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「ミア、退がって!!」


 トラコの声で、レラは振り返った。


 後を追ってきた砂賊たちが、ミアとトラコに迫っている。


 しまった!!


 レラが走りだす。


 ミアの側にはトラコと…もう1人が居た。


 いつの間に現れたのか?


 ボロ布を頭から被った…レラはそこで思い当たった。


 トラックで自分の隣に座っていた傭兵だ!


 ひどく大人しく、地味な印象だったが。


 小型のマシンガンを右手で抱え、砂賊に向けて連射している。


 トラックを降りてから、ずっとレラたちについてきたのか?


 とにかくレラが気づかないうちに、謎の人物はミアとトラコと合流し、砂賊を懸命に食い止めていたようだ。


 接近してくる砂賊たちの動きは速い。


 車両や砂丘、あちこちの遮蔽物(しゃへいぶつ)の陰に隠れ、こちらを撃ってくる。


 ミアたちの元に走るレラの横を敵の銃撃が通り過ぎていく。


(?)


 レラは気づいた。


 砂賊たちの武器はショックガンだ。


 生物は麻痺させ、サイボーグ体ならその機能を低下させる。


(奴らはこっちを捕まえるつもり?)


 そのとき、トラコに続いて砂丘の陰に隠れようとしたミアが、転倒するのが見えた。


 危ない!!


 レラの瞳が見開かれ、精神的な苦痛に表情が歪んだ。


 正規軍を倒すため、やむなくミアの側を離れたが、それが(あだ)になった。


 レラのスピードでも間に合わない。


 振り向いたトラコが慌ててミアへと走るが、その前に。


 接近した3人の砂賊のショックガンが同時に発射された。


 標的は砂上に倒れたミア。


「ミアーーーーッ!!」


 レラの絶叫。


 が。


 ショックガンの銃撃はミアには当たらなかった。


 ミアと砂賊たちの間に立ち塞がった者が居たからだ。


 3発の銃弾は全てボロ布の傭兵に当たった。


 自らの安全は無視した、純粋にミアを守るためだけの行動。


 直撃を受けた傭兵が、その場で倒れる。


 レラとトラコがミアの元に駆けつけた。


 レラはそこで止まらない。


 疾風の速さで、3人の砂賊たちへと突進した。


「オオオオオーーーッ!!」


 レラの咆哮。


 飛び込み様の右ストレートが先頭の砂賊に叩き込まれる。


 申し分ないスピードと正確性だった。


 しかし。


 並の兵士なら避けられない高速の打撃を砂賊はギリギリでかわした。


 レラは見た。


 ターコート住民の瞳は燃えるような赤のはずだが、この男の両眼はエメラルド色に輝く。


 何だ、この身体能力は!?


 かつてレラが戦った戦闘民族「ライジングケルベロス」最強の戦士ジェロニムほどではないが、速い。


 体勢を沈み込ませた男はショックガンを捨て、左手のアッパーをレラの顎に放つ。


 だが。


 レラは、すでにその動きを読んでいた。


 敵の打撃が届くよりも一瞬速く、レラの左膝(ひだりひざ)が砂賊の顔面にクリーンヒットする。


 倒れた相手を通り過ぎ、その勢いのままレラの身体が前方に転がる。


 体重を乗せた浴びせ蹴りが、2人目の男の右手からショックガンを叩き落とす。


 3人目の砂賊がレラに向けたショックガンは発射されない。


 2人目の男の片腕を素早く極めたレラが、その身体を盾にしながら3人目に突進したからだ。


 束の間、戸惑ったため反応が遅れた男に、レラが右腕を捻り上げた男を激突させる。


 関節を極めていた手を素早く放したレラの両手が、男たちの頭部を左右から高速で叩く。


 砂賊2人の頭は鈍い音を発し、お互いに側頭部をぶつけ合った衝撃で、白眼を剥いて倒れた。


 レラの足元に3人の砂賊が転がっている。









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