表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/41

22

「それにしても」


 トラコが口を開く。


 しかし、トラコはよく喋る。


 根っからのお喋り気質なのだろう。


「相手の居場所も分からんうちから、こんな仰山(ぎょうさん)の兵隊動かして。あんまり大きな声では言われへんけど、メルドラ王子はんは戦略のセンス無いなー」


「私、思ったんだけど」


 ミアが言った。


「何?」とトラコ。


「飛行機を使えば良くない? 探すにしろ、攻撃するにしろ。上から爆弾やミサイルでドカーンって!」


「わ。ミア、賢い!」


 トラコが笑う。


「そやねん。それが出来たら、めちゃくちゃ楽やねん」


「だよね!」


 ミアのテンションが上がる。


「それがなー」


 トラコが腕を組んで首を捻る。


「出来へんねん」


「え!? どうして?」


「まずはこの星特有の激しい砂嵐。飛行機はすぐに墜落してしまう」


 トラコは指を1本立ててみせた。


 続けて、もう1本。


「次に王家は地下にあるレアメタルを欲しがってる。だからそこに繋がってる地下洞は出来るだけ無傷で手に入れたい。それで大規模な空爆は無理やねん」


「なるほどー」


 ミアが感心する。


「それと…」


「まだあるの!?」


「これは噂やけど、ターコートの地下にはレアメタル以外の何か…めちゃくちゃ儲かるもんが隠されてるらしい」


「ええ!? 何、何!?」


「それは分からん。大きな声では言われへんけど」


 トラコが声を落とす。


「何や『バイパー』も、それに一丁噛んでるらしい。知らんけど」


「バイパー」の名を聞いたレラが、ピクリと動いた。


 顔をしかめる。


 レラ自身が構成員の1人であった宇宙犯罪組織バイパー。


 幹部であり義母であったマンマ・ハッハの一味を皆殺しにしたレラは、裏切り者と認定されている。


「ジロモキュ」と同じくバイパーの賞金リスト入り。


 どこでバイパー構成員と出遭うか分からないため、レラは液状金属ボディを変化させ、元々の自分とは全く違う容姿で行動しているのだ。


 ミアがバイパーに気づかれる心配は無い。


 何故ならミアは元々の構成員ではないし、マンマ・ハッハの一味によって、すでに殺されたからだ。


 今、現在のミアは死後の細胞からドクターメフィストによって再生されたクローン体。


 いわば、この世にはもう存在しない幽霊。


 レラは考える。


 もし今回の件にバイパーが絡んでいるなら、慎重に行動せねば。


 余計な危険を招きかねない。


 レラはトラック内に視線を走らせた。


 もしや、この中にバイパーが?


 グルッと周りを見回し、左隣に座るボロ布を被った傭兵を通りすぎ、トラコで止まった。


 ミアに近づいてきたトラコ。


 まさか…。


「わ」


 トラコが顔を赤らめる。


「ほんまにミアのお姉さん、べっぴんさんやなー。そんなに見つめられたら、何や照れてしまうわー」


 こんなフランクなバイパー居るかな…。


 否、居ないとは言い切れない…。


 突然。


 車内にけたたましい警報が鳴り響き、赤い照明が激しく点滅した。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ