持久走
走っている。
呼吸がつらくなる。
足が重い。
身体中が悲鳴をあげ、肺はキリキリと痛み、喉は切れんばかり、口じゅうに血の味が広がり、視界は涙でぼやぼやににじむ。身体中から吹き出していた汗が今度はいっせいに毛穴に戻っていく。
寒気。
これを冷や汗というのだろうと、頭だけはどこか冷静にそんなことを考えている。力を抜いてしまえとささやく悪魔。もう無理だ、つらいと泣き叫ぶ自分。大声で喚き、暴れ出したくなる衝動。
その全てを突き抜け、突き抜け、あるのはもはや惰性だけ。
体はすでに自分のものでないようで、足だけがどこか別の意思を持った生き物のようで、ただひたすらに力の限りに地面を蹴って、蹴って、ひたすらに蹴って、あと少し、
あとちょっと、
あと三歩、
二歩、
一歩。
己が今にもバラバラに引き裂かれそうになったころ、
私はやっとゴールに足を踏み入れている。