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Cry for the moon 〜永遠の愛を求めるジュナと未来から来た青年カグヤの竹取物語  作者: 雪月花


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16/38

16:section of カグヤ 【海を超えて2】


 僕たちは目的の国に無事につき、宿泊を予定していたホテルに到着した。


「うわぁ! すごい素敵なところだね!」

 ジュナが、ホテルの広々としたエントランスホールに入った途端に、目をキラキラさせた。


 このホテルは古城のようなデザインになっており、エントランスホールの天井は、アーチ状の立体が美しい模様を作っていた。


 受付でRin(リン)-com(コム)をかざしてチェックインした僕たちは、荷物を運んでくれるポーターに案内されて、部屋に通された。


 ジュナが部屋を見渡しながら歓声を上げる。

「わぁ! 部屋も可愛くっていいね。お姫様になったみたい」

「フフッ。そうだね」

「カグヤは王子様だもんね」

「それは光栄だね」

 

 はしゃぐジュナを僕の腕に閉じ込めながら、僕らはソファに座った。

 そして彼女を、自分の膝の上に横を向いて座らせた。


 すると僕たちは目線が同じになり、ジュナが楽しそうにおでこをくっつけてきた。

「王子様。私、有名なルーフトップバーに行きたい」

「いいよ。どこにでも連れてってあげる」

 僕たちは笑い合いながら、キスを交わした。




**===========**


 僕とジュナは、さっそく彼女が行きたいと言ったバーに来ていた。

 宿泊先とは違うホテルの屋上に、この国の街並みを一望できるバーがあった。


 僕とジュナはバーカウンターに並んで座り、心地よい音楽とお酒を楽しんでいた。


 ちょうど夕日が沈んでいる街並みは、キラキラオレンジ色に輝いて美しく、開放感のある外の空間が気分を高揚させた。


「明日は南に移動して、目的の海に行くんだよね?」

 少し酔ってきたのか、頬を赤くしたジュナが僕を見つめていた。

「そうだよ。その海の地中に欲しい材料が埋まっているそうなんだ」

「海の中まで取りに行くんだね」

「うん。専門の人にインストラクターを頼んでるよ」

「アクティビティの延長みたいなんだよね? 楽しみ!」

 ジュナはすっかり旅行を満喫しているようで、楽しそうに笑った。


 そして僕たちは寄り添いながら、目の前の風景を眺めて過ごした。

 日が沈み、街並みがライトアップされて、また違った美しさを描き出した。


 以前の僕なら、風景になんて少しも興味を示さなかった。

 けれどジュナと見る風景は、彼女のように活き活きとしてどれも美しく見えた。

 

 それは、愛しい人と共に過ごしているからだということも、分かってきていた。




**===========**


 あれから僕たちはバーを出て、すっかり夜になった異国情緒あふれる街並みを見て回った。

 手を繋いでときおり笑い合った。

 そしてゆっくり遠回りしてから、宿泊しているホテルに帰ってきた。


 部屋に通された時にも座ったソファに、僕とジュナはくっついて座り(くつろ)いでいた。


「ジュナ、ついてきてくれて本当にありがとう」

「いいよ。どこも楽しそうだったし。あんな素敵な景色をカグヤと見て過ごすなんてね。本当のハネムーンみたい!」

 ジュナは僕に向けて無邪気に笑った。


「結婚したんだし、僕は本当のハネムーンも兼ねてると思ってるよ」

「えー。材料を集めるために結婚したのも大きいんでしょ?」

「そう思われてるなら悲しいな。研究を完成させたいのは、ジュナがとっても喜ぶものだからなのに。ジュナの為なんだよ」

 僕はジュナの頬を両手で優しく包み込んだ。


「……そうなんだ。〝永遠を証明する〟ってやつ?」

「そうだよ」

「ふーん。楽しみにしてるね!」

 ジュナが不思議そうにしながらも、屈託なく笑った。


 僕もその笑顔を受けて、穏やかに笑い返した。

 そしてジュナの唇に自分の唇を重ねる。

 ジュナも僕の背中に腕を回して、抱きしめてきた。


「どう? 僕の愛は足りてる?」

「フフッ。まだまだ足りないから、もっと感じさせて?」

 ジュナがそう言って、自分から仰向けにソファに倒れながら僕を引っ張った。

 僕は誘われるままにジュナに覆い被さった。

 そして僕を嬉しそうに見上げている彼女とまたキスをした。




 ーーーーーー


 お互いがお互いを求めて肌を重ねる。


 境界線など無くなるような錯覚を覚える瞬間だった。


 そのひとときに、僕はとてつもない幸福を感じていた。




**===========**


 翌朝、僕は宿泊しているホテルのバルコニーに出ていた。

 清々(すがすが)しい朝で、バルコニーからの景色を思わず眺めていた。

 ホテル内の整備された綺麗な庭園や、古城の厳かな建物が見えた。

 そこを見たことのない鳥たちが通り過ぎていく。


 ジュナはまだベッドの中で丸まって眠っていた。


「…………」

 僕は、室内の空中ディスプレイが表示する時刻を見た。

 

 そろそろ起きてもらわないといけない時間なので、僕は眠っているジュナに近づいてキスをした。


「ジュナ、起きて」

「…………うーん」

 まだ目が開いてないジュナは、うつらうつらしながらも体を起こした。


 そして目をこすろうとして、彼女はあることに気付く。 

 ジュナの左手の薬指に指輪がついていた。


 彼女はゆっくりと目を開けて、指輪を見つめていた。

「結婚指輪っていうんでしょ? ジュナが僕のものって証みたいでいいね」

 僕はジュナの近くに座って、自分の指輪も彼女に見せた。

 お揃いのシンプルなシルバーの指輪だ。


「…………カグヤって案外強引だよね」 

「でも、ジュナ、そうゆうの好きでしょ?」

「指輪、一緒に選びたかったなぁ、これも好きだけど」

「また今度一緒に買おう」

 僕はジュナを抱きしめて、駄々をこねるお姫様のご機嫌を取ろうとした。


「結婚指輪って何個も用意するもんだっけ?」

「いいんじゃない。ジュナが僕のものって目印になればいいんだから」

 僕は腕の中のジュナの頭にキスを落とした。


「ジュナは僕が周りの女の人に見られてるっていうけど、ジュナも男の人によく見られてるんだよ」

「そう?」

「うん。ジュナはとっても可愛いから」

「……私よりモテモテの人に言われてもなぁ……」

 ジュナが照れ隠しなのか、頬を赤くしながら口を尖らせた。




「けど、なんで指輪のサイズ知ってるの?」

 ジュナが少しだけ冷ややかな目つきで僕を見てきた。


「ジュナのRin(リン)-com(コム)に触れたら、すべての情報が僕に入ってくるから……そこの個人のデータベースから」

「それって、スキャンした私の詳細なデータも知ってるってことだよね? めちゃくちゃ個人情報の……」

「そうだよ」

「…………はぁぁ。ハイスペックすぎる旦那様には、何もかも筒抜けなんだね……」

 

 ジュナは顔を真っ赤にさせて、僕の胸に顔を埋めてグリグリしていた。


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