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トイレに現れる不気味な霊

作者: 神名代洸
掲載日:2016/12/07

デパートで働く私は新米のペーペーだ。

1年目なのでまだまだ先輩たちのようにうまく接客が出来ない。

それでも年配の方からは可愛がられていた。

そんな楽しい毎日だったのに、あの日以来怖くて1人ではいけない場所がある。それは従業員しか使われることがないトイレだ。

店内にもトイレはあるがお客様用で従業員が使うことはできない。


その従業員用のトイレの1番奥は皆使わないのである。以前は使われていたのだが、あることがあってからは使うことはなくなっていた。

そう、ある事とは自殺だ。

上司からの必要ない嫌がらせに耐えきれなくなった女性が首を吊って抗議の自殺をしたのだ。その上司はその女性が亡くなってから突然奇声を発しておかしくなった。今は仕事も辞め、どこかの療養所で静養中と聞く。

本当か嘘かはわからないが、ここ数年誰も使わないらしい。

掃除のおばちゃんも怖がってなかなか1人では掃除したがらない。一度1人で掃除をしている時に肩を叩かれ後ろを振り向いた時に誰もいなかったことがあって怯えてしまっているのだ。


なので、いつもは張り紙がしてある。

故障中と。

なのに今日に限って張り紙がなかった。他のトイレは皆使用中で、どうしても入りたかった私は待ち切れずに入ってしまう。

用が済んでトイレから出ようとした時頭上に何かの気配を感じた気がした。怖くて見られない。もしかして噂が本当だとしたら…。

鍵を開けてさっと出た。

冷や汗が顎を伝う。



他にも待っている人はいたが、誰1人として私が入ったトイレには入ろうとはしない。

噂は本当なのかも…そう思えて仕方がなかった。さっきの頭上の気配もそうだ。

2度と入らないと決めた。



それから数日後、他の階の用事もあって今日は表に立つことはなかった。裏方に徹していたのだ。

商品の発注も返送も全部自分でやらなければならなかったから。担当部署の仕事だ。

その時突然腹痛に襲われた私は慌ててトイレに駆け込んだ。

問題のトイレには入ってはいない。

今の時間仕事なので誰もいない。私1人だけ。

鼻歌を歌いながらも、トイレからは出られそうもなかった。しばらくしてようやく腹痛も収まりトイレから出ようとした時、奥の場所からガタッと音が聞こえた。

そう、問題のトイレだ。

恐怖が勝ち、慌ててトイレから出ると、一瞬だけ振り返って見てしまった。

首を吊った女性の姿を。


「きゃー!」


叫んで慌ててその場から逃げ出した私は仕事場に戻るとガタガタと震えていた。

先輩が様子がおかしい私の姿を見て何かあったのかを瞬時に察し、バックヤードに連れてこられた。ここは従業員の休憩所兼食事をとる場所。

落ち着くまでそばにいてくれた。

有り難かった。

そして一言。


「あの姿は誰にも話しちゃダメだからね。」「どう、し、て、です、か?」「それが原因でやめてく子が後をたたないからよ。」と言われ納得してしまった。私も逃げ出してここから消えてしまいたくなったから…。

「いい?あの場所は立ち入り禁止になってるの。入らなければ何も起きないわ。一度入ったら…恐怖を味わうことになるのよ。貴女は入ってしまったらしいから今恐怖を味わってるの。分かる?今後は別の階のトイレを使うことね。そうすれば怖くなくなるわ。」


それだけ言ってその場から離れていく。

私もまた同じ間に合うのはごめんなので先輩の言う通りにすることにした。



問題の階のトイレはまだそこにある。

忙しい時には有難いが、怖くて使えないので別の階のトイレに行っている。あのトイレは今後もそこにあるのだろう。

そして誰かを待っているのかもしれない。

張り紙が貼られたトイレで。


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