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前編

気晴らしに書いてみた初短編となります。


もし気に入って下さる方いればシリーズ化して長編にしようかなと思ってます。



精霊と人々共存し繁栄してきた世界屈指の大国であるカステリア王国は、1000年という長い時を経て段々とそれぞれが独立し、人々も精霊を操る力だけでなく、その存在を感じる力も失いつつあった。


しかし、精霊の加護は未だ存在し、少数であるが精霊を見て操ることのできる力を持つものがいる。

今から25年程前、長い歴史の中でも稀に見る力の持ち主ーーー先祖返りとも呼ばれる、精霊界の最高位を操る者が王家に誕生した。





「エレーナがガリア砦で起こった紛争の最前線にいると聞いたが、何故護衛役の貴様がここにいる、アレク」


ラベンダー色の美しい瞳が、俺を射殺さんとばかりに睨み付けている。


俺の名前はアレクシス。カステリア王国、王国軍ルメア騎士団の第4師団副団長であり、王女エレーナ様の護衛役でもある。


そして俺を恐ろしい目で睨んでいる金髪のすこぶる美形の男性は、この国の王子であり、エレーナ様の双子の兄の1人、ユージン様だ。


「も、申し訳ありません。用事で少し席を外した間に砦へ向かわれてしまって…」


「……ほう?どこぞやの貴族の娘に声をかけられてデレデレして食事に誘う事が、エレーナの護衛より大事だとは知らなかった。モテる男は大変だな。」


確実に、周りの温度が下がった。

(ば、バレてる…)


本当に10分程度だったのだ、エレーナから目を離したのは。


闘技場で各師団の団長達と稽古をした帰り際、稽古を見に来ていた貴族の女性に声をかけられた。普段は他の団長ばかりに黄色い声援が飛ぶので、あまりの嬉しさに舞い上がっていたのは無理もない。エレーナに闘技場の外で待つようお願いをし、女性から連絡先を聞いて何とか食事に誘う約束を取り付けて、エレーナの待つ場所へ行くと、そこに彼女の姿はなかった。


嫌な予感がし(もちろん彼女はその辺のやつより強いから連れ去られる心配はない。むしろ怖いのはその兄達だ。)、辺りを手当たり次第に探すも見つからない。

どうしようかと途方に暮れているところに、ユージン様の精霊獣のルカが呼びに来て、今に至る。

呼ぶ際にドーベルマンに似た姿に具現化しているルカに尻を思いっきり噛まれた為、騎士団の団服が1着ダメになったが、ユージン様に文句が言えるやつがいたら教えて欲しい。


(絶対、ワザと噛んだな。)


その張本人であるルカは、素知らぬ顔でユージンの足元に寝そべっている。


「アレク。貴様が今しなければならないことを10秒以内に25字以内で言え。」


「エ、エレーナ様を迎えに行くことです!」


「ドラゴンに乗って、をつけ加えろ。25文字ピッタリだ。とにかく前線から下がらせろ。」


ド、ドラゴンに乗ってだとーーー⁈


俺が高所恐怖症だと言うことを知らないはずがない。


「馬ではダメでーーー」


「ダメだ。」


はいはい、分かってますとも。この人はこういう人だ。


目と絶対零度の空気に殺される前に部屋を飛び出してガリア砦へ向かった。







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