魔力が見つかった
、、、まずは、どうしたらいいんだろう?
朝、人生をやり直す決意をした私は、具体的に何をすればいいのかについて考えていた。
とりあえず今のところの目標は、義弟、いや、アレクと仲良くなることかな。
今のところ傷つけている人はそのくらいだと思うから。
遡ったのがまだ10歳というそこまで悪行を行っていない時期で本当に良かった。
これから歳をとるにつれて私は周囲の人を傷つけるようになってきたんだっけ。
特に16歳になってからはひどかった気がする。周囲の人、特に第一王子が懇意にしていたあの人には、とても申し訳ない事ばかりしていた。
だからなのだろう、私は未来の王妃様の殺害を企てた罪で殺されたのは。
命は大切なもの、なんて、当たり前過ぎるくらいわかっていた。なのに、あの時は嫉妬よりも強い、思いがあった。
あの人を殺さなければという一種の強迫観念のようなものが。
もしかするとまた、あの時のように自分で自分を動かせないような強迫観念がでてきたらどうしよう。
その時は本当に絶望してしまうかもしれない。また、断頭台に登るのかと。
ん、でも、そういえば、私があの人を殺そうとした時、あの人は王子が懇意にしているとはいえ、ただの伯爵令嬢だったよね。
私は王子の婚約者で侯爵令嬢なのに、どうして私は死刑だったんだろう。
命は大切なものなんて、当たり前の事なのに。
それなら私の命だって大切なものだったはずなのに。
そんな感じで、考えて込んでいた私は突然のノックの音にびっくりしてしまった。
いつの間にか結構時間がたっていたようで、私付きの侍女のカテーナが朝食に呼びに来たようだった。
準備を整えて食事をする広間へ行けば、そこにはすでにお父様とアレクの姿があった。
ちなみに、私のお母様は、私が物心つく前に亡くなっている。昔はそれが悲しかったが今はそうでもない。私と同じ紫の目に、銀の髪の儚げで、とても美しい人だったとカテーナが言っていた。
食事の席について、いつも通りに食事を始める。
うん、普段と何の変わりもない会話。
今の私が、昨日までの私は違っていて、18歳まで生きてきた記憶をもっているなんて、誰も気がつかないだろうな。
そんなことを考えていると、お父様がふいにこちらを見て、何か思い出したような顔をした。
「そういえばフィオラ、先日の誕生日に行った検査の結果たけどね、フィオラにも魔力があることがわかったよ。だからちょっと早いけれど、学校へ通う手続きを今度しに行くからね。」
そうお父様が水色の目を細めて、嬉しそうに言った瞬間、アレクの眉間にシワがよったのを私は見逃さなかった。
確かに、嫌いな義姉が自分と同じ学校に通うことが決定したんだから、嫌な気持ちにもなるだろうね。
「そうですか。良かったですわ、ちゃんと私にも魔力があって。」
本心は全然良くないが、そう言っておこう。
だって、魔法学校には良い思い出がほとんどない。友達だと思っていた令嬢達に裏切られたのも、婚約破棄されたのも、あの場所だ。でも、魔力が見つかった子供は全員魔法学校へ通う義務がある。
それは、この世界では、魔力が全てとされているからだ。
王族が王族たる由縁は、その魔力の強さから。
貴族が貴族たる由縁もそう。特定の血縁に強く流れる魔力が、全てだからだ。だからこそ、稀に突然現れる魔力持ちの平民は、義弟のように貴族へ迎えいれられる。
そんな、この魔力が全ての世界で、魔力が見つかったことは喜ばしいことなのだ。
、、、普通、貴族の子どもは検査など受けなくても幼い頃から魔法が使える。私のように検査を受けなければならないほど魔力が少ない貴族も稀だろう。お父様もお母様も強力な魔力の持ち主なのに、どうして私はこんなに魔力がすくないんだろうか、、、
そんな、少し暗くなった気分をまぎらわすように、私はお父様と学校に通うことについての話をした。
お父様は始終嬉しそうだったから、私も嬉しかった。
だけれど、やっぱりアレクは不機嫌そうにしていた、、、。




