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4ーダンジョンからの旅立ち。新しい仲間(たまご)と共に。




Level:4 Escape from the dungeon




おお。勇者たちを倒したあの技のお陰で、俺をここに封じ込めてる結界が損傷したみたい。あとドアも吹っ飛んだし。てことは。俺は自由だあああああああ!この忌々しいダンジョンから…って、へ?ま、出れるならなんでもいいや。


『グルルッ』

『キュオン?キュッキュッ』

『シュウッ!』


呼びかけると、ルクスとルブラが必死に勇者たちの死体から何かを取り出そうとしていた。

やめなさい、そんなのに触っちゃダメです。

って?なに?


『シュウウウ!』


ルブラが霧で包んで持ってきてくれた。

なんだろ?これ?卵?

でも…食用可能には見えない。なんだこれ?


『キュウウッ?!キュッキュッ、キュウウゥウッ?!』


え?なんで食べるんだ?って言われても…

ふむ?魔物の卵?しかも強い?頼もしい仲間になるはず?

ルブラ?ルクスが言ってることって本当?


『シュウッ』

『グル…』


そうか…本当か。そんな強そうには見えないんだけどな。えっと、普通のい…ゴホンゴホン、強そうに見えるね。

お願い、ルクス、そんな顔しないで。わかったから。

その代わり、世話はルブラとルクスに任せるよ?いいね?


『グルルッ』

『『!!』』


卵を抱えて踊り出した?いや、影は踊れないな。単に動いてるだけ?

あ、違うのね。動いてるわけではない?本人からしたら、喜びの舞を踊ってるそうです。

ルクス、意外とうまいな。鳥って踊るのがうまいのか?


『グルルッ…ルウゥ?』

『キュウッ。キュキュキュ、キュウッキュ。キュオン?』


ふむ。喜びの舞は放っておいて、大事なのはここの状況。

えっと、ここはすぐに抜け出せる状態らしい。でも、ダンジョンの中には冒険者たちがいっぱいいるから、このまま出て行くのは危険?じゃあ、どうすればいいんだ?…あ。


『グルルッ?』

『シュッ。シュウウウッ』

『キュウウッ。キュッキュッ、キュオオオン。』


作戦は完璧。決行は…今。


『グルルオオオオオッ!!』


よし。迷宮主(ダンジョン・マスター)の俺が吼えることで、弱い魔物は出てこないし、強い魔物もプライドがあれば出てこない。ただ冒険者が魔物がいないからすぐに来ちゃうから、早くしないといけないのが唯一の欠点。


『シュウッ』


あ、ダンジョンの(コア)?そうだな…取り込んでおくか。

牙をそっと立てると、パキ、と音を立ててコアが割れる。でも、俺が即座にそれを【吸収】する。じゃないと迷宮主(ダンジョン・マスター)の俺も消えるからな。

これで大丈夫。準備はオッケー。


ルクス?いいか?


『キュオン!』


俺が小さくなって、たまごを抱えながらルクスに乗る。それでルクスの影に入ったルブラが【気配消滅】を使う。

こうすることでたまごを乗せた光る鳥が通り過ぎても誰も気付かない…はず。

まあ、失敗したらその時はその時で。行こうか。


・・・


ダンジョンの中を神速の速さで駆け抜けて行く。

きっとこの速さなら気付く人はあんまりいないだろう。


『グル?』

『シュウッ』


一応、そんなに強い冒険者とかはいないみたいだ。

ルブラに聞けばすぐわかる。影から逃げれる人なんていないもんな。

ルクスがキュッ、と短く鳴く。

えと…これは、敵が前方にいるって合図だっけ?へー、Sランクのルブラの【気配消滅】に気付く人がいたんだ。

でも、時間がないからね。


『【竜の息吹(ドラゴンブレス)】』


どこから俺たちが出てくるのかきっとわかってるんだろうから、めんどくさくなる前に、竜の息吹(ドラゴンブレス)で倒す。一応ダンジョンを破壊しないように威力は下げてあるけどね。


「うわっ?!」

「どこからの攻撃だ?!」


よし。このまま突っ切ろう!

ルクスが【帯電(サンダーアウラ)】を使って速度をブーストする。

おお、俺が落ちそうになるくらいの速さだ。…ルブラ?大丈夫か?


『シュウウウゥ…』


そうか。魔力がなくなるかもしれない?でも、もう出口が見えるからな。

出れたら、俺が本当の姿(5メートルは余裕で超える)に戻って、ルブラとルクス(とたまご)を乗せる。

お、出口だ!このまま行けえええ!


『キュウウウウウウッ!!!』


バリバリッ!!


なんか電気の壁…結界?を通ったような感覚だったけど、身体は大丈夫みたいだ。

あれ?ルクスは地面に横たわってバテてる。ルブラもだ。


「お!鳥が倒れてるぞ!」

「ちょうどいい。こいつを倒してランクアップしようぜ!」

「どけ!俺が倒すんだ!」


ルクスを倒す?させるか。

ふうううっ…


『グルルルウウウゥゥウゥッ!』


お。サイズが戻った。


ーーー【身体変化】を取得しましたーーー


「なんだ?!あいつ、大きくなったぞ?!」

「ええっ?そんなスキル、聞いたことがない!」


ん?これで自由に大きくなったりできるのかな?まあいいや。

ルクス、ルブラ、乗っていいぞ。


『キュウウッ…』

『シュウッ』


疲れちゃってるな。だからと言って、攻撃してくるような馬鹿な冒険者はいない。

全員、俺の咆哮で麻痺してるからだ。


『グル!』


翼を広げる。自分の翼を見たことなかったけど、ステンドグラスみたいになってて綺麗だな。

光が薄い、ガラスみたいな翼に反射して遊んでるな。あ、遊んでるってのは表現…ん?なんだあれ?小さい人?

ああ、消えちゃった。ま、もういいか。

準備はいいか?ルクス、ルブラ。


『キュッ』

『シュッ』


大丈夫みたいだ。じゃあ、世界へと飛びだとうじゃないか。

翼を大きく広げて、地面を打つ。ちょっと心配だったけど、無事離陸できた。

飛び立つ俺を見て唖然とする冒険者たち。ふふん、どうだ。


「おい?!誰か、止めろよ!」

「無理だろ!殺されちまう!」


騒いでる人たちは無視して、行きますか。

新天地を探しに。



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