27:section of ジュナ 【愛おしさ】
5つの材料を無事に集め終わった私たちは、自国に戻ってきていた。
カグヤは私の家のPCルームに、未来から持ってきた研究道具を広げて籠ることが多くなった。
どうゆう仕組みかさっぱり分からないが、あのタイムマシンから回収したA4サイズのケースの中からさまざまな機械が飛び出しており、我が家のPCルームはどこかの研究室みたいになっていた。
あの部屋はあまり使ってないから、別にいいんだけどね。
そして私は、久しぶりにカレッジに来ていた。
マイアと落ち合いカフェテラスで向かい合って座っていた。
「ただいま〜、これマイアにお土産」
私は小さい紙袋をマイアに渡した。
「わぁ、ありがとう! これ有名な高級デパートのお菓子じゃない?」
「そうそう。前にちょっと食べたいかも? って言ってなかった?」
「言った言った。ここの国にも行ったんだ? ハネムーンどうだったの?」
マイアがお菓子が嬉しかったのか、紙袋を見たままニコニコしていた。
「楽しかったよ〜、海底遺跡に潜ったり、有名な運河を船でクルーズしたり、カーレースで3位になったり」
「…………最後のは何? ……まぁいいか。結婚指輪もしてるし、本当にカグヤと結婚したんだね」
「そうなんだよね。朝起きたら、勝手に結婚指輪が薬指にはめられてた」
「何それ!? とてもキュンキュンするシチュエーションなんだけど!?」
マイアが私に詰め寄って興奮していた。
「そう? なんかそんな感じで強引なとこ多いんだよな〜」
「強引な超絶イケメン! いい!!」
マイアが大興奮している。
「…………私の旦那さんなんだけど……」
私は思わずじとっとした目線を向けた。
「!! あのジュナがヤキモチ焼いてる!?」
マイアがますます私に詰め寄ってきた。
「…………」
私は少し赤くなってマイアをただただ見つめた。
「え? ジュナが真人間になってる……どうしたの?」
「どうしたのって……そうだなぁ、カグヤに私の考え方とかいろいろ思い知らされて? 自分を見つめ直してみた感じかな??」
私は説明しながら首をかしげた。
「……本当に、良い人と結婚したね」
マイアがしみじみと言った。
幼馴染のマイアは、私が小さな頃からいろいろあったことを知っていて、理解してくれている唯一の友人だ。
そんなマイアが自分のことのように喜んでくれることが、私も嬉しかった。
「うん……そうかもね」
私は自分の薬指にある指輪を見つめながら、穏やかに笑った。
それからマイアに目線を戻す。
「マイアは最近どんな感じなの?」
「それがね、良いなって思ってる人といい感じでね〜」
マイアが目をキラキラさせて語り出した。
「……じゃぁ、マイア好みの男の子に連絡先聞いてきたけど……その様子じゃいらないかな?」
私は念のためにRin-comでその男の子の写真を表示して、マイアに一瞬見せてから消した。
そしてニッと意地悪く笑った。
「!! いる!!」
マイアの叫び声がカフェテラスに響いた。
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私がカレッジから家に帰ると、カグヤが珍しくリビングのソファでコーヒーを飲んでいた。
「ただいま〜!」
「おかえり」
後ろから抱きついた私に、振り返ったカグヤが柔らかく微笑んでくれた。
それから私はカグヤの隣に座って、彼の肩にもたれかかった。
「今日はカレッジにマイアに会ってきたの」
カグヤに今日あったことをいろいろお喋りする。
そして時折りカグヤに横からギュウッと抱きついた。
「今日はいつもより甘えん坊だね」
カグヤが私の髪を撫でながらクスッと笑った。
「…………そうかも?」
「何でかな?」
「……カグヤと離れてたから?」
「フフッ。ジュナは素直で可愛いね」
カグヤが嬉しそうに笑い、愛おしそうに私を見つめた。
私はその神秘的なスカイグレイの瞳を、いつまでも見ていたい気持ちになる。
海外に出掛ける前にも、この家のこのソファに同じようにカグヤと座っていたことはあった。
けれどその時の私には生まれていなかった感情だった。
カグヤは私のワガママも、笑わずに受け止めてくれるし、たくさん愛してくれる。
言葉通り私を満たしてくれていた。
そんな状態に私は確かに惹きつけられていた。
カグヤと私の間にあるものが……私の欲しがっていた愛なのかもしれない。
私はそんなことを考えながら、カグヤの唇にキスをした。
「未来から持ってきた研究の続きは順調?」
「うん。もう少しで完成するよ。良い子で待っててくれて、ありがとう」
カグヤがそう言って、私にキスをし返してくれた。
〝良い子で待ってて〟
私が他の男の人にフラフラしないように言われた言葉だ。
私はカグヤの首の後ろに腕を回した。
「……カグヤじゃないと、もう嫌かもしれない」
「なんて言ったの?」
絶対聞こえていたのに、彼が笑いながらもう一度聞いてきた。
「毎晩一緒に過ごすのは、カグヤがいいの!」
私は少しむくれながらカグヤに宣言した。
そして彼にもう一度キスをしながらソファに押し倒した。
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優しい2人だけの時間が訪れる。
カグヤが私に触れて、抱きしめてくれて、名前を呼んでくれた。
愛をたくさん囁いてくれた。
私はいっそう嬉しくなって、きつく抱きしめ返す。
ずっとずっと、カグヤとこうしていたい。
離れずに、いつまでも。
この気持ちは〝愛おしさ〟なのかもしれない。




