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わんこと異世界  作者:
1章
2/6



まぶしいな。


目蓋の向こう側から、人様をなめているとしか思えない程の光が俺の安眠を妨げている。


それは太陽だろうと簡単に予想がついた。


朝か。今日も学校へ行かないとな。

そう、自分に言い聞かせ、眠くて重たい瞼を開ける。案の定、陽光によって視界が真っ白に染まるが、次第に慣れてきて周りを見渡すことができるようになった。


てか、何で外で寝てるんだ?

そこは、森の中で土むき出しの道の上だった。

俺はその場で体勢を直し、座る姿勢になった。

そして、なぜこのような場所にいるのか考えた。


確か、昨日は…。

と前日の記憶を思い出そうとするが、当然家に帰った記憶はい。

飲み会か?

そもそも、こんな場所で寝るなんて、酔っていなければありえない。記憶が曖昧だし、そして若干頭も痛いような気がする。だが、こんな木々の生い茂った森の中に来てしまうほど、酒を飲んだのだろうか。

いや、ありえないだろう。いくら疲れていても、ストレスが溜まっても、酒に逃げるなんて俺がするのだろうか…。


今日は平日だよな…。学校行かなきゃなのに…。


俺は、こんな無様な自分に嫌気が差し、自分を戒めるつもりで頭を叩いた。

だが、そんな考えは一瞬にして消え去り、手と頭に違和感だけを残していった。


何かがおかしい。


今度は、頭をさすってみる。


フサフサだ…。それに毛が多い。

一応、弁明しておくが、俺は剥げてはいない。25でハゲとか辛すぎるだろ…。

そうじゃなくて、学校で髪が長いと、何かと邪魔なのでいつもショートヘアだったのだ。

それが今では、なんだか、もっさりとしているのだ。

それに手の感覚もいつもと違う。


頭に置いた手を、そのまま眼前まで降ろす。


…。


肉球だ…。


いや、まさかっ--。

そう思い、自分の体を見回してみる。


どこもかしこも、金色の毛で覆われていました…。


どうやら俺は、小動物の体を手に入れたらしい。


なんで!!


そう言ったつもりだった。


だが、耳に届いた声は、

「ワン」

という、獣のような鳴き声だった…。


なんで…。


途方にくれるしかない。

うつむき、なぜ、なぜ。と自分に問いかける。


昨日は何があったんだ…。

全然、思い出せない。


自分の手帳や、携帯を調べれば何かがわかるかもしれない。そう思いつき、辺りを見回すが、見える範囲には何も落ちていなかった。


なんで。どうして。どうしよう。


そればかりが、頭を駆け巡る。

だが、いくら考えても、答えにたどり着けるはずがなかった。


なんで。分からない。

どうして。分からない。

どうしよう。どうすればいい?


分からない分からない分からない!


俺はその場で、自分の未来を憂いて、ただ震えていることしかできなかった。



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