31:section of カグヤ 【不思議な双子】
僕とジュナは、リヒトとセレネというモネの一族に危ない所を助けてもらった。
彼らはジュナを守るために1000年後の未来から来たらしい。
ジュナの家に帰れなくなった僕たちは、都心のホテルを手配した。
連邦星府の奴らにバレないように、葉っぱを隠すなら森の中ということで、僕らも人が多い都心にとどまった。
リヒトとセレネは軍について何か調べることがあるらしく、ジュナを名残惜しそうに見つめながら、ホテルから去って行った。
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「……カグヤは、帰ったりしないよね?」
ベットの中で、お互いの不安を打ち消すように強く抱きしめ合っていると、ジュナが消え入りそうな声で尋ねてきた。
「帰らないよ」
僕はジュナを抱きしめる力を強めた。
答えたのは僕のただの願望だった。
何故ならリヒトとセレネが言った言葉が気になっていたからだ。
『ジュナを守るようにしか命を受けてない』
なぜリヒトとセレネはジュナだけ守るのか?
ジュナは2103年の人間なのに、なぜ未来人に存在が知られているのか?
……僕が守られる命令は出ていない。
ということはモネの一族からしたら、僕は未来に帰っても問題がないってことだ。
僕は連れ戻される気がしてならなかった。
「ジュナ、絶対一緒にいるから。泣かないで」
僕は静かに泣いている彼女の瞼にキスをした。
ジュナはそれでも泣き止まず、潤んだ瞳を僕に向けてきた。
彼女の瞳の中には恐怖の色が見えた。
せっかく僕と永遠にいられると安堵していたのに、それが脅かされている今、ジュナの心は砕けそうに見えた。
「大丈夫だから」
僕はジュナに優しく口付けしながら囁いた。
自分に言い聞かせるように。
言葉にすることによって、現実になる力を信じてるように……
僕はいつものようにジュナを優しく抱いた。
その時が永遠に続くように祈りながら。
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お互い横を向いて抱きしめ合いながら微睡んでいると、ジュナがそっと言葉を紡いだ。
「不老不死って1000年生きれるかな?」
「……理論上は生きれるよ」
「もし……もしもだよ、カグヤが帰っちゃったら……1000年後の未来で……私を探してね……」
ジュナはゆっくり目を閉じて、眠りの世界に入っていった。
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翌朝、ルームサービスに朝食を頼んだ。
部屋のローテーブルとソファにジュナと向かい合って座り、僕らは朝食を食べていた。
「…………近くない?」
僕は隣に座っているセレネを思わず見た。
「そう?」
セレネはパンを頬張りながら返事をした。
ジュナの隣にはリヒトがくっ付くように座っていた。
モネの一族は2人とも距離が近い。
特にジュナに対しては命が出ているからか、過剰にくっ付いているように感じる。
彼ら2人は早朝に部屋を尋ねて来たので、流れで一緒に朝食を取っていた。
食べ終わったところで、僕はコーヒーを飲みながらリヒトに質問した。
「モネの一族は体が再生する能力があるよね。それが長寿の理由?」
「……それも秘密」
リヒトがニコッと笑った。
ジュナがブームスランを急停止させ、物質を蒸発させて消してしまう光線銃を浴びそうになった時に、リヒトが代わりに腕で受け止めてくれた。
その時、一度無くなった腕が再生されるのを僕はしっかり見ていた。
秘密と答えるということは、大きく外れてはいないのだろう。
「じゃぁモネの一族は、人とくっ付くことが好きなの?」
僕は怪訝な目線をリヒトに投げかけた。
「え!?」
リヒトが何故か目を丸めた。
その表情が誰かに似ているように感じた。
僕の隣にいるセレネがクスクス笑いながらリヒトに言った。
「リヒトは特にジュナが好きよね。フフッ」
「……そんなこと無いよ」
リヒトが頬を染めながら目線を逸らした。
僕は怪訝な目つきから、少し睨む目つきに変えてリヒトを見た。
「あはは!」
セレネがますます笑っていた。
それまで聞いていただけだったジュナがリヒトを見る。
「セレネとリヒトは……兄妹?」
リヒトがジュナを即座に見て答えた。
「僕とセレネは双子なんだ。一応セレネが姉になる」
「ふーん。あんまり似てないから二卵性?」
「そうだよ」
リヒトがニコッと微笑んでいた。
…………
リヒトがジュナに懐き過ぎててモヤモヤする。
モネの一族がこうなのか、リヒトが純粋にジュナに好意を抱いているのか……
ナオの面影があるからか、ジュナも時折り嬉しそうにしているのも更にモヤモヤさせた。
けど、そんなことを悟らせないように、平気な表情を取り繕ってジュナに尋ねる。
「これからどうしよっか? ここもずっといる訳にはいかないから移動する?」
「そうだね。今日泊まる場所は変えよっか。けどその前に、着の身着のままで飛び出てきたから、必要最低限のものを買っときたいんだけど……」
ジュナがそう言い出すと、双子たちが騒ぎ出した。
「じゃぁ私がジュナについていくわ!」
「いや、僕がついていく!」
「リヒトは車のボンネットをへこましてジュナに迷惑かけてるでしょ? 大人しくしときなさいよ」
「セレネより僕の方が強いから、何かあった時にジュナを守れるのは僕だ」
2人は勝手に言い合いをし出した。
そんな2人を無視して、僕はジュナに喋りかけた。
「僕と2人で行く?」
「カグヤが1番目立つから、ここで留守番しといてね」
ニッコリ笑うジュナから圧を感じ、僕は何も言えなくなってしまった。




