35-1:section of ジュナ 【ないものねだり】
カグヤを乗せた宇宙船が飛び去ってしまった。
周りの景色に溶け込んでしまうソレは、明るく照らしていた光を発することを止めた。
朧げな輪郭を見せたものの、そのうち目で追うことが出来なくなってしまった。
「カグヤ!!!!」
もう、私を弱らせていた光は無くなったはずなのに、体に力が入らず無様に泣き崩れる。
私の両サイドで支えてくれているリヒトとセレネが、どうしていいか分からず、そっと私の背中に手を置いてくれていた。
2人の優しい手の温かさを背中で感じながらも、泣き止むことは到底出来なかった。
私はひたすら何かを叫んでいた。
涙なのか他のものなのか分からない液体が、地面へと落ちていく。
カグヤが好きだ。
狂おしいほど愛してる。
1000年の時を越えて、会いに行こうと思ったこともあったけど、そんなの無理だ。
今、私はあなたを求めている。
「私を独りにしないでっ!!」
ーー1000年の孤独になんか耐えれないよ。
毎日、カグヤに愛をささやくから。
毎日、カグヤを抱きしめるから
毎日、カグヤを求めるから。
無くしてみて初めて分かった。
全てを捧げて、あなたを永遠に愛してる。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私は夜空を仰いで泣き叫んだ。
両親とナオを失って以来、こんなに激しく泣くのは初めてだ。
また……
また私は愛する人を失ってしまった。
ふと夜空を見てみると、涙で歪んで見える美しい満月が見えた。
月は、カグヤみたいに、白く優しく輝きながら私を照らしている。
Cry for the moon
月に向かって泣く。
その意味は……〝ないものねだり〟
1000年先の未来人を愛してしまった私の咎だ。




