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 メルドラが慌ててライトを向ける。


 2人が座り込んでいた場所の真横に空いた穴から、赤いショートカットの少女が顔を出していた。


 満面の笑み。


 チャミがピタッと泣き止み、メルドラの背後に隠れる。


 切れ長の瞳を輝かせ、少女が穴から出てきた。


 ターコートの質素な民族衣装姿。


 しかし、メルドラの見覚えがない刺繍が施されている。


 メルドラと同年代に見えるが、背は高く手足がスラッと長い。


 突如、現れた少女は怯える2人に、ゆったりとした一種、優雅とも言える動きで近づいた。


 そのあまりのしなやかさに、メルドラとチャミは思わず見とれてしまった。


 メルドラの前に座り込んだ少女は、チャミに笑顔を向けた。


「私、怖くないわよ」


 少女の口角がニッと上がる。


 少女とチャミの眼が合った。


「ニャーオ」


 少女が言った。


 メルドラとチャミが驚く。


 しかし、チャミはすぐに笑顔になった。


 少女がチャミの頭を撫でる。


「かわいいね」と少女。


「ニャーオ」


 チャミが真似をする。


 メルドラも笑った。


「こっちはイイ男ね」


 少女が言った。


「ニャーオ」


 メルドラも真似をした。


 3人は笑った。




 傭兵たちを積んだ軍用トラックの中、デ・レラとミア、トラコの3人は座席に横一列で座っていた。


 前回の作戦で失敗したメルドラ王子からの指示で、今度は部隊を集中させ、砂賊たちの拠点を探索し攻撃する。


 3人は前の戦いでは砂賊に襲撃された部隊ではなかったため、まだ1度も戦闘に参加していなかった。


「モッキュちゃん、無事だと良いけど…」


 ミアが暗い顔で呟く。


 王宮に傭兵たちが集められた際、偶然知り合ったかわいい子熊型宇宙人、モッキュが気になっていた。


 モッキュとそのパートナー、ジローが配属された部隊は砂賊に全滅させられたというが…。


「うん? 誰のこと?」


 ミアの右隣のトラコが反応した。


 ミアが説明する。


「ええ!?」


 トラコが驚いた。


「それって『ジロモキュ』のこと!?」


「『ジロモキュ』?」


 ミアが首を傾げる。


「そう『ジロモキュ』。めっちゃ有名やねん!」


 今度はトラコがミアに説明した。


「モッキュちゃん、そんな有名人だったんだ…」


「まさか『ジロモキュ』が、この作戦に参加してたとは」


 トラコが右手を顎に当てる。


 それから不安げなミアの肩をポンポンと叩いた。


「大丈夫や、ミア」


 自信満々に頷く。


「『ジロモキュ』はそんな簡単に死ぬタマやない。ハイブリッドソルジャーのジローが必ずモッキュを守るはず。絶対に生きてる」


「うん」


 トラコの言葉でミアも笑顔を取り戻した。


 2人の会話をミアの左隣で聞いていたレラも、トラコの意見には心の中で同意していた。


 かつてドクターメフィストのラボで出逢ったジローとモッキュ。


 レラが義母マンマ・ハッハの手下ラスプーラと戦った際にはジローを戦闘に巻き込み、仇を倒すことに成功した。


 ジローとモッキュは、その事実には全く気づいてはいないが…。


 とにかくレラはハイブリッドソルジャー、ジローの戦闘能力はよく知っている。


 ターコート王家がいくら部隊は全滅したと言おうが、ジローとモッキュは生き残っているに違いない。


 レラはそう思った。





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