鍛冶屋-スクリム-
チリンチリン
軽快な鈴の音がする。
「いらっしゃーい」
明らかにやる気の無さそうな声が聞こえる。
カウンターに座っている男の人を見ると見るからにやる気無さそうだった。
「お?よぉ坊主」
厳つい挨拶をしてくる。
彼はこの鍛冶屋スクリムの店主でもあり一流鍛冶師。
ひっそりとこの町で鍛冶をしている。
王都に出ればもっといい暮らしができるだろうけど彼曰く求めすぎてはいけないそうだ。ほどほどが一番らしい。陽も共感してた。
「この前の品できてる」
陽が前に頼んだ品が完成しているらしい。
店主がそれを持ってきた。
「ほれ。」
渡してきたのは剣でいう柄の部分だ。
刃はない。柄だけだ。
それでも銀色で綺麗な細工が施してある。
「ほんとに刃いらねぇのか?」
こくんとうなずくと不満そうな顔をして“変なやつ”と呟いていた。
まぁ確かに私も変だとは思う。
陽の考えは全くわからない。
[おい。頼んでた材料も届いたか]
材料……なんの?
[いいから早く聞け]
む。
不満そうな顔をしつつ店主に聞く。
「あの、材料頼んでましたけど……どうなりました?」
恐る恐るといった感じで聞くと思案顔になる店主。
「あーそう言えばそんなんあったなぁ。ちょっと待て」
奥の部屋に入って行った店主。
店のなかを見渡すと武器がそこら辺に置いてある。
店主の性格が出てるというかなんというか。
「おい。これだ」
キョロキョロしていた目を戻ってきた店主に移す。
そこには大きな箱を抱えている店主がいた。
「お前…そんな細っこい腕で持てるのか?」
細っこい……ってまぁ女だからなぁ
苦笑しつつ箱を見る。
「これで全部なんですね?」
「まぁそうだが」
お金をちゃちゃっと払い箱に手をかざす。
するとふっと消えた箱。
それを見て目が点になった店主。
「んな……お前魔導師でもあんのか」
「まぁ一応……あ、ありがとうございました」
何となく居心地が悪かったのでそそくさと店を後にしようと回れ向きをする。
しかし、
バタンッ
大きな音がしてそっちの方を見ると少年が一人息を切らしてたっていた。
「おい!!うるせぇぞ餓鬼!」
「そんな場合じゃねぇ!!おじさん、魔獣が今町の外で暴れてんだよ!しかも……ランクAモンスターなんだ」