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「しゃみ、鬼滅の刃を見る」
しゃみは、少し遅れて鬼滅の刃を見る。
流行ってる時に見ると、
自分の感情まで急かされる気がするから。
一話。
血。
家族。
失われる日常。
「最初から重いな」
しゃみは、ちゃんと重さを受け取る。
早送りしない。
感動する準備もしない。
炭治郎は、優しい。
優しすぎるくらい優しい。
でもしゃみは、
その優しさを“正しい”とは思わない。
「あれ、覚悟の形だな」
誰かを許すためじゃなく、
自分が壊れないための優しさ。
鬼は、
生前の話を与えられる。
悪役なのに、
必ず“戻れなかった理由”を持ってる。
しゃみは、そこを見る。
「鬼滅って、
勧善懲悪じゃないんだよな」
「選べなかった人の話だ」
戦闘シーン。
音楽。
技の名前。
全部派手なのに、
最後に残るのは、
いつも“間に合わなかった感情”。
「だから刺さる人が多いんだ」
「努力したら報われる、じゃなくて
それでも失う、を描いてる」
最終話を見終えて、
しゃみは少し黙る。
泣かなかった。
でも、軽くもならなかった。
「いい作品って、
見たあと元気になるんじゃなくて、
静かになるやつだな」
しゃみは画面を消して、
少しだけ深呼吸する。
「今日は、これで十分」
そう言って、
余韻をそのままにして寝る。




