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とってもちっぽけな願いを叶える為に異世界に行くのはいけない事ですか?〜豚汁を求めて三千万里〜  作者: 藍白かいと
第一章 過去を振り返るのはいけないことですか?
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第15話 絶望への送還

奥の部屋から出てきた二人組みが辺りを見渡しながら話し出す。


「まったく、うるさいですね〜。人様の隠れ家に不法侵入して、挙げ句の果てには騒ぎ出すなんて常識がなってませんね〜」


「そうだ!そうだ〜!」


片方が説教をして、もう片方が相槌を打つ。

なんだこいつらは、突然出てきて説教しやがる。

人様の隠れ家?ここはダンジョンじゃないのか。


「おやおや〜、この様なメンツの中に何故貴方のようなお方が」


「そうだ!そうだ〜!」


二人のうちの杖を持っている方が、イケメンに気づき驚く。

知り合いなのか?


「これまた何用で?」


「やぁ、久しぶり。今日は、ちょっと三番目に用が有って来たんだ。相変わらず、ここまで来るのが大変で困るよー」


三番目?あのイケメンは、今三番目と言ったのか?

この奥に先客ナンバーズの一人が、いるっていうのか。


「それは申し訳ございません。ですが、これはあの方の方針でして、わたくし共でドウコウする事は出来ないのです」


「そうだ!そうだ〜!」


いい加減、杖持ちでは無い奴の言動に腹が立ってくる。


さっきから、僕らはずっと蚊帳の外だ。

出来れば説明してほしいところ。


「それで、そちらの方々はお仲間ですか?」


「そうだ!そうだ〜!」


いや、今のは乗らなくていいところだろ‼︎

何でもかんでも、合わせればいいってものじゃない。

それに、さっきからお前は何もしていないじゃ無いか。

本当は要らないのに、ついてきちゃったパターンだろ!


「冗談はよしてくれよ。僕に仲間なんて要らないし、そいつらには偶然会ったんで盾にさせてもらっただけだよ」


「あの野郎ぉー‼︎」

僕らを侮辱したイケメンを、カイが殺意を込めて睨みつける。


「それは失礼しました。では、こちらへどうぞ」


イケメンが、二人に扉の中へと導かれる。

だが、そんな簡単に行かせはしない。


「ちょっとまてー‼︎三番目って何だ!それに、何者何だお前は‼︎」


そうだ、よく言ったカイ。ナイスだ!

僕が聞きたかった事を全部聞いてくれたよ。


「あれ?言ってなかったっけ。僕は、先客ナンバーズの七人目だ。それと、もう一つ言い忘れてたよ。僕の本当の能力は、周りの人の幸運を全て貰い受ける事が出来る。つまり、君らは知らないうちに運を吸い取られてたって訳だよ」


イケメンが先客ナンバーズの一人?

しかも、単に彼の運が良かっただけでは無く、僕たちの運まで吸い取っていたのか。

やってくれたよ、やっぱり優しいイケメンに対しては注意すべきだった。


「あの〜、全く話についていけないのですが」

きょとんとした顔で、カケルが話しに割り込んでくる。

そうだ、カケル達が居るのをすっかり忘れていた。

それに、カケル達は七番目に会う前にはぐれているので、会ってすらいない。

さぞかし混乱していることだろう。


「あ〜、君達は初対面だね。けど、説明してる時間は僕には無いんだ。それじゃあね!」

そう言うと、扉の奥に歩いて行った。

だが、今のカイとユリがやすやすと帰す訳が無い。


「行かせる訳無いだろーー‼︎」

カイがイケメン目指して走り出し、その後をユリが付いて行く。


「やれやれ、せっかく穏便に済ませてやろうと思ったのに…。やれ‼︎」


その言葉を聞き、杖持ちじゃない方の男が何かを呟く。


「沈め‼︎」


すると、突然カイとユリの体が地面に叩きつけられる。

立ち上がる事が出来ない。

重力を操っているのか?

あの相槌野郎、なかなかやりおる。


「二人に何をした‼︎」


「お前らが邪魔するならこうせざるを得ない。それと、お前。ノゾムと言ったな!お前、一万人目だろ」


なんでそれをお前が知っている。

そんな事、知りようが無いはずだ。


「へぇ〜、それはいい事を聞きました」


「そうだ!そうだ〜!」


ローブを着た二人が、一万人目という言葉に反応した。


「どうして知っている。そんな顔をしていますね〜!それは簡単な事です。先客ナンバーズの方々は、新たに誰かがこの世界に招待されると、知らせが来るようになっているのです。もちろん‼︎一万人目のあなたが、何かしらレアなスキルを持っている事は知っていますよ〜」


「そうだ!そうだ〜!」


先客ナンバーズの奴らはそんな事まで分かるようになっているのか。

とんでもないスキルまで持っているのに、チートもほどほどにして欲しいものだ。


「あなたを、招待しましょう。どうです?こちらの仲間になりませんか?」


「そうだ!そうだ〜!」


なる訳が無い。

お前らのような奴と仲間になんて、なるはずが無い。


「断る‼︎俺には大事な仲間がいる!」

ビシッと言ってやった。

僕にしては、なかなか決まったんじゃないか?


「そうですか…。では、しょうがない。無理にでも、こちらに来てもらいましょう‼︎」


「そうだ!そうだ〜!」


ローブを着てる二人が構える。

まずい、やられる。

今の僕には、攻撃手段が無い。


「させないですわ‼︎」

「そんな事させません‼︎」


ノユラとカケル達が、二人に攻撃を仕掛ける。

ありがとうみんな!


「沈め‼︎」


だが、またもや二人への攻撃は届かない。

みんなが地面に叩きつけられている。

誰一人として、立ち上がる事が出来ない。


「みんな…」


「あなたはまだ知らないようですね」

杖持ちが、僕に対して話しかける。


何故そこまで僕を欲しがるのか。

そんなにレアスキルが欲しいのか。

けれど、僕がこの世界の事をあまり知らないのは事実だ。


「どういう事だ」


「あなたは、何故 先客ナンバーズの方々が未だにこの世界にいるのか不思議に思った事はありませんか?」


前にカケルの話しを聞いた時に、確かに不思議に思った。


「あるよ、どうしてなんだ!」


「それは、少し考えれば分かることです。まだ、誰一人としてこの世界の神に会えていないからですよ‼︎‼︎」


彼の言葉はとても衝撃的で、その空間に居るほとんどの人が驚き、そして絶望した。

確かに、考えればすぐに分かることだ。

だが、考えられなかった。

いや、考えたくは無かったのだ。

この世界に来れば、願いが叶うのが当たり前で有り、いつかは誰しも叶えられると思い込んでいた。


けれど、それと仲間になる話しはまた別だ。


「例えそうだとしても。僕は、僕の仲間といつか必ず会ってみせる」


「そうですか、ここまで言っても分かって貰えないのであれば、無理矢理にでも分かってもらうしか無いですね」


「そうだ!そうだ〜!」


杖持ちの男が何かを呟くと、ノゾムの周りに青く光る魔法陣が現れた。


「ノゾムに何をする気だ!ノゾム!早くそこから離れろぉーー‼︎」

カイは、地面に叩きつけつけられながらも、必死にノゾムに手を伸ばす。

だが、その手が届く事は無い。


「絶望に還れ…」


「やめろぉぉーーー‼︎‼︎」


魔法陣が一気に光を放ち、目の前が真っ白になっていく。


あぁ、これはこの世界に呼ばれた時と同じ感じだ…


カイの必死の叫びが、みんな声が…

段々と遠のき、かすれていく……

次回が一番書きたかった回です‼︎

この時の為に、書き始めたと言っても過言では有りません‼︎

是非楽しみに待っていて下さい‼︎

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