


 そこでガシュラは、ふと気づいたようにニヤッと笑った。


「そのときはお前は王宮に残してやろう。俺のお茶汲みにでもしてやる」


 地獄に落ちやがれ!!




 レラとミア、トラコは砂賊の拠点である洞窟で大勢の傭兵たちの中に居た。


 砂賊によって武装解除されたレラたちは(と言ってもレラは液体金属ボディ内にハンドガンを隠し持っていたが)、他の傭兵たちとトラックに乗せられ、ここにやって来た。


 そして砂賊たちの説明で王家の裏切りを知り、倍額の報酬で寝返らないかと勧誘された。


 雇い主の裏切りは正規兵たちに攻撃されたレラたちからすれば、すんなり納得できる。


 相談の末、砂賊たちに味方すると決めたレラたちは武器を返却され、今から作戦のブリーフィングに参加するところだった。


 集まった傭兵たちの人数から推測すると、約9割が砂賊に(くみ)すると決めたようだ。


 あわや殺されかけた恨みか、ガシュラの圧政に対する義憤か、それとも口約束とはいえ高額の報酬への欲か?


 とにかく作戦参加を選択した荒くれ者たちは、ひしめき合って前方に映し出された巨大なホログラム映像を見つめている。


 一番前の壇上に1人の女が立った。


 女の顔がアップでホログラムに映し出される。


 エルフィンだった。


 右手の拡声器を口に当てた。


「これから作戦概要を説明する!」


 エルフィンが傭兵たちに呼びかける。


「君たち傭兵は一丸となって、首都に攻勢をかけてもらう。私たちの先導で地下洞から攻撃地点付近まで進軍する。首都の城壁周辺の軍事施設に対して、充分な奇襲効果が発揮できるはずだ!」


 傭兵たちが、ざわついた。


「ターコート王家の兵は俺たちの何倍も居るぞ!」


 傭兵の1人が怒鳴った。


「そうだ、そうだ!」と同調する声。


「最初はいいが、そのうち反撃されて負けるじゃねぇか!」


「俺たちは死にたくないぞ!」


「もっとましな作戦を考えろ!」


 洞窟内が騒然となる。


 その様子をエルフィンは涼しい顔で、端から端まで眺めた。


 大きく息を吸い込む。


 拡声器に口を当てた。


「てめえら、黙りやがれっ!!」


 すさまじい大声。


 騒いでいた傭兵たちが、一瞬で静まり返った。


「最後まで聞け、このタコども!!」


 エルフィンが怒鳴る。


「君たちが攻撃を開始すると同時に、こちらの潜入チームが王宮内に侵入する! そして王家の王子3人の身柄を押さえる! その時点で、この戦いは我々の勝利で終了する!」


 再び傭兵たちが、ざわつく。


「そのチームが確実に王子たちを拘束できるのか!?」


「警備は厳重だぞ!」


「王子たちの居場所が正確に分かるのか!?」


 またも騒ぎだす者たちをエルフィンが左手を高々と挙げて黙らせた。


 静寂が戻ってくる。


「上がってきて」


 エルフィンが壇上に誰かを手招きした。


 エルフィンの側に、2人の人物が立つ。


 ホログラムに大きく映し出されたその2人を見て、レラとミアが同時に「「あ!!」」と声を上げる。


「潜入チームのメンバー『ジロモキュ』だ!!」


 エルフィンが声高らかに宣言した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ