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「何や!?」


 トラコが叫ぶ。


 ミアは、あたふたとパニックになっている。


 レラは顔色ひとつ変えず、じっと周りの様子を窺った。


 傭兵たちも同様だ。


「敵襲! 敵襲!」


 スピーカーが告げた。


 トラックが急停車する。


 後部の扉が開け放たれた。


 傭兵たちが素早く装備を整え、炎天下の砂漠へと飛び出していく。


 トラコが背中のアサルトライフルを両手で構えた。


 レラはパニクっているミアのホルスターからハンドガンを抜いた。


 安全装置を解除し、ミアに握らせる。


「落ち着いて」


 レラが優しく声をかけた。


「深呼吸して」


 ミアが頷き、深呼吸する。


「出るよ!」


 レラの声と共に3人が外に出る。


 レラが先頭、ミアが続き、最後にトラコ。


 外はすでに激しい撃ち合いとなっていた。


 2方向からの敵の銃撃。


 最初の作戦で、こちらが行う予定だった、2つの部隊による挟撃を砂賊が逆に使ってきたようだ。


 これでは逃げ場がない。


 砂賊によって撃ち倒されていく傭兵たちを横目で見ながら、レラは敵が居ない方向へとミアとトラコを先導する。


 砂塵の中に見え隠れする砂賊をトラコのアサルトライフルが黙らせる。


 なかなかやるじゃない。


 レラは感心した。


 ミアも時折、ハンドガンを撃つが、まるで当たらない。


 こちらはまだまだ訓練が必要だ。


 レラのハンドガンも火を吹く。


 前方のトラックの陰に正規軍の兵士たちが20人ほど陣取っているのが見えた。


「あそこへ!」


 レラが2人に指示する。


 が。


 レラはすぐに異変に気づいた。


 正規兵の銃口が、こちらを向いている。


「お前ら!」


 正規兵の指揮官らしき男が叫んだ。


「退くな! 戻って砂賊と戦え!」


 冗談でしょ!?


 レラは唇を噛んだ。


 後ろの敵と前の味方に撃たれれば、待っているのは死だ。


 液体金属ボディの自分は挟み撃ちをしのげても、残りの2人は難しい。


「戻らねば撃つぞ!」


 指揮官が怒鳴る。


 その口が続けて、射撃の命令を下すために動くのが分かった。


 レラは即決した。


 ミアを守るためなら、微塵も迷わない。


 レラの銃が火を吹くのと同時に、トラコのアサルトライフルも連射された。


 あっという間に正規兵の前列が倒れる。


「う、裏切ったな!」と指揮官。


「そっちが先でしょ!!」


 レラの身体が跳躍する。


 銃を撃ちつつ、正規兵の陣地に飛び込む。


 瞬く間に接近された兵士たちが驚く。


 レラのハイキックが、最も近い兵の側頭部を完璧に捉えた。


 男が白眼を剥き、倒れる。


 ハンドガンを右手の体内へと収納し、レラは新しい敵たちに、さらに肉薄(にくはく)する。


 レラの両拳と両脚がすさまじい速さで、ついさっきまで味方だった男たちを叩きのめす。


 恐るべき格闘戦闘力。


 残りの兵が銃で反撃するが、レラの身体は着弾前に飴細工(あめざいく)の如く変化し、銃弾を巧みにかわす。


 そして次の瞬間には、相手を猛烈な打撃で打ち倒す。


 1分経たぬうちに全ての兵士は倒れ、まるで(いくさ)の女神のように仁王立ちするレラだけが立っていた。


 味方を捨て駒にしようなんて、とんだクズ野郎どもめ!


 レラの全身が、未だ怒りに震えている。












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