私と初めての部下
自分以外の気配?のようなものを感じて俺は眠りから急速に覚醒する。
「んん…。」
目を開けると視覚という情報で飛び込んできたのは知らない天井…ではなく、よくわからなは風景だった。
それは俺が知っているもので例えると水族館。
辺り一面ガラス?で出来ていて、それを隔てて見えるのは日本ではまず見られないような光景だった。
全長10メートルはありそうなガーみたいな魚や、全身真っ赤な色をしたクラゲ?やら。
ごめん、こりゃ日本でも見れんわ。
とりあえず目は開けたが体は横たわっているままのようなので起き上がる。
そしてさっき感じた自分以外の気配?に対して体を向ける、するとそこにはざっと十人ぐらいの鎧を着た女性が俺に対して跪いていた。
そしてその中でも一際目立つ鎧を着ている女性が跪いている状態で顔を上げて言った。
「序列第七位、水を司る龍神よ!我々アイルベーン騎士団第七部隊「リヴァイア」!あなたの誕生にまみえたこと、これほどの名誉はありません!どうか龍神よ!あなたの名前をお聞かせ願えませんか?」
龍神?
おい神よ、お前は俺をなんでそんな大層な名前の種族に転生させてんだ!
まぁ…とりあえず名前…か。
「私の名前は…だい…。」
って前世の名前を言ってどうする!
「どうしたのですか?」
「…名前…ない。」
「名前がない?それはおかしいですね。龍神は誕生した際、主神「クルーエル」様から名前を頂くはず…。」
「クルーエル?あのイケメン野郎のこと?」
「イケメン…かどうかは見たことがないので分かりませんがその様子だと会っているようですね。」
「私を転生させた。」
「そうですか転生ですか…。って転生!?前世の記憶をもっているのですか!?」
「…うん。」
「なるほど、だから名前がないのですか。」
「?」
「転生者はこの世界「グラーシア」の理から外れる存在の一つ。要は常識に当てはまらない場合があるということなのです。
なのであなたはクルーエル様に名を与えられるという常識は通用しなかった。だからあなたには名前がまだないのでしょう。」
よくわからんが要はこの世界はあのイケメン野郎が名前を与えてるがさっきやつと話した時に名前を貰えなかったということは自分できめていいんだろう、ということにしておこう。
とはいっても今の俺…もとい私は龍神とかいうわけわかめな種族とはいえ女に転生した(さっき確認した)ので、女っぽい名前にしないといけないのか…。
つっても私が考えるより目の前にいる私の部下?に考えてもらったほうがいいだろう。
なぜかって?センスがないからだよ!言わせんな恥ずかしい!
「…名前、あなたが決めて?」
「私がですか!?そんな恐れ多い!?」
女騎士リーダーは首がちぎれそうなぐらい横に振っている。
確かに部下が上司に名前をつけるのは恐れ多いのか。
まぁ、でもあんたにつけてもらったほうがいい気がするしな。
ここは初めての命令をつかわせてもらう。
「…私の部下なんでしょ?これは命令なの。」
「命令ですか…。そ、それならしかたありません。こんな私でもよければあなたに名前を。」
やはり命令には弱かったようだ。
「…お願い。」
さて、どんな素敵センスを発揮するのだろうかこの人は。
「では…、リナ…様と。」
「リナ…。」
リナか…、うん。気に入った!
「…気に入った。」
すごいうれしかったのでつい笑ってしまった。さっきまで無表情だったんだが。
どうやら生まれたてだからかわからんが、は表情が作れなかったので今のがこの世界にきてからの初めての笑いになった。
「…っ!?」
なんか女騎士リーダーが顔を真っ赤にしてるんだが?なぜだ?
つかまだ名前聞いてなかったや。
「…そういえばあなたの名前、聞いてない。」
「っ!そうでしたね!まだ名乗ってませんでしたね!
私の名前はアルマリア=エドウィン。
アイルベーン騎士団第七部隊「リヴァイア」の隊長であり、序列第七位、リナ様の護衛兼世話係でございます。これからよろしくお願いします!」
「…ん。よろしく…。」
こうして転生して早々この私、リナに部下ができたのであった。
誤字脱字等あれば教えてください。