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「好みの話は、だいたい本質」

与太郎初登場。

自称世界一忙しいニート。

ブログ活動を通して世界を征服(世界平和)が目的。

寺の縁側。

WiFiルータの調子はまあまあ。

しゃみはタブレットを抱えて、じっと画面を見ていた。


「……」


与太郎は、少し離れたところでノートパソコンを開いている。

カタカタ、と音だけがする。


「しゃみ」


「にゃむ?」


「それ、何見てる」


しゃみは画面を傾けた。

そこには、ちいかわが小さく困った顔をして立っている。


「ちいかわにゃむ」


与太郎は一瞬だけ黙ってから言った。


「……ああ。なるほど」


「なるほど、って何にゃむ」


「いや。分かりやすいなと思って」


しゃみは耳をぴこっと動かした。


「どういう意味にゃむ」


与太郎はキーボードから手を離して、空を見る。


「しゃみはな、

 “弱いまま世界に放り出されてる存在”が好きなんだよ」


「……悪い?」


「悪くない。むしろ一番まともだ」


少し間が空く。


今度はしゃみが聞いた。


「師匠は何が好きにゃむ」


与太郎は即答した。


「クロミちゃん」


「即答にゃむね」


「迷う理由がない」


しゃみは少し考える。


「クロミちゃん、強気にゃむね」


「強気だけど、

 あれは“強い”んじゃなくて“拗ねてる”」


「……なるほど」


「本当は世界が優しくないって分かってるタイプだ」


しゃみは画面のちいかわを見て、言った。


「ちいかわは、

 世界が怖いって分かってるタイプにゃむ」


「だろ」


「でも逃げない」


「逃げないな」


二人はしばらく黙った。


風が吹いて、

WiFiルータが小さく点滅する。


「師匠」


「なんだ」


「好みって、

 悟りに関係あるにゃむ?」


与太郎は少し考えてから答えた。


「大アリだ」


「どういう?」


「人はな、

 “なりたい姿”じゃなくて

 “放っておけない存在”を好きになる」


しゃみはその言葉を、

ゆっくり噛みしめた。


「……」


「しゃみは、

 弱い存在が生き延びてるのを見ると安心する」


「……にゃむ」


「俺は、

 拗ねながらも世界を睨んでる奴を見ると

 『まだ終わってないな』って思う」


しゃみは小さく笑った。


「師匠、

 意外と希望見てるにゃむね」


「希望って言うな。

 照れる」


また沈黙。


しゃみは、ちいかわの画面を閉じて、言った。


「クロミちゃんとちいかわ、

 一緒にいたらどうなるにゃむ?」


与太郎は少し考えてから答えた。


「多分、

 クロミが文句言って、

 ちいかわがビビって、

 でも最後は一緒に飯食ってる」


「……それ、良いにゃむ」


「世界もそんなもんだ」


しゃみは合掌した。


「今日の悟り、

 キャラの好みだったにゃむ」


与太郎はノートパソコンに戻りながら言う。


「それで十分だ。

 重い真理は、たまにゆるキャラに包まないと

 人は持てない」


しゃみは縁側で寝転び、空を見た。


「……師匠」


「まだ何かあるか」


「クロミちゃんとちいかわ、

 どっちが世界救うにゃむ?」


与太郎は即答した。


「救わないほうが救う」


しゃみは、満足そうに目を閉じた。


「……にゃむ」



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