義弟のこと
朝食を食べ終わったあと、私は二階にある自分の部屋に戻った。そして、ベランダに出て手すりに寄っ掛かり、ボーッと外を眺めながら、朝食の時に話していたことについて考えていた。
良い思い出がまったくないあの魔法学校に、また通うことになるなんて、、、。
どうせ少ししかない魔力なら、いっそのこと無くても良かったとさえ思ってしまう。
そしたら、魔法学校に行かなくてすんだのに、、、。
16歳になる年に学校へ通うことになるのなら、あと、6年位しか時間がない。
それに自分が結局、襲い来る強迫観念にさからえず同じ間違いを犯して処刑されるとしたら、あと8年しか猶予がない。
いや、もういっそのこと、あと、8年も生きられると逆転の発想をして喜んだほうが幸せなのかもしれない。って、いや、何弱気になってんだ私。
目標は人を傷つけず、断頭台を回避して、途切れた記憶の先を生きることってきめたばっかりなのに。
こうやってすぐに諦めたような考えをするのは悪いクセかもしれない。
そんな感じで一人考えごとをしている時にふと、庭で魔法の練習をしているアレクの姿が目に入った。
どうやら風の魔法の練習をしているらしい。
義弟の周りで風が渦を作っている。
「おぉー、上手に出来てるわね、、、」
アレクと私の魔力は、天と地ほどの差がある。正直、あれほど上手く魔法を使えるのは、少し羨ましい。
そういえば、記憶の中で私がアレクに冷たくあたる理由の中に、何かよくわからない強制力とは別に、少し嫉妬もあったような気がする。
本当に理不尽な理由で、数々の嫌がらせをしてきていた。今思い返すと、大変申し訳ない。
私はアレクの礼儀作法についてバカにしたりとか。記憶の中だけでなく、10歳に遡る前から傷つける事をしている。
きっと、会ったばかりの義姉にさんざん文句を言われて、嫌な気持ちになったに違いない。
他に目立った行動はしていないが、会う度に"お前を家族とは認めないぞ"って雰囲気を出していた気がする。ん?これって私、結構最悪なやつじゃない?
当たり前だか、このままでは良くない。
さっき建てた目標の通りまずは傷つけてしまったアレクと仲良くなって、家族として良好な関係を築いていきたい。
だけど、今は多分、いや、絶対嫌われているはずだ。総合的に考えて。
自分なりにこの状況をどうしたらよいか少し考えてみた。その結果、仲良くなるためにまずは、今までのことを謝ることが一番必要だという結論に至った。
幸いにも、まだ初めて会って1ヶ月もたってない位だから、ちゃんと謝っておけば今の険悪な関係を修復することができるかもしれない。
ちょっと、いや、結構浅はかな考えかもしれないが、私の頭で思い付くのはこれくらいだ。
そうと決まったら、善は急げだ。
ちょっとアレクの所へいってみよう。
そう決意して、私は庭で魔法の練習をしているアレクの元へと向かった、、、。