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とってもちっぽけな願いを叶える為に異世界に行くのはいけない事ですか?〜豚汁を求めて三千万里〜  作者: 藍白かいと
第二章 力に目覚めるのはいけないことですか?
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第28話 そこにはそこの常識が

ついに二章突入ー‼︎‼︎

「ところでさぁー次はどこに行くよ〜。この世界何もないくせにやたらと広いから町探すの大変だぞー?」


相変わらずミント草原をただまっすぐに歩いている二人。

カイがまたもやすぐに飽きてきたと駄々をこねる。


「まぁ元々こんな感じだったし、振り出しに戻った感じでいいじゃないか」


「それもそうだけどよ〜。あっ!13匹目のスライムみっけ‼︎」


スライムを見つけては鬼のようなスピードで駆け寄って行くカイ。

あの町から出会ったスライムは根こそぎ倒している。

おかげで僕たちが通った道にはスライムの影すらない。


「そろそろノゾムもなんか武器を装備すれば?俺ばっかりお金貯まって申し訳ないし」

膨らんだポッケを叩きながら武器をすすめてみた。


「そうだな〜。確かに前みたいに、いきなり敵が現れたら何もできないしなー」

カイにばっかりやらせるのも流石に申し訳ない。


「よしっ!なんか使えそうな武器買うか‼︎」


早速、自動販売機を召喚した。

こういう時はなかなか役に立つスキルなんだよな〜。


「買うにしてもどんなのにしようかな〜」


自動販売機に並べられた武器を端から見ていった。


「これなんかどうだノゾム!このめちゃくちゃ強そうなハンマー‼︎」


カイが、やたらとごっつい形をしたハンマーを指差しながら目を輝かせてこちらを見てくる。


「えーもっとスマートなのがいいよ。それにダサい」


「だ、ダサいだって⁉︎」

ダサいと言われて少し落ち込む。


「僕はこれなんかいいと思うな。かっこいいし」


「どれどれ?」

ノゾムが指差した武器を見る。


確かにカッコよくて強そうだな、その剣。


「いいんじゃないか!切れ味も良さそうだし…って50万ポカニョン⁉︎高すぎだろ‼︎」

あまりの値段に目玉が飛び出た。


「あー、それならギリ買えるな」


「そんなお金いつの間に⁉︎」


「前にドラゴン倒しただろ?そんときに50万ポカニョンゲットしたんだよ」


「そんなにもらえたのか⁉︎」

こいつ俺がせっせとスライムを倒している間に、そんな大金を手に入れてたのか。

許せん!


そうこうしている間にノゾムはお金を入れていっていた。


「やっと全部入った。流石にこれだけ高い買い物をするのは手が震えるな。よし!ポチッとな」


軽っ!50万の買い物軽っ‼︎もっと考えて買えよノゾム!


すると、ノゾムの手が輝きだし、徐々に剣のシルエットが浮かび上がってくる。


「おぉー!やっぱカッコイイー‼︎けど重たっ‼︎」


ノゾムには少しばかり大きく、構えるだけでフラフラとしてしまう。


ざまぁーねーなノゾム。もっとちゃんと考えて買わないからだ。

俺はオンラインゲームで散々経験しているから、こーなることは分かっていたけどな。


カイが悪魔のような顔でノゾムを見ていた。


「んー。やっぱり僕にはちょっと大きいなー。……いらねっ」

そう言って買ったばかりの50万もする剣を草むらにポイッと投げ捨ててしまった。


「えっ⁉︎もったいなっ‼︎流石にそれはもったいないよノゾム!」

慌てて草むらに向かって走る。


「だって使えないんだもん!そんなこと言うならカイが使えばいいじゃん」


「えー。俺にはすでに一本あるしー」

ノゾムに言われて足を止めた。


「ならしょうがないだろ。新しいの買うよ」


カイは草むらに向かってお辞儀をして立ち去った。


「でも、もうほとんどお金が無いなー」


「それなら、オススメのがあるよ!」


「どれどれ?」

カイが指差す先を見る。


「その名も旅人の剣‼︎どうだ?」

どう言って木で作られた剣をすすめた。


ふふっ。どうだ、ゲームで一番最初に手に入る剣は。

金を大事にしないからこうなるのだ。


「おぉ!いいなーこれ‼︎軽くて持ちやすそうで、何より安い‼︎完璧じゃないか」


予想外の返しに驚くカイ。

あまりの反応に心が痛む。


「だ、だろ!流石は俺だ‼︎」

心がー苦しい〜。


「早速ポチッとな。…あれ?出てこないぞ?」


いつものように手が光らない。


ーーガチャコン‼︎


自動販売機の下の出てくるところから音が聞こえた。

二人で下を覗いて見る。


「ん〜?あっ下から出てきた」


まるで、ジュースのような扱いで出てきた旅人の剣。


「いくら安いからって下から出すなよ!」


いくら300ポカニョンだからってこの扱いはあんまりだ‼︎

ジュース2、3本分だぞ!


「しかも出口が狭すぎてなかなか出てこない‼︎」

必死に剣の向きを変えたりしがらやっとの事で引き抜いた。

気分的には聖剣を引き抜いた気分。


「おぉーおぉー!結構軽い!しかも振り回しやすくて使いやすい‼︎」

木の剣をブンブン振り回しながら辺りを走り回る。


「今日からお前はキノスケだ‼︎」

剣を高々と掲げながら名前を叫ぶ。


「え?何が?」


「この剣の名前だよ!な・ま・え‼︎その名もキノスケ‼︎どうだ、かっこいいだろ〜」


う〜ん。なんともしょぼい名前を…


「そうだな。俺も自分の剣に名前をつけるか!そうだな…白くて綺麗だから…う〜ん」

無い頭を使って必死にいい名前を考える。


「決めた!名はシラユキ!心剣 始等結輝シラユキだ‼︎」


「おーカッコイイ〜」



二人とも上機嫌になったところで、改めてミント草原を歩き始めた。



しばらく歩いていると後ろからポクポコと音が聞こえてきた。


「おや珍しい。旅人さんかね?」


四匹の小豚に引かれている荷車に乗った人が、僕らに話しかけてきた。


「どちらに行くつもりじゃ?」


「えっと。まだ特に決まって無いんですけど…ここら辺で一番賑わっている町ってどこですか?」


「そりゃー王都じゃろう」


「「王都?」」

聞きなれない言葉を聞いた。


「良ければ乗って行くかの?王都の少し前まで行くつもりじゃが」


「「お願いします‼︎」」


僕らはありがたく荷車に乗せてもらった。

彼はヤギ族の方で、要するにヤギの顔をした人間みたいなもんだ。

歳はどうやらだいぶいっているようだ。



「お前さん達も違う世界から来たのか?」


「え、あ…はい」

どうやらこのおじいさんはこの世界に飛ばされて来た人たちのことを知っているようだ。


「そうかそうか!やはりあの方と同じ者だったか」


「「あの方?」」


「王都を一晩で築き上げたお方のことじゃよ」


「「一晩で⁉︎」」

明らかにこっちの世界に飛ばされて来た者の仕業だ。

しかもそれだけ桁外れの力の持ち主となると、先客ナンバーズに違いない。


「なーにも無いところにいきなりできておったらしい。今はこの国で一番栄えておるところじゃよ。またっく、すごいお方じゃ王様は」


「今そこに向かっているのかー。どんな人なんだろう」


「とても素晴らしい人と聞いておるぞ。実際には見たことはないんじゃが、噂ではとてもちい……ん?あんなところに女の子がおる。今日はよく人に会う日じゃ」

少し先にいる女の子の元へ近寄って行く。


「お嬢ちゃん迷子かね?」


「……」


女の子は棒付きのアメを舐めていて、一言も喋ってこない。


「王都の方に行くんじゃが乗っていくかい?」


女の子はぺこりと頷くと、二人を見ながら荷車に乗り込んだ。


女の子は背中にピコピコハンマーを背負っていて、髪は綺麗な銀髪のショート、服は子供用のオーバーオール。

身長はノユラより少し小さいくらいだ。


相変わらず静かーにアメをなめている。


「ところでおじいさん。どうして豚なんて遅い生き物に引かせてるんだ?他にもっといるだろうに」


「ブタ?もしかしてコプタのことかな」


「コプタ?コプタっていうのかこいつら」

ブタでもなくコブタでもないのか。


「そうじゃ。小さくて可愛いいじゃろ。だいいち他の生き物なんてどこんおるんじゃ。荷車を引くのはコプタときまっているじゃろ。他の移動用の生き物はドラゴンくらいじゃ」


「馬とかいるじゃん」


そういった途端おじいさんの眉間にシワがよった。


「馬族なんて乗り物にできるわけないじゃろ!そんな奴隷のようなことさせられるか‼︎」

さっきまでの穏やかな喋り方とは一変して、ものすごい勢いで怒られた。


しまった‼︎この世界では馬も馬族っていう、人間のような扱いなのか!

まずい非常にまずいことをした。

それと同時にこの世界でもブタをしているコプタが可哀想に思えた。


「すいません。僕たちの世界では人の形をしているのは人間だけなんです。他はコプタのようにみんな動物という分類だったので申し訳ない」

許してもらえるかどうかは分からないが、誠心誠意謝った。


「そうか。そちらの世界ではわしらもコプタのようなものなのか。なら仕方ないのう。どこにいってもそこにはそこの常識があるものじゃ。急に怒鳴ってすまないのう」


ふ〜。助かったー。話のわかる人でよかった。


安心したら少し横になりたくなった。


「ちょっと失礼して…よいしょっと。ん?」


仰向けに寝っ転がると、後ろに見慣れない人影があった。


「誰だ君…」


そこにはさっきまでいた女の子とは違う、別の女の子の姿があった。

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