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お見合い妨害大作戦 1

とある夏の昼下がり


今日も今日とて、第4師団副団長である俺、アレクは王宮内を端から端まで走り回っていた。


しかも、今日はただの使いっぱしりで走り回っているわけでなない。なにせ、あの俺様何様王子殿下様(ここだけの呼名であって、決して本人の前では言えない。)の呼び出しをくらい、彼は俺ひとりでは到底どうにも出来ないご命令をあっさりと言い放ったため、他の団長たちに助力を仰がねばならない羽目になった。

この時間帯なら、彼らはサロンで寛いでいるはずだ。


そう思って、サロンのドアを思いきり開け放った。


バンッ‼︎


スコーンッ‼︎‼︎


扉を開け放ったと同時に、恐ろしいスピードで飛んできた扇子がおれの額に直撃した。


「いったーーーー!!」


「おー、見事ど真ん中に直撃!ユリアさんてばやる〜!」


「これごとき避けきれないとは、アレク、日頃の鍛錬が足りてないのではなくて?」


パチパチと手を叩いて笑い転げているのは、第2師団長のエリックさん。混じりのない金髪にくっきりとした二重の大きなブルーアイにフェミニストとくれば、王宮のみならず市井の婦女子から絶大な人気を誇っているのも頷ける。


その隣で、こちらに睨みを利かせている美女が!第3師団長のユリアさんで、先ほど俺に扇子を見事的中させた張本人である。

彼女は弓の名手で、見事なブルネットを高い位置でポニーテールにしている。服装も俺やエリックさんと同じ、男性用の制服を着ており、男装の麗人としてこれまた女性に大人気だ。

ただ、大の男嫌いで知られており、彼女の第2師団は女性、もしくは女子の心をもった男性のみ入隊が許されている、らしい。


その2人から少し離れて会話に加わってこない人が、第1師団長であり、憧れの聖騎士の称号をもつクライブ様だ。彼は紅茶を片手に書類に目を通している。


「それより、大変なんです!」


「なにが?」


「なんですの?」


「…」


「エレーナ様が、お、おおおお見合いするらしいです‼︎ 何としても阻止しないと大変な事になるんです!」


「「はぁーーーー⁈‼︎」」


「……」


ついに言ってしまった。


エリックさんもユリアさんも口をあんぐり開けて固まっている。


クライブ様に至っては、何事もないように装っているが、カップを傾けたまま不自然に固まっているので、紅茶がカップから溢れている。


「てか、何その突拍子もない話。情報源は確かなわけ?」


いち早く衝撃くら立ち直ったエリックさんが怪しげな目で俺を見てくる。

その気持ちはよーく分かる。分かるけれど、情報源があのシスコン俺様何様王子殿下だ。まずエレーナ様の事で彼らの右に出る者はいない。いたら今頃エライことになっている。


「そもそも、何で阻止する必要があるのです。エレーナだって年頃の女性ですのよ?男性の1人や2人くらいお相手がいたっていいじゃありませんか。」


兄殿下達に何が何でもぶち壊せと命令されたと、本当の事は言えないので、エレーナが結婚するつもりはないと公言していること、今回の話は突然ぽっと浮上した話で、何かトラブルに巻き込まれた可能性があるんだ、と熱く語ると、皆思うところがあったのか、納得してくれた。


「ところで、当人のエレーナは何処にいる。」


いままで会話に参加していなかったクライブ様がとうとう口を開いた。

冷静かつ冷徹と恐れられる彼であっても、エレーナに関わる事であれば、無関心ではいられないのだろう。


「エレーナ様は、ナレジュシカとの国境地帯にあるマルセイ湖の水質調査に同行していて、お帰りは3日後、お見合いの前日になる予定です。」


「オッケーオッケー!って事は作戦を早速練らないとね。エレーナがお見合いに参加できないように画策するか、もしくは当日ぶち壊しにするか。いやー、楽しみだ。」


「仕方がないですわね。あなた方だけだと、下品極まりない作戦になりそうですから、わたくしも参加させていただくわ。」


「…俺はエレーナの意思が確認出来ない限りはなにもしない。が、彼女の意に沿わないものだと分かれば力を貸そう。」


「皆さん!ありがとうございます‼︎それでは早速、お見合い妨害大作戦、これより作戦会議にはいります。」


よかった〜!何とか首の皮1枚繋がったよ、俺!

というわけで、彼女を極悪非道のトンデモ男(仮)から救出するための作戦会議が開かれた。





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