君とのおしゃべり
ある日、少し寒くなってくると色変わりする葉っぱに心が動かされた猫がいました。その猫はすっかり木達のとりこになってしまったのです。中でも一番のお気に入りは、少年が葉っぱで遊ぶときに取りやすくするために腕を傾ける木でした。
猫は人間の近くに野良として住んでいたのでいつの間にか言葉がわかるようになっていました。そのうちに、木とおしゃべりをしたいと思うようになりました。
猫:「こんにちは!はじめまして。ボク、猫!君とおしゃべりしたいと思って話しかけてみたよ!」
木:、、、。
返事がありません。そして、でも、猫はあきらめません。2年間毎日欠かさず、言葉を話駆けました。そのうち、木にも猫の言葉がわかるようになっていたのです。毎日、少しずつ猫が木に挨拶をしているうちに通じたようでした。それから、おしゃべりを楽しむことが多くなっていきました。おしゃべりといっても猫が話して木が聞くという感じです。木はしゃべることはできませんでしたが、腕である枝で意志表示をしてくれるので楽しく過ごしていました。
そんなある日。猫がいつものように木のところにいると切り株になっていました。なんでも、近所のおじいちゃんが他の木と間違えてきってしまったからです。しゃべりかけても、うんともすんとも言いません。猫は悲しみました。そこへあの木に優しくしてもらった少年がやってきました。すると猫に向かって話かけました。
少年:「こんにちは猫さん。この木とおしゃべりしてたよね?俺知ってるよ。楽しそうに猫さんと木がおしゃべりしてたの、時々見てたんだ。だから、俺も寂しいよ。」
猫:「そうなんだ。でももう、木はいない。」
少年:「いや、まだ消えてないよ。俺にはわかる。」
猫:「どうして、わかるの?」
少年:「実はね。これでも俺、魔法使いなんだ。まだ、研修中だけど。この木さんは、君の話を聞くことはできるけど枝がないから反応できないだけなんだ。でもこのままじゃ、普通の木にもどってしまうかもしれない。」
猫:「じゃあ、すぐにでも木を戻してよ!!」
少年:「ごめん。それは俺には難しい。でも、一つできることがあるよ。」
猫:「なに?」
少年:「猫さん、君のしゃべる力を木さんに渡すのはできるよ。でも、俺の力じゃ本当に渡すだけ。猫さんには話す力は残してあげることができない。」
猫「そうなのか。うん、わかった。いいよ。ボクは十分話したし、あの木と意思疎通ができなくなる方がイヤだ。」
少年:「わかった。」
そうして、少年は猫からしゃべる力を吸い取り、木に吹き込んだのです。
猫:うなずく
少年:「うん。どういたしまして。じゃあ、俺いかないと。そろそろ修行の時間だ。またね。」
木:「はーーー。疲れた。なんだかすごい体力を使った気がする。あれ?なんで、僕声出せるんだ!?」
猫が嬉しそうにほほ笑む
木:「なんで、猫は声ださないの?おしゃべりが好きだったじゃん。僕、君の声が聞きたいよ。」
猫:(ごめん。ボクはもう声を出せないんだ。)
木:「どうして?」
猫:(君にあげたからさ。)
木:「どういうこと?」
猫:(ボク、君に話を聞いてもらえるのとても嬉しかった。だから、さっきみたいに君がボクの話に反応してくれないのはすごく寂しい。それをあの少年が助けてくれたんだ。)
猫がそのいきさつを木に伝える。
木:「そうなんだ。でも、ちょっと待って。君はもう話せないのに、どうして君の言ってることが僕にわかるの?」
猫:(あれ、えー!!!!!確かに。なんで、わかるの?僕が伝えたいこと。)
そこへ、少年が走ってやってきたのです。
少年「はぁ。はぁ。そうだ。一個言い忘れてた。僕はあくまでも、君のしゃべる力を木さんに渡したに過ぎない。つまり、伝える力は残ってるんだよ。加えて、君たちは心のそこから通じているから、複雑な会話もたぶんできるよ。」
木:「そういうことか。ありがとう。本当にありがとう。また、猫と会話ができて嬉しいよ。」
猫:(僕も)
その後も猫と木の友情はいつまでも色あせずに続いていくのでした。
おしまい。




