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「それに免じて許して欲しい! 頼むから! またいっしょに暮らそう! 君をあ…あ…愛してるんだ! 何度だって言うよ! 君を愛し」


 レラの右正拳突きがメフィストのアンドロイドの顔面を一撃で粉砕した。


 アンドロイドがショートの火花を散らし、動かなくなる。


 立ち上がったレラは周りを見回した。


 あちこちで戦闘は続いている。


 やはり砂賊が、かなり優勢なようだ。


 傭兵に配られた通信機からは、何ら具体的な指示は聞こえない。


 ミアとトラコを連れ、どう動くべきか?


 正規軍は、もう味方ではない。


 車両を奪って、戦場から逃走するか?


 レラがそう考えたところで、通信機がガガガッと音を発した。


 男の声が聞こえてくる。


「我々は君たちが砂賊と呼ぶ者だ! そちらの指揮官は、すでにこちらが捕らえた! 傭兵諸君! 君たちの生命は保証する! 武器を渡し大人しくすれば、捕虜としての最低限の待遇は保証する! 君たちに王家のために死ぬ義理はないはずだ! 降伏せよ! 君たちの生命は保証する!」


 レラたちから見える範囲の傭兵たちが早くも武器を下ろし、降伏の意を示す。


 砂塵の向こうから、次々と砂賊の陰が現れる。


「お姉ちゃん」


 ミアが不安げに言った。


 トラコもレラを見つめている。


 レラは顔をしかめ。


 決断した。




 ターコートの王宮を(よう)する首都に一番近い都市クォールの市街地に立つ尖塔(せんとう)のひとつに、エルフィンとジロモキュ、そして3人のエズモ族の男たちが居た。


 辺りは夜の闇に包まれ、月明かりが優しく輝いている。


 塔から見下ろせる街並みの中、ひときわ立派で広い敷地を有する、丸みを帯びたターコート建築の建物が見えた。


 エルフィンが双眼スコープで、その建物を観察している。


「予想通り、厳重な警備ね」


 そう言ってエルフィンがスコープを外す。


 ジローに投げて寄越(よこ)した。


 受け取ったジローが、スコープで建物を見る。


「外側は正規軍の兵士が固めてるな」


 ジローが言った。


 スコープを動かす手が止まる。


「庭に居る奴ら…」


 ジローがモッキュにスコープを渡した。


 モッキュがスコープを眼に当てる。


「モッキュ、どう?」


 ジローが訊いた。


「庭に居るのはバイパーのサイボーグたちだね。さすがに幹部は居ないけど」


 モッキュの答えにジローは片眉を吊り上げた。


 これでバイパーがガシュラと組んでいると言うエルフィンの言葉が証明された。


「作戦は?」


 ジローがエルフィンに訊いた。


 エルフィンが仲間の砂賊から受け取ったタブレットを見せる。


 そこにはスコープで見た建物の詳細な見取り図が映っていた。


「目標の2人が居るのは建物の2階、中央の部屋」


 エルフィンが見取り図を指す。


「まず、私たちの仲間が建物の入口を攻撃する」


 見取り図の正面玄関を指で叩く。


「騒ぎの隙に(あらかじ)め潜り込ませている、私たちの仲間が裏口の監視システムを解除する」


「潜り込ませている仲間? ずいぶん用意がいいな」とジロー。


 エルフィンが頷く。


「ええ。この作戦はずっと前から準備してたの。早く実行したくて仕方なかった」


 エルフィンの瞳が興奮で輝く。


「出来るだけ早く裏口の見張りを倒す。『シィムの水』で戦闘モードになった私たちとジローなら、何とかなるわ」


 ジローが腕を組む。


 砂賊…エズモ族に味方すると決めたからには、もちろん全力で戦う。







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