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とってもちっぽけな願いを叶える為に異世界に行くのはいけない事ですか?〜豚汁を求めて三千万里〜  作者: 藍白かいと
第一章 過去を振り返るのはいけないことですか?
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第4話 新たな出会い

カチコチスライムを倒し、森の中をしばらく進むと小さな池が見えてきた。

その周りにだけは木が生えておらず、とても明るく穏やかな風が吹いていた。


「ふぅ〜、疲れた〜‼︎やっと一休みできるぜ〜」


「だいぶ歩いたなー」

今まで薄暗い森の中をひたすら進んできた二人には休憩出来る絶好の場所だ。


二人は自動販売機から食べ物を買い食事をしていると、木のあたりからとても小さな声が聞こえてきた。


「木が喋ったーー‼︎」


ーーポトンッ


カイは驚いた拍子に、食べていたおにぎりを池に落としてしまった。


「ノォーーー‼︎この野郎、よくも俺のおにぎりを落としてくれたな〜!おにぎりの恨みどう晴らしてやろうか」


池にはカイの落としたおにぎりの中身のシャケが、ゆらゆらと広がりそのままゆっくりと沈んでいった。


「とりあえず落ち着け‼︎あと、おにぎりを落としたのはお前のせいだろ。よく見てみろ、木の後ろに誰かいる」


「驚かしてしまってごめんなさい」


木の後ろからひょっこりと、女の子が出てきた。

身長はだいたい同じくらいだから、おそらく年も同じくらいだろう。

フードを被っていてある程度しか見えない。

が、とにかく女の子だ。今、言えることはそれしか無い。


「うおぉぉーー‼︎女の子だ‼︎」

カイは久しぶりに女の子を見て興奮していた。そのせいか、とても鼻息が荒い。


「がっつきすぎだぞカイ‼︎ えっと…何か用ですか?」


「食べ物を少し分けてもらえないかしら。しばらくろくな食事が出来ていないの」

彼女はそう言うと、被っていたフードをとった。


とても整った顔をした美少女だった。

二人はこころよく応じ、いくつか食べ物を分けてあげることにした。

別に相手が美少女だったから分けてあげた訳じゃ無い。

どんな人が困っていても、もちろん助けていたぞ。……多分。


ガチャガチャと自動販売機にお金を入れて下の取り出し口から出来たてのサンドウィッチを取り出し、彼女に手渡した。

いつでもどこでも出来たてが食べられるのがこのスキルのいいところ。

もちろん冷たいのも選べる。


「ありがとう、感謝するわ‼︎」

彼女は嬉しそうにサンドウィッチをほおばった。

ほおばった時に口の周りにマヨネーズが付いているのもまた可愛らしかった。


それから、三人は楽しく話をしながら食事を済ませた。


「よければ、この森を抜けるまで一緒に行動していいかしら?それなりに力になれると思うけど」


「も「もちろん‼︎」

はきはきとしたカイの返事が、僕の声をかき消した。


「おい、被せるなよ」


「別にいいだろ、そんな小さなこと。ちっちゃい男は女にモテないぞっ」


「今まで付き合った人数は?」


「それはもうこの指じゃ数えられないよ」

と、言いながらカイは指折りで数えるのではなくずっとグーのまま少しばかり落ち込んでいたように見えた。


「ごめん。俺が悪かった」


「謝んなよ…」


「あの…オーケーってことでいいの?…よね。それじゃあ!私の名前はユリ‼︎よろしくね!」


「「こちらこそ、よろしく‼︎」」



ーーユリが仲間に加わった。




三人は森を抜けるために歩き始めた。


しばらく歩くと目の前に、体が緑色で棍棒をもった敵が五体ほど現れた。

大きさはスライムより少しばかり大きいくらい。


「初めて見る敵だ‼︎」


「あれはゴブリンよ!いつもまとまって行動しているけど、一体一体の力はそこまで強くないわ‼︎ここは私に任せて!創造クリエイト‼︎」

すると、ユリの両手に氷で造られた剣が現れた。

キラキラとした冷気が剣の周りを覆い、とても綺麗だった。


あれが有名なゴブリンさんか〜。

思っていたよりも全体的に丸いな。あまり恐くはない。


「ゴブリンくらい楽勝よ‼︎」

ユリは一人でゴブリンに向かっていった。

僕たちも足を前には出したのだが武器が無い。


ーーズシャ‼︎ザシュ‼︎ズバッ‼︎


まるで踊っているかのように美しく、流れるようにゴブリン達を切り裂いていく。


ゴブリンさぁぁーーん‼︎


あまりの美しさに、どことなくゴブリン達も嬉しそうに見えた。どことなくだが。


気づくとあっという間にゴブリン達は倒されていた。

なんて頼もしいんだ。

ノゾムとカイは口を開けたまま、一歩も動く事が出来なかった。


「ふぅ。どう?凄いでしょ‼︎私のスキル絶対零度アブソリュート・ゼロ‼︎」


「「かっけ〜!スキルも強いけど名前もカッコいい‼︎」」


「「絶対零度アブソリュート・ゼロ‼︎」」

名前がかっこよすぎて、なんだか連呼してみたくなった。ので、耐えられずに実際にしてみた。


ユリも最初は誇らしげだったが、途中から恥ずかしくて顔が真っ赤になっていた。

それをみても尚しばらく続けていたら、ついにユリが怒って手から冷気を発し始めたので流石に二人とも危険を察知してやめた。



「けど、どんなスキルなんだ?氷の剣を創り出す能力か?」


「このスキルは、好きな形を氷で造りだし、操ることの出来る能力よ‼︎ただし、生きている物の生命活動そのものには干渉できないの」

実際にユリは目の前で手のひらに、小さな氷塊を造り出して見せた。


「「それでも十分強いだろ〜!」」

ノゾムとカイはユリのスキルを見て、自分達が持っているスキルと比べガッカリした。



ーーそれからも、たびたび敵に遭遇したがノゾムとカイが召喚する前にユリがあっという間に全て倒してしまった。

絶対零度アブソリュート・ゼロさん強え〜。

敵が可哀想に見えて来た。


ノゾムとカイは道中で、何処かの町にお金を無限出せるスキルの持ち主がいる事をユリから聞いた。


「そのスキルがあれば、僕の自動販売機から無限に買うことが出来るな‼︎よし、そいつに会いに行こう!」



次の目的が決まり三人は足ばやに森を進んで行った。


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