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とってもちっぽけな願いを叶える為に異世界に行くのはいけない事ですか?〜豚汁を求めて三千万里〜  作者: 藍白かいと
第一章 過去を振り返るのはいけないことですか?
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第5話 湿気と氷城

「はぁ〜、あちー」

カイが、舌を出しながらぶつぶつ呟く。


「口に出すと余計に暑くなるだろ〜。それにしても暑いな〜」


森を進めば進むほど、暑くなっていく。

じめじめとした風がねっとりと、顔に吹きかかる。


「なぁ〜ユリ〜、なんとかしてくれよ〜。お前のスキルでなんかこうパァっと出来ねーのかよ〜」


「なんとかってなによ、なんとかって〜。私も暑いのよ〜」

汗のせいで、ユリの着ている服がうっすらと透けていく。

それを、チラチラとカイが見ている。


「なんかこう、氷のお城をドカーンと作れねーの〜?」


「それは良いアイデアね!じゃあ、やるから離れてー。創造クリエイト‼︎」


急いで僕らも避難する。

目の前にとっても立派な氷のお城が建ち。周りにあった木々が外へと押し出される。


この行動力を見習いたいものだ。


『おぉーー‼︎』


周りに涼しさが立ち込め、じめじめとしていた空気中の水分がキラキラと光り輝く。

とても幻想的な世界に、引き込まれるようだ。


「そのスキル、ちょっと便利過ぎじゃね?」


「ふっふん!存分にこの私を崇め奉りなさい‼︎」


「……」


ドヤ顔でこちらを見てくるユリをよそに、二人は城の中に入っていった。


「ちょっと‼︎無視するんじゃないわよ〜‼︎」

慌てて、ユリも城に入っていく。


「わぁ〜すげー!めっちゃしっかりしてるよ〜」


「見ろよ‼︎階段があるぞ」


その城は三階建てで、三階からは外に出れるようになっている。

三人は騒ぎながら、階段を駆け上がっていった。


が、案の定、氷で出来た階段でカイが滑り、上がってきた分だけ戻っていく。

二人はそれを、痛そうだなと思いながらただただ見ていた。



「やっほー!すげーここから森が一望できるぞ‼︎」

急いで駆け上がってきたカイが下を見ながら、ぴょんぴょんと跳ねている。


さっきまでのやる気の無さはなんだったんだ。


「あっ、そうだ!良い事思いついた」

そう言って、ノゾムは外へ出て行き自動販売機を召喚した。


「なにをする気なんだ?」

不思議そうにカイが見ている。


ノゾムは、チャリチャリと自動販売機にお金を入れてボタンを押す。


「コレだ!ジャジャ〜ン‼︎」

ノゾムは、手に持っているかき氷機を見せる。


「お〜!ナイスアイデア‼︎じゃあ、早く氷出してくれよユリ‼︎」


「ったく、人使いが荒いわね〜‼︎創造クリエイト‼︎」


なんだかんだ言っても相変わらず優しい。


氷をかき氷機にセットして、ぐるぐると回す。

それを氷の器に乗せて、自動販売機から買ったシロップをかける。

ノゾムはレモンで、カイはブルーハワイ、ユリはイチゴのシロップだ。

あっという間に、かき氷が完成した。


「冷たくて美味しい〜‼︎」


「頭いってぇーー‼︎」

口に氷を一気にかきこんだカイが、頭を抑えながら悶絶している。


「バカだな」


「バカね」


「バカバカ言うなよ‼︎」


三人は笑い合い、しばしの休憩をとった。



ーー休憩を終えて、城を後にした三人はまた森を進むために歩き出す。


城はいずれか溶けるだろうからそのまま放置してきた。


「やっぱ、あちぃーー!」


「ギブアップすんの早いな‼︎」

城を出てまだほんの少ししか経っていない。


「でも、暑いもんは暑いし〜」


「けど、出口が見えてきたわよ?」

ユリが前方を指差しながら言う。


「マジ⁈やったーー!」

待ってましたとばかりにカイが隣ではしゃいでいる。


「長かったような、あっという間だったようなー。いや、やっぱり長かったな。うん」


「さぁ、あと少しよ‼︎頑張りなさい」



長かった森を、ようやく抜ける。

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