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君に詠む戀愛譚  作者: 神品朋依
001 再会
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001 再会~予告~

『こんど、絶対に親友を連れてきて先生に紹介するから!

前からずっと一緒にレッスン通いたいって思ってたんだ。

先生、絶対好きになるっ』


2週間くらい前に、通い始めて半年くらい経った生徒、実紀が

高校生にはよくある『お友達と一緒にレッスン通い』への憧れか

突然、そう告げてきた。


仕事上、会話を記憶するようにはしているが、

良くも悪くもコロコロと主義主張、気分の変わる年頃で、

まだ親の経済力に依存し、個の決定権などない年齢。


最後のひと言が若干引っ掛かりを感じたのを

覚えているが

全く持って、本気にはしていなかった。

文字通り、話半分で聞いていた。


それにしても学生らしい発想だが、

生徒(仕事)相手に好き嫌いなど、関係ない。

恋愛はおろか、個人的感情の対象外だ。

おまけに未成年とくれば、なおさら。


それが今日、突然、


『先生-!私の親友!』


いつもの明るさ元気さ突飛さで、

乱入ともいえる勢いでレッスンルームに入ってきた美紀。

とりあえず、入室する際にノックをするようにだけは伝えたものの、

諸々の行為に注意を促す間もなく、

紹介された”親友”の姿を認めるや否や息が止まるかと思った。


驚愕に目を見張る。


予想だにしない状況に、あまりの唐突さに

表情が全く作れなかった。

これまでどんな時でも、

完全にコントロールできていた感情が一瞬、

ほんの一瞬だったが乱れた。


その姿を認め、息をのむ。

器の顔貌は無論異なるが、

その本質を間違えるわけがない。


誰よりも、何よりも大切で、ずっと探し求めた存在。


そして、

もう二度と会わないと決めた相手。


どんな顔をしてしまっていたのだろうか。

何か気づかれてしまっただろうか?


いや、わずかな表情の変化を見咎められたとしても、

問題はないはずだ。


疑問に思われたところで、

過去世の記憶などあるはずがないのだから、

何も不都合はないはずだ。


何か問われたとしても、

『かつての知り合いに似ていたから』

とでも言えばいい。


それはあながち嘘でも間違いでもない。


”他人の空似”は、”器”の話だが、

不思議なことに顔の造形とは別に

個々から感じられる”雰囲気”というものは、

その身体に宿る魂によって影響を受けているように思える。


『(今世では)会ったこともないはずなのに

どこか懐かしい感じがする』

というのは、

前世や過去世で関わりがあったりことを示すことが

よくあるようだ。


どれだけ姿形が変わろうとも、

纏う空気感はどこか共通するものがある。

そして皮肉なことに

内から発せられる”何か”も。


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