第6話 譲れない戦い
三人は森を抜けた所でこれからどうするか話していた。
「ユリはこれからどうするんだ?何か目的でもあるのか?」
「最終的な目的はあんた達と同じなんだけど、何処に行けばいいか分からないし、特にしたい事も無いのよね〜」
そう言いながらコッチをチラチラと見てくる。
あれ?もしかして誘って貰うのを待ってる感じか?
「なら一緒に行かないか?こっちは二人とも攻撃力不足だし」
「何といっても、男二人じゃ華がないしな‼︎」
「なら、しょうがないわね‼︎そんなに居て欲しいなら特別について行ってあげるわ‼︎」
ノゾムとカイは顔を見合わせ喜びあった。
「改めて、これからもよろしくな‼︎ユリ」
「恥ずかしいわねーあんた達!」
ユリは照れくさそうに微笑んだ。
「何照れてんだよ‼︎こっちも恥ずかしくなってきただろ!」
「ぶふっ‼︎アッハッハッハー‼︎」
三人は顔を見合わせ笑いあった。
「じゃあ、行くか‼︎」
「おう‼︎」「そうね‼︎」
三人は町を目指し歩き始めた。
ーーふたつ目の町を見つけた三人は、とりあえず情報収集を兼ねて、たくさん人がいそうな酒場に入った。
「おぉ〜、結構賑わってんなー!」
三人は席に着こうとすると、お店の奥の方が何やら騒がしかった。
「わたくしはこのお店で一番美味しい物を持って来いと言ったのよ‼︎こんな物でわたくしが満足すると思っていますの‼︎」
この世界にもクレーマーはいるもんなんだな。
「そう言われましても〜」
「金ならいくらでもありますわ!さっさと次の料理を持ってらっしゃい‼︎」
三人はその、金髪でいかにもお金を持ってそうな女性に近付いて行った。
「どうかしましたか?」
「何ですのあなた達!いきなり話しかけるとは失礼ですわよ‼︎」
女性はとってもご立腹だった。
カルシウムが足りていないのかもしれない。
「いきなり話しかけて済みません。もしかしてあなたは、無限にお金を出せるスキルの持ち主ではないですか?」
「そうよ‼︎わたくしこそがスキル無際限の金貨の所持者ノユラ様よ‼︎」
彼女はそう言って、椅子の上に立ち両手から湧き出るかのようにお金を出して見せた。
床にチャリチャリとコインが落ちていく音が店の中に響きわたる。
周りの客もこちらをチラチラと気にし始めた。
「おぉ〜‼︎」
三人は彼女の見せる不思議な光景に驚きを隠せなかった。
しかし、驚くのはそれだけではなかった。
今、四人の目線はほとんど同じ高さにあったのだ。
つまり、彼女は椅子の上に立ってようやく三人と同じ目線になるほど小さいのだ。
やっぱりカルシウムが足りていないのかもしれない。
「ノユラちゃん、よかったら僕たちの仲間になってくれないか?君のスキルは僕のスキルと相性がいいんだ」
「ノユラちゃんって呼ぶなーー‼︎ですの。こう見えても、おそらくあなた達と年齢は同じですのよ!」
「え⁈」
三人はさっきから驚いてばかりだ。
「そうですわね〜。仲間になって欲しいなら、一緒にある敵を倒してもらえないかしら。」
「ある敵?」
「そいつは、カルナ山の山頂に出現しますの。それに付き合ってくれたら、仲間になってあげますわよ。まぁ、倒せるかはわかりませんけどね!」
「分かった、その敵を一緒に倒しに行こう」
「ちょっと待った‼︎どんな敵かも分からないのに行けるわけないでしょ‼︎」
どんどん話を進める二人をユリが止めにはいった。
そして、ノユラにどんな敵なのかと聞いた。
「それは秘密ですわ。着いてからのお楽しみですわ‼︎」
「はぁ?質問してるんだから、ちゃんと答えなさいよ!凍らせるわよ‼︎」
「な、なんですの⁈貧乏人の分際で!消し飛ばしますわよ‼︎」
二人はとても険悪な雰囲気になっていた。
「そうか!二人ともキャラが、かブッ‼︎…」
「「あんたは黙ってなさい‼︎」ですの!」
ノゾムは二人に強烈なアッパーをお見舞いされ宙をまった。
ーー三人を見て、カイはとりあえず、今はこの場の空気になる事だけを考えながら落ちたコインをせっせと拾っていた。