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おまけ 1

とある日の師団長会議にて。


今日の司会進行、というかいつもどおり司会はアレクが担当している。彼は前日徹夜してつくったというくす玉を誇らしげに割ったが、エレーナ以外は誰もみていない。


「はいはい、皆さんちゅうもーく!「ルメアの花」大盛況を祝して、今日はスペシャル版、自己紹介をお願いしたいと思います。この盛況ぶりも俺の苦労の日々のおかげ…」


「ねーねー、主人公はお嬢なのに、下僕にとられてほとんど出番なかったよね?」


定例会議が終わったということで、真昼間からワインを飲んでいるエリックがアレクの話を遮りエレーナに話しかける。


「そんなことないよ。アレクも頑張ってたし、私もみんなの役に立ててうれしいし。」


アレクが散らかしたくす玉のゴミを拾いながらエレーナが言った。


「エレーナ様ぁ、なんてお優しいんだ!!ほんと、あのお兄様方もこんなだったらよかったのに。。。」


というか俺の名前は下僕じゃないです!とエリックに向かって喚いている。


「はいはい...二人は幼馴染なんだっけ?」


「そうなんです。私は小さい頃アレクの家にお世話になっていたので。兄たちも私の様子を見ながら遊びに来ていたから、彼らも仲がいいんですよ。」


「ああ、エレーナは軍人を多く輩出しているバンクレイン伯爵家のお嬢さんだったね。兄上方も軍部に所属してるの?」


兄たちの話題にギクッとしたエレーナはとっさにアレクに目配せをしてごまかしにかかった。


「い、いえ。兄たちは頭がよかったので軍人にはならず文官として王城内で働いてます。ね、アレク?」


「え、ええ。俺もたまに城内で会いますが、いつもエレーナ様のことを心配してますよ。いい方たちなんですが。。。」


アレクはユージン達にこの後呼ばれていたことを思い出し、憂鬱になる気分を紛らわそうと水を飲んだ。


「へえ。お嬢の兄上方はシスコンっと。なんだか殿下達みたいだな。」


ブーーーーーッ


アレクが飲んでいた水を口から吹き出し、隣に座って仕事をしていたクライヴの書類に思いきりかかった。


「…アレク。」


地から這うようなクライヴの声に、アレクは縮みあがった。


「クライヴ様!!も、申し訳ありません!」


足と頭がくっつくくらい頭を下げたアレクを見て、エリックが大笑いしている。


クライヴは何も言わず席を立ち、出口に向かって歩き出そうとした。


「クライヴ様!少しお待ちください。」


エレーナは駆け寄ってアレクが吹き出したせいでシワシワになった書類を受け取り、周りに聞こえない位の小さな声で詠唱した。


するとシワシワだった書類は濡れていたとは思えないほど元通りになっている。


「これで大丈夫です。」


「ありがとう、エレーナ。」


エレーナに向かってやさしく微笑んだ後、書類を受け取った。


「あ、クライヴ様!自己紹介は…」


「お前に任せた。」


そういい残し、クライヴは今度こそ部屋をでていった。


「あーあ、行っちゃった。で、どうすんのクライヴの紹介は。」


「僭越ながら、俺がやります!」

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